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第3章 武の名地テツザンへ

161話 アイゼンシュタイン家の屋敷へ

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「ここがわたくしの別荘でございますわ」

 ローズに連れられてやってきたのは、テツザンの中心部にある豪邸であった。
 屋敷の敷地を囲むように高い塀があり、正門には門番までいる。

「随分と立派な屋敷だな」

 俺は率直な感想を述べる。

「ありがとうございます。このテツザンは、我がアイゼンシュタイン家の領地でして、領主である父もたまに視察へ来られるのです」

「なるほど」

「さあ、中に入りましょう」

 ローズが扉を開けて中に入るよう促す。
 俺たちはその後に続いて入っていった。
 玄関ホールに入ると、メイド服を着た女性が出迎えてくれた。

「おかえりなさいませ、お嬢さま」

「ただいま戻りましたわ。この方々をお連れしましたので、部屋へ案内してください」

「かしこまりました」

 女性は一礼し、俺たちを応接室へと案内してくれる。
 その途中、使用人たちが慌ただしく行き来している様子が見えた。

(何かあったんだろうか……?)

 俺は疑問に思う。
 やがて、俺たちは豪華な装飾が施された部屋に通された。
 ソファやテーブルなど調度品はどれも高級そうに見える。

「ここが応接室です。ここでしばらくお待ちください」

「わかった」

 俺がそう返事すると、ローズとティータは部屋を出ていった。
 俺たち『悠久の風』だけが部屋に残される。
 とりあえず椅子に座って待つことにした。
 …………。

「お待たせしましたわ」

 しばらくして、ローズとティータが戻ってきた。

「待たせてしまってすまないね」

 加えて、見知らぬ男性も一人いる。
 年齢は40代後半くらいだろう。
 貴族風の服装をしている。

「はじめまして。私はこの街の領主を務めているクラウス・フォン・アイゼンシュタインという者だ」

 男性は自己紹介をした。

「これはわざわざご丁寧に。俺はコウタだ」

 俺は立ち上がり、そう挨拶をする。

「今日は突然の訪問に対応していただき感謝する」

 クラウスがそう言う。
 この様子だと、俺が強引にローズの体を堪能したことはバレていないようだな。
 怖い怖い。
 一歩間違えれば死刑になるところだったぜ。

「それで、話というのは?」

 俺はローズに尋ねる。

「えっと……」

 ローズが言い淀む。

「実は、街の付近で魔物が大量に発生しているのだ」

 代わりに答えたのはクラウスの方であった。

「魔物が?」

「そうだ。幸いにも今のところ人的被害は出ていないのだが、このままではいずれ街に危険が及ぶかもしれない」

「確かに……」

「そこで、あなたたち冒険者に討伐の依頼を出したいと考えている」

 クラウスがそう申し出る。
 魔物の討伐は、俺たち冒険者の本分だ。
 金稼ぎにもなるし、ジョブのレベルアップにも繋がるし、冒険者ランクの上昇にも繋がる。
 引き受けることは問題ない。
 詳細を詰めていくことにしよう。
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