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第3章 武の名地テツザンへ

154話 おはよう、コウタちゃん……

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 打ち上げの翌朝になった。

「ふう。昨日は飲みすぎたな……」

 俺は宿の一室で目を覚ます。
 少し頭が痛い。

「うっ。気持ち悪いです……」

 隣で寝ていたシルヴィが苦しそうにしている。

「おい、大丈夫か?」

「……ちょっとだけ気分が悪いです……」

「はいよ」

 俺はコップを取り出し、水を注ぐ。

「ほら、これを飲め」

「ありがとうございます……」

 シルヴィは水を受け取り、一気に飲む。

「ふぅ。スッキリしました」

「ならよかった。さて、みんなを起こすか。……あれ?」

 違和感を覚えた。
 いつもは5人でいっしょに寝ている。
 俺、シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リンだ。
 しかし、この場にはもう1つの気配がある。

「……ん。おはよう、コウタちゃん……」

 ティータが俺の横でそう言う。

「お、おう。おはよう……」

 俺は戸惑いながらも挨拶を返す。

「あ、あの……。これはどういう状況でしょうか?」

 シルヴィが動揺した声で尋ねてくる。

「俺にもわからん」

 記憶をなくすまで飲むのは、俺の悪い癖だ。

「……へえ。覚えてないんだ? ティータの処女を強引に奪っておいて……」

 よよよっと泣き真似をしながら、ティータがそう言った。

「なっ!?」

 俺は絶句する。
 そして、ティータの方を改めて観察する。
 彼女は全裸だった。
 エルフの種族特性のためか、非常に幼い体つきだ。

 あそこはツルツル、胸はぺったんこである。
 だが、俺にとっては問題ない。
 そのような些末なことで、俺のマグナムは影響を受けないのだ。

 ……いや待て!
 むしろその逆だ。
 未発達な裸を見て興奮しないのは、男としてどうかしているのではないか。

「……ティータはこの年まで貞操を守り抜いてきた。まさか無理矢理されるなんて。これは人族とエルフ族の種族間の問題になるよ……?」

「マジですか」

「……うん。マジだよ……」

 どうやら、冗談ではないらしい。

「わかった。では、責任をとってティータも俺のハーレムに加えて……」

「ちょっと待つのです!」

 ミナがそう口を挟んできた。
 いつの間にか目を覚ましていたようだな。

「どうした?」

「ティータさんは、昨晩自分からコウタくんに詰め寄っていたのです! ムリヤリなんて嘘なのです!」

 ミナがそう言う。

「そうだぜ! それに、動きもこなれていた。処女っていうのも嘘だろ!」

 リンがそう被せる。
 『悠久の風』の中でも酒に強い彼女たちがそう言うのであれば、そうなのだろう。

「……バレちゃった。強引にされたというのは嘘……」

 ティータがそう言ってクスッと笑う。
 ……くそっ。
 完全に遊ばれてるじゃねえか。

「……でも、ティータが処女だったのは本当だよ。ほら……」

 彼女がシーツを指差す。
 そこには血の跡があった。
 マジか。

 ……うっすらと思い出してきた。
 確かに、彼女を抱いたような記憶がある。
 ここは責任を取るべきだろう。
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