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第3章 武の名地テツザンへ

168話 vsブラックワイバーン

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 ブラックワイバーンとの戦いが始まる。

「グオオオッ!」

 俺たちが近づくと、奴は大きな雄叫びを上げた。

「来るぞ! 気をつけろ!」

 俺はそう注意を促す。
 次の瞬間、奴はこちらに向けて口から炎のブレスを放った。

「くそ! 避けきれねえ!」

「ロックウォール!」

 ユヅキが咄嵯に防御魔法を唱える。
 俺たちの前に石の壁が出現して攻撃を防いだ。

「助かった! ナイスだユヅキ!」

「いや、これも長くは持たないよ!」

 ユヅキが叫ぶと同時に、壁が崩れ去る。
 ちょうどブレスと相殺できたぐらいか。
 次の手は……。

「アイスストーム!」

 シルヴィの氷魔法が放たれる。

「ギシャアッ!」

 翼竜は悲鳴を上げながら、大きく身体を仰け反らせた。

「今だ! うおおおっ!! ダブルラッシュ!!」

 俺は素早く間合いを詰めると、思い切り斬りつける。

「ギャアァッ!」

 体を斬りつけられた痛みで、奴は再び大きな鳴き声を上げた。
 よし、効いてるぞ。
 俺たちはそのまま攻撃を続けて、翼竜を追い詰めていく。
 だがその時だった。

「ガオオォン!!」

 ブラックワイバーンが大きく翼を広げながら、天高く吠えたのだ。

「なんだ!?」

 すると突然、黒い雲のようなものが現れた。
 それは瞬く間に広がっていき、辺り一面が真っ暗になる。

「これは……まさか、雷か?」

 俺はそうつぶやいた。
 ブラックワイバーンの中には、強力な電気を操る個体がいる。
 MSCではそうだった。
 こいつもそうかもしれない。

「みんな! 早く離れるんだ! 感電するぞ!」

 俺がそう呼びかけるが、既に遅かった。
 バリバリッ!!!
 凄まじい音がして、稲光が走った。
 そして……一瞬にして視界が白くなる。

「ぐあああっ!」

 全身に強烈な電流が流れ、その場に倒れ込んだ。
 ……意識が遠のいていく。
 まずい……このままじゃ、本当に死ぬ。
 そう思っていた時だ。

「へへっ! 雷相手なら、あたいに任せてくれよ」

 リンがそう言う。
 雷魔法使いの彼女には、雷耐性がある。
 この雷撃も無事に耐えていたようだ。

「いくぜっ! 裂空脚!!!」

 リンが蹴りを放つ。
 だが、その一撃はあまりダメージを与えていないように見えた。

「ちっ! 固いな……」

 リンは舌打ちをする。
 だが、翼竜の動きの邪魔はできている。
 この間に何とか態勢を整えるんだ。
 俺がそんなことを考えていたときだった。

「ヒール!!」

 俺たちを光が包み込む。
 おかげで、動けるまで回復した。

「これは……」

「コウタ殿! それに皆様! ご無事ですか!?」

 ローズだ。
 戻ってきてくれたのか。
 結構危ないところだったので、助かった。
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