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第3章 武の名地テツザンへ

153話 乾杯

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 打ち上げを行おうとしているところだ。
 シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リンに加えて、ローズとティータもいる。

「喋ってるところ邪魔しますね。お料理ができましたよ~!」

 店員の女性が皿を運んでくる。

「おお、ありがとう」

 彼女が俺たちのテーブルにそれらを並べていく。

「それでは、ごゆっくり~」

 女性は去っていった。

「さてと。せっかくの優勝パーティーだ。みんなで楽しまないとな。ローズとティータもせっかくだしいっしょに飲もう」

「あら。ありがとうございます。ではお言葉に甘えて……」

「……ん。ありがとう……」

 俺はまず乾杯用のジョッキを持つ。

「さあ、改めて……。我らの勝利と新たな出会いを記念して、カンパーイ!」

「「「かんぱいーっ!」」」

 仲間たちとグラスをぶつけ合い、勝利を祝う。

「コウタ、優勝おめでとーっ!」

「流石です、ご主人様!」

 ユヅキとシルヴィが改めて祝福してくれる。

「ありがとよ」

 俺は笑顔で答える。

「くぅっ! うめぇなぁ! この肉!」

「こっちのお魚も美味しいのです」

 リンが豪快に食べ、ミナは小動物のようにちょこまか動きながら食事を楽しんでいる。

「ここのお酒はなかなかですわね」

「……うん。いい感じ……」

 ローズとティータが満足そうな表情を浮かべている。
 そして、俺たちが適当な雑談で盛り上がっていく。

「ところで、コウタ殿はどうしてこの大会に出てみようと思ったのですか?」

 ローズがそう尋ねてくる。

「実は、俺には夢があるんだ」

「へえ。どんな?」

 彼女が興味津々といった様子で聞いてくる。

「俺の夢は、ハーレムを築くことだ。そのためには、もっと強くなり、もっと稼がなければならない」

 現代の地球では、男女の共同参画が広まりつつあった。
 それはそれでいいことなのだろうが、女性には妊娠という大きな生物的な負担がある。
 そこを考慮すれば、男性の方が少し多めに稼ぐべきだろう。

 この世界にはジョブやスキルというシステムがある分、男女の性差は縮まっている。
 しかし、妊娠するのが女性という点は同じだ。
 やはり男の俺が稼いでいくべきだろう。
 しかも、ハーレムを目指しているわけだからな。
 みんなに不自由な思いをさせないように、もっと上を目指すつもりだ。

「なるほど。それで強さを求めているのですね。いい心掛けだと思いますわ」

 ローズはそう言って微笑む。
 ハーレムと聞いて、もっと引かれるかと思ったが……。
 意外に普通の反応だ。
 まあ、貴族には側室や妾が付き物だしな。
 これはワンチャンあるかもしれない。

「俺自身が強くなれば、それだけ収入が増えるし、女にもモテる。一石二鳥どころか三鳥くらいある」

 俺は苦笑しながらそう答えた。

「ふふ。コウタ殿は面白い方ですね。ティータ殿もそう思いません?」

「……ん。エルフは繁殖欲が小さい種族。コウタちゃんのような男の子はめずらしく感じる……」

 ティータがそう言う。
 俺のことをちゃん付けで呼んだな?
 そういえば、エルフは見た目が若々しいまま歳をとる種族だったか。
 ティータの外見年齢は10代中盤だが、こう見えてもっと年齢を重ねているのかもしれない。

「ははは! そりゃどうも」

「わたくしも応援してますわ。頑張ってくださいませ」

「おう。頑張るぜ!」

 こうして、打ち上げは盛り上がっていった。
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