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第4章 エルフの里アルフヘイム

221話 英雄のスキル【アクセル】

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 黒狼団の頭目カイゼルが呼び出したゴブリンの大群と対峙する。
 シルヴィやユヅキ、それにピュセルやヤナハには里まで避難してもらった。
 別に、俺が犠牲になろうというわけではない。
 俺が全力を出せば、周囲を巻き込んでしまうかもしれないからだ。

「「「ギャオオッ!!」」

 数十体のゴブリンが迫ってくる。

「来い! 俺が相手になってやる!」

「ギイイッ!」

 一体のゴブリンが俺に飛びかかってきた。

「遅いっ!」

 俺の拳がそのゴブリンに炸裂する。

「ギィッ!?」

 ゴブリンは一撃で絶命し、そのまま地面に倒れた。
 他のゴブリンどもは一瞬戸惑ったが、すぐに襲ってくる。

「「ギャオッ!!」」

 今度は二体同時に飛びかかろうとしてきた。

「甘いんだよ!」

 ゴブリンの動きを見切り、攻撃をかわす。
 そして、剣を振るう。

「ギャウッ!?」

 剣は、片方のゴブリンの首を斬り落とした。

「まだだ! 【ディザスター・ストーム】!!」

「「ギイイイイイイイイイ!!」」

 残ったゴブリンに魔法を放つ。
 『風魔導師』は、風の上級範囲攻撃スキルを持っている。
 竜巻のような暴風が吹き荒れ、ゴブリンたちを蹂躙していく。

「「「グギャアアア!!!」」」

 ゴブリンの群れが、瞬く間に数を減らしていく。
 その光景を見て、黒狼団のメンバーが恐れ慄いた。

「ば、馬鹿な……」

「こんなことって……」

「ありえない……」

 そんな中、気丈にもカイゼルは叫んだ。

「クソッタレが! 全員で一斉にかかるぞ!!」

 カイゼルはそう言って、長剣を取り出した。

「り、了解です!」

「やってやるぜ!」

 黒狼団の男たちがかろうじて戦意を取り戻す。
 さらに……。
 ブオオオォッ!
 カイゼルが再び角笛を吹く。

「「「ギイイイィッ」」」

 その音色を聞いて、生き残りのゴブリンが戦意を取り戻した。

「はっはぁ! いくらお前が化け物でも、この数を相手に勝てるわけがねえだろ!」

 勝ち誇るカイゼルだが、俺は冷静だった。

「残念ながら、それはどうかな?」

「なにぃ? 強がっても無駄なんだよ! おとなしく死にやがれ!」

 カイゼルたちが俺に向かって突進してくる。

「死ねやああああっ!!!」

「「「おらあっ!!」」」

「「「ギャオオオォッ!!」」」

 カイゼル、黒狼団メンバー、ゴブリンどもの攻撃が俺を襲う。

「「「……………………」」」

 が、次の瞬間には全員が動きを止めていた。
 いや、正確に言えば少し違うか。
 彼らが止まっているのではなく、俺だけが超速で動いているのだ。

 『英雄』のスキルの一つ【アクセル】の効果である。
 発動中は、敏捷性が大幅に上昇する。
 それと同時に、思考速度も向上する。
 俺はカイゼルたちのすべての攻撃を回避し、反撃に転じた。

「ほらよっと」

 カイゼル、黒狼団メンバー、ゴブリンどもに軽く攻撃を当てる。
 さて。
 【アクセル】のスキルを解除することにしようか。
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