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第4章 エルフの里アルフヘイム

201話 エルフの長老

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 それから数分後。
 俺たちは、大きな樹の下に到着した。

「ここが我が一族の里だ」

「おおっ!」

「すごい……! お城みたいだね」

 シルヴィとユヅキが感嘆の声を上げる。
 それほどまでに、立派な樹だった。

「あの樹の上の方に長老の家がある」

 ピュセルがそう言って、上を指差した。

「へえ。あの樹に住んでるのか?」

 俺は尋ねる。

「そうだ。他にも、たくさんの者が住んでいる」

 ピュセルはそう答えた。

「それじゃ、まずは長老に会いに行こう。話はそこからだ」

 俺は仲間たちを見回して言った。
 反対意見はないようだ。

「そうだな。我が先に報告しておこう。ヤナハ、彼らを連れて来てくれ。それほど急ぐ必要はないぞ」

「分かりました。ピュセル姉さん」

 ピュセルが足早に先へ向かう。
 そして、俺たち『悠久の風』はヤナハの案内に従い樹の根元にある階段をゆっくりと上っていく。
 …………。

「おおっ! よく来たのう!」

 長老は俺たちを歓迎してくれた。
 その横には壮年の男や若者が数人いる。
 おそらく、里の重鎮や有力者なのだろう。
 ピュセルも立っている。

「遠いところから、わざわざすまなかったな。ささ、座ってくれ」

 長老の言葉に従い、俺とピュセル、それにティータとローズがテーブルにつく。
 シルヴィたち他の者は、それぞれ少し離れたイスに座る。

「お茶を用意しましたよ」

 ヤナハがカップを持ってやってきた。
 俺たちの前に配膳してくれる。

「ありがとうございます」

 ローズがお礼を言う。

「いえいえ。とんでもないです」

 ヤナハは謙遜しながら、下がった

「それで、今日は何用で来られたのだ? ピュセルからは、賓客ということだけは聞かせてもらったのだが……」

 長老が口火を切る。

「ああ。実は……」

 俺はこれまでの経緯を話す。

「なんと!? ブラックワイバーンを倒しただと? しかも、たった7人で!?」

「正確にはもっと大人数だがな。他の冒険者や兵士も戦っていた。俺たち『悠久の風』は、少し弱った状態のブラックワイバーンを倒しただけだ」

「うむ。それは失礼をした。だが、信じられん……。ブラックワイバーンといえば、竜族のなかでも上位の魔物だ。それを討伐するとは」

 長老がそう言う。
 そして、改めてこちらを見つめる。

「我らの同胞が迷惑をかけたこと、申し訳なく思う。謝罪しよう」

「いや、いいんだ。神聖な湖を汚した俺たちにも非はある。それより、これからのことなんだが……」

 俺はピュセルに視線を向ける。

「ふむ。エルフの里をあちこち見て回りたいという話だったな?」

「ああ。そうだ」

 俺はうなずく。

「そんなことか。わかった。ピュセルに案内させよう。ただ、ひとつだけ頼みがある」

「なんだ?」

「我らの暮らしぶりを見て、感想を聞かせてほしいのだ。人族の町で暮らす者にとって、森での暮らしがどのように映っているのか知りたくてな」

「そういうことだったら任せてくれ。この目でしかと見せてもらおう」

「うむ。よろしく頼むぞ」

 こうして、俺たち『悠久の風』はピュセルの案内の元、エルフの村を巡ることになったのだった。
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