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第3章 武の名地テツザンへ

164話 vsビッグベアー

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 俺たち『悠久の風』は、先遣隊の一部として森へ魔物退治に繰り出した。
 ティータやローズが、一時的にパーティに加入している。

「ここが魔物の目撃情報があった場所です」

 領軍の兵士が説明をする。

「よし。各隊で、早速捜索を始めてくれ」

 クラウスが言う。
 先遣隊がパーティや小隊ごとに分けられ、かなりの広範囲にわたって捜索が行われていく。

「確かに、魔物の数が増えているようだな」

「そうだね。……せいっ!」

 俺やユヅキ、それに他のメンバーの活躍により、小型の魔物を順調に討伐していく。
 数は多いが、脅威というほどでもない。
 他のパーティや小隊も問題なく狩りを行っているはずだ。

「この調子なら何事もなく終わりそうだな」

「油断大敵なのです。クラウスさんの話では、魔物の親玉クラスがいるはずなのです」

「そうですわね。気を引き締めて参りましょう」

 ミナとローズがそう言う。
 俺たちは周囲を警戒しながら、さらに奥地へ向かって進んでいく。
 小型の魔物を何度か討伐した。
 そのまましばらく歩いていると……。

「ご主人様! いました! ビッグベアーです!」

 シルヴィが叫んだ。
 彼女が指差している方向に視線を向けると、そこには巨大な熊のような生物がいた。

「グオオオオッ!!」

 俺たちの姿を見つけた瞬間、魔物が襲いかかってきた。

「いきなりか!?」

 俺は驚きつつも、素早く剣を抜く。
 そして、振り下ろされた爪による攻撃を、ギリギリのところで防いだ。
 ギン!!
 甲高い音が鳴り響く。

「ガアアッ!!」

 魔物はそのまま力任せに押してくる。

「コウタ! 下がって! 僕の土魔法を使う!」

 ユヅキが声をかけてくる。
 俺はすぐさま後ろに下がった。

「ロックウォール!」

 直後、魔物の足元から岩の壁がせり上がる。

「ギャウンッ!!!」

 魔物は大きな悲鳴をあげながら、空中に浮かび上がった。

「今だ!」

 俺の声と共に、全員の攻撃が繰り出される。

「えいっ!」

「はあっ! なのです!」

「どりゃあ!」

 シルヴィ、ミナ、リンの攻撃がビッグベアーにヒットする。

「ウッドランス!」

「セイントアロー!」

 ティータが放った木魔法、そしてローズが放った弓矢も、魔物を貫くことに成功した。

「これで終わりだ! スーパーラッシュ!!」

 そして、俺の斬撃によって、ビッグベアーは完全に息絶えた。

「ふうっ。なんとかなったようだな」

 俺は額の汗を拭いながら言った。

「さすがは優勝者のコウタ殿が率いる冒険者パーティですわ。見事な戦いぶりでした」

 ローズが拍手をしながらそう言う。

「まあな。これくらいなら朝飯前だよ」

「……少しくらい謙遜した方がいいと思うけど……」

 ティータが冷静に突っ込んでくる。

「いや、本当のことだから」

 俺がそう返すと、他のメンバーたちも笑っていた。
 この魔物は結構なサイズ感だった。
 残された魔石もなかなかだ。
 親玉クラスだと考えていいだろう。
 クラウスからの報酬金にも期待できるかもしれないな。
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