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第4章 エルフの里アルフヘイム

233話 ナンバーズ

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 『黄昏の月』のリリアナとザードは撤退した。
 俺たちは残された黒狼団の面々を縛り上げ、アルフヘイムへと戻る。
 そして俺たちは、ピュセル、ヤナハ、エルドレッド、村長たちと合流した。
 彼女たちにも事情を説明する。

「そうか。我らが避難させてもらった後に、そのようなことが……」

 ピュセルは言った。

「しかし、まさか『黄昏の月』のメンバーまで絡んでいるとは思わなんだ」

「俺もです。まったく予想外だった」

 村長の言葉に、エルドレッドが答える。

「何か知っているのか? 二人とも」

 俺はそう問う。
 それに対して、村長が口を開く。

「ああ。『黄昏の月』というのは、世界的に活動している闇の組織じゃ。メンバーの一人ひとりがずば抜けた戦闘能力を持っていると聞く」

「闇の組織、か」

 それは初耳だ。
 MSCにはそのような組織やイベントはなかったように思うが。

「特にナンバーズと呼ばれる幹部メンバーは、『白銀の翼』『赤銅の刃』『漆黒の爪痕』など、各国で有名な冒険者パーティーを壊滅させたこともあるらしい。一度相対すれば、生きて帰れるかどうか分からないとか」

「ほう」

 俺は興味を持った。
 どうやら、ただの無法者の集まりではないようだ。

「確かに、ナンバーズとか名乗っている奴がいたな」

「なにっ!? ナンバーズが来ていたのか!?」

 村長が驚いた顔をする。

「ああ。確か、リリアナと名乗っていた」

「リリアナ……だと!?」

「知っているのか?」

 俺は聞いた。

「ああ。表舞台に出ないナンバーズの中で、数少ない名前が伝わっている人物の一人じゃ」

「そうなのか」

「土魔法においてその実力はナンバー1と言われている。だが、実際に戦っている姿を見た者は少ない。大抵は歯が立たず一方的に殺されるからな。運良く生き残った者も、怯えてまともに会話ができない状態になっているとか」

「へえー」

 あのリリアナって奴、そんなに強いのか。

「ちなみに、コウタ殿はどうやって逃げたのです?」

「ん? 俺は逃げてなどいないな。正面から戦っただけだ」

「……なんと」

「まあ、相当苦戦したがな。最後は、時間がどうとかで、向こうが勝手に撤退していったんだ」

 あのまま戦っていれば、どうなっただろう?
 英雄のスキル【アクセル】を全力で使用すれば、当然勝てる。
 だがその場合は、仲間や周囲の地形に被害が出てしまう。
 適度に加減して戦いたいところだが、それで勝てるほどあのリリアナは甘い相手ではなかった。

「そ、そうですか……」

「コウタなら、リリアナとだって互角以上に戦えると思うよ」

 ユヅキが言う。

「ああ。だが、みんなをしっかり守るためにも、もっと強くならないとな」

「そうですね。わたしも強くなります。ご主人様の足を引っ張らないように」

 シルヴィが真剣な顔で言った。
 その後、村長やエルドレッドに後処理を任せて、俺たち『悠久の風』は休むことにしたのだった。
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