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第4章 エルフの里アルフヘイム
232話 今回は見逃してやることにしよう
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『黄昏の月』のナンバーズと名乗るリリアナの誘いを断った。
彼女が杖を構え、再び臨戦態勢を取る。
「《メテオストライク》!!」
直後、上空から巨大な岩石が落ちてくる。
「なっ!? みんな、伏せろ!!!」
俺は叫ぶ。
「判断が遅い」
ドガアァン!!!
轟音とともに、俺たちは吹き飛ばされる。
「ぐあっ!」
俺は地面に転がった。
慌てて周囲を確認する。
なんとか、全員無事のようだ。
だが、今のでかなりのダメージを受けてしまった。
「く、くそ……」
俺は起き上がる。
全身が痛い。
骨が何本か折れているかもしれない。
「ほう。今のを耐えるとは、なかなか頑丈な奴らのようだな。やはり見どころがある」
リリアナが言った。
「ここで殺すのは惜しいな。……今回は見逃してやることにしよう。次に会うときには、私の仲間になってくれることを期待する」
リリアナがそう言う。
「いいのですか?」
「構わん。目的は達した。それに、こんなところで要らぬ体力を使っている場合でもないしな」
ザードの問いに、リリアナは答えた。
「なら、そういうことで。みなさん、また会いましょう」
そして、二人は去っていく。
「くっ……」
俺は歯ぎしりした。
悔しいが、何もできなかった。
あんなやつらに後れを取るとは……。
いや、気持ちを切り替えよう。
厄介な相手が自分から撤退してくれたのだ。
今はそれでよしとするべきだ。
「ご主人様!」
「コウタくん!」
シルヴィやミナたちが駆け寄ってくる。
「ご無事ですか!?」
「ああ、なんとかな。それより、みんなこそ大丈夫か?」
「はい。少し怪我はしましたが、問題ありませんわ」
ローズが答える。
「あたいも平気だぜ」
リンは服についた土埃を払っていた。
「僕も大丈夫。でも、あんなにたくさんのゴーレムが襲ってきたときはびっくりしたよ」
ユヅキが言った。
「わたしは全然ダメでした。あの二人は強すぎます。ご主人様の足を引っ張ってしまい、申し訳ありません」
シルヴィがションボリした顔でそう言う。
「いや、シルヴィはよくやったと思うぞ。氷魔法の威力があったからこそ、あいつらも攻めきれなかったという面はあるだろう。シルヴィは今のままでも十分だ」
「そんなことないです。わたし、もっと強くなりますから!」
「そうか。俺もまだまだ上を目指す。いっしょに頑張ろうな」
「はい!」
俺の言葉を聞いて、シルヴィが笑顔になった。
「とりあえず、一件落着ってことでいいのです?」
ミナが言った。
「そうだな。思わぬ横槍が入ったが、黒狼団は無事に壊滅させたし」
「……とりあえず拘束して、アルフヘイムに連れて行こう……」
「それがいいね」
ティータとユヅキがそう言う。
俺たちは気絶したままの盗賊たちを縛り上げる。
激しい戦闘により何名かは死んでいたが、こればかりは仕方ない。
そして、アルフヘイムに戻り始めたのだった。
彼女が杖を構え、再び臨戦態勢を取る。
「《メテオストライク》!!」
直後、上空から巨大な岩石が落ちてくる。
「なっ!? みんな、伏せろ!!!」
俺は叫ぶ。
「判断が遅い」
ドガアァン!!!
轟音とともに、俺たちは吹き飛ばされる。
「ぐあっ!」
俺は地面に転がった。
慌てて周囲を確認する。
なんとか、全員無事のようだ。
だが、今のでかなりのダメージを受けてしまった。
「く、くそ……」
俺は起き上がる。
全身が痛い。
骨が何本か折れているかもしれない。
「ほう。今のを耐えるとは、なかなか頑丈な奴らのようだな。やはり見どころがある」
リリアナが言った。
「ここで殺すのは惜しいな。……今回は見逃してやることにしよう。次に会うときには、私の仲間になってくれることを期待する」
リリアナがそう言う。
「いいのですか?」
「構わん。目的は達した。それに、こんなところで要らぬ体力を使っている場合でもないしな」
ザードの問いに、リリアナは答えた。
「なら、そういうことで。みなさん、また会いましょう」
そして、二人は去っていく。
「くっ……」
俺は歯ぎしりした。
悔しいが、何もできなかった。
あんなやつらに後れを取るとは……。
いや、気持ちを切り替えよう。
厄介な相手が自分から撤退してくれたのだ。
今はそれでよしとするべきだ。
「ご主人様!」
「コウタくん!」
シルヴィやミナたちが駆け寄ってくる。
「ご無事ですか!?」
「ああ、なんとかな。それより、みんなこそ大丈夫か?」
「はい。少し怪我はしましたが、問題ありませんわ」
ローズが答える。
「あたいも平気だぜ」
リンは服についた土埃を払っていた。
「僕も大丈夫。でも、あんなにたくさんのゴーレムが襲ってきたときはびっくりしたよ」
ユヅキが言った。
「わたしは全然ダメでした。あの二人は強すぎます。ご主人様の足を引っ張ってしまい、申し訳ありません」
シルヴィがションボリした顔でそう言う。
「いや、シルヴィはよくやったと思うぞ。氷魔法の威力があったからこそ、あいつらも攻めきれなかったという面はあるだろう。シルヴィは今のままでも十分だ」
「そんなことないです。わたし、もっと強くなりますから!」
「そうか。俺もまだまだ上を目指す。いっしょに頑張ろうな」
「はい!」
俺の言葉を聞いて、シルヴィが笑顔になった。
「とりあえず、一件落着ってことでいいのです?」
ミナが言った。
「そうだな。思わぬ横槍が入ったが、黒狼団は無事に壊滅させたし」
「……とりあえず拘束して、アルフヘイムに連れて行こう……」
「それがいいね」
ティータとユヅキがそう言う。
俺たちは気絶したままの盗賊たちを縛り上げる。
激しい戦闘により何名かは死んでいたが、こればかりは仕方ない。
そして、アルフヘイムに戻り始めたのだった。
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