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第4章 エルフの里アルフヘイム
202話 お前がブラックワイバーンを倒しただと?
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長老に挨拶を終えたあと、俺たちは早速エルフの村の見学を始めた。
まずは、里の中心部にある広場に向かう。
そこには、大勢の者たちが集っていた。
ガヤガヤと賑わっている。
「みんな、集まってくれ!」
ピュセルが声をかけると、ざわめきが収まった。
「今から、新たな仲間を紹介する!」
ピュセルの言葉を聞いて、集まった者たちがこちらを見る。
「彼はコウタ殿。あの憎きブラックワイバーンを倒してくれた勇者だ!」
ピュセルが紹介する。
俺は軽く手を振って応えた。
「おおっ!」
「あれが……」
「本当に人間なのか?」
エルフたちが騒ぎ出す。
俺たち『悠久の風』がこの里を訪れたことは、既に少し噂になっていたのかもしれない。
彼らが興味深げに俺たちを見てくる。
「静かに! 紹介を続けるぞ! それから、彼のパーティーメンバーもだ」
ピュセルがそう言うと、シルヴィたちも紹介された。
「彼らは今日からしばらく、里に滞在してもらう。里の英雄だ。丁重にもてなしてほしい!」
「「おおーっ!!」」
今度は歓声が上がる。
「さあ、それでは集落を案内するぞ! ……と言いたいところなのだが」
ピュセルはチラリと横を見た。
そこにいたのは、エルフにしては大柄な男だった。
歳は30代くらいだろうか。
先ほどの長老との面談のときにも、傍らに立っていた者だ。
おそらく、里の中でも有力者のはず。
その男が口を開く。
「お前がブラックワイバーンを倒しただと? 到底信じられん」
男は俺を睨みながら言った。
「おい、無礼だぞ!」
ピュセルがそう注意するが……。
「黙れ! こんなガキどもにブラックワイバーンを倒せるわけがない! 何か裏があるに違いない!」
……どうしたものかな。
俺は男を観察する。
腰に剣を佩いていることからして、戦士職だろう。
体格はそこそこ良く、腕もエルフにしては太い。
「俺が倒したのは事実だし、そんなことは問題じゃない。それよりも、あんたが何者か教えてもらえないか?」
俺はそう尋ねる。
「俺を知らないとはな。俺の名はエルドレッド。誇り高きハイ・エルフ族の末裔だ」
そう言って、胸を張る。
「へえ。すごいじゃないか」
「ふん。当たり前だ。アルフヘイム最強と言われる、ハイ・エルフ族の名にかけて、貴様のような小僧を認めるわけにはいかん」
自信満々な様子で言い放った。
「なるほど。でも、俺たちはこれからいろんな場所を見回るつもりなんだ。いちいち絡まれたら迷惑なのだが」
俺は肩をすくめる。
「ほう? 言うではないか。ならば、ここで白黒つけようか?」
エルドレッドと名乗った男はニヤリと笑う。
「いいぜ。ただし……」
俺はピュセルに視線を向ける。
「ピュセル。悪いが審判役を頼んでもいいか?」
「ううむ……。無闇な争いは裂けてほしいのだが……。それでは双方収まりそうにないな。仕方ない。審判役を受けよう」
ピュセルがそう言ってうなずく。
さて。
俺たち『悠久の風』が平穏に過ごせるよう、このアルフヘイム最強と自称するエルドレッドにしっかりと勝っておかないとな。
まずは、里の中心部にある広場に向かう。
そこには、大勢の者たちが集っていた。
ガヤガヤと賑わっている。
「みんな、集まってくれ!」
ピュセルが声をかけると、ざわめきが収まった。
「今から、新たな仲間を紹介する!」
ピュセルの言葉を聞いて、集まった者たちがこちらを見る。
「彼はコウタ殿。あの憎きブラックワイバーンを倒してくれた勇者だ!」
ピュセルが紹介する。
俺は軽く手を振って応えた。
「おおっ!」
「あれが……」
「本当に人間なのか?」
エルフたちが騒ぎ出す。
俺たち『悠久の風』がこの里を訪れたことは、既に少し噂になっていたのかもしれない。
彼らが興味深げに俺たちを見てくる。
「静かに! 紹介を続けるぞ! それから、彼のパーティーメンバーもだ」
ピュセルがそう言うと、シルヴィたちも紹介された。
「彼らは今日からしばらく、里に滞在してもらう。里の英雄だ。丁重にもてなしてほしい!」
「「おおーっ!!」」
今度は歓声が上がる。
「さあ、それでは集落を案内するぞ! ……と言いたいところなのだが」
ピュセルはチラリと横を見た。
そこにいたのは、エルフにしては大柄な男だった。
歳は30代くらいだろうか。
先ほどの長老との面談のときにも、傍らに立っていた者だ。
おそらく、里の中でも有力者のはず。
その男が口を開く。
「お前がブラックワイバーンを倒しただと? 到底信じられん」
男は俺を睨みながら言った。
「おい、無礼だぞ!」
ピュセルがそう注意するが……。
「黙れ! こんなガキどもにブラックワイバーンを倒せるわけがない! 何か裏があるに違いない!」
……どうしたものかな。
俺は男を観察する。
腰に剣を佩いていることからして、戦士職だろう。
体格はそこそこ良く、腕もエルフにしては太い。
「俺が倒したのは事実だし、そんなことは問題じゃない。それよりも、あんたが何者か教えてもらえないか?」
俺はそう尋ねる。
「俺を知らないとはな。俺の名はエルドレッド。誇り高きハイ・エルフ族の末裔だ」
そう言って、胸を張る。
「へえ。すごいじゃないか」
「ふん。当たり前だ。アルフヘイム最強と言われる、ハイ・エルフ族の名にかけて、貴様のような小僧を認めるわけにはいかん」
自信満々な様子で言い放った。
「なるほど。でも、俺たちはこれからいろんな場所を見回るつもりなんだ。いちいち絡まれたら迷惑なのだが」
俺は肩をすくめる。
「ほう? 言うではないか。ならば、ここで白黒つけようか?」
エルドレッドと名乗った男はニヤリと笑う。
「いいぜ。ただし……」
俺はピュセルに視線を向ける。
「ピュセル。悪いが審判役を頼んでもいいか?」
「ううむ……。無闇な争いは裂けてほしいのだが……。それでは双方収まりそうにないな。仕方ない。審判役を受けよう」
ピュセルがそう言ってうなずく。
さて。
俺たち『悠久の風』が平穏に過ごせるよう、このアルフヘイム最強と自称するエルドレッドにしっかりと勝っておかないとな。
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