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第3章 武の名地テツザンへ

151話 優勝

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 決勝戦の続きだ。
 俺がやや劣勢だが、ここから巻き返して見せる!

「うおおぉっ!!」

「何!?」

 俺が大声で叫ぶと同時にディアロが怯んだ。

「はぁぁっ!!」

 そのまま俺はディアロの腕を押し返す。

「ぐっ……」

 ディアロがよろけた。

「まだまだっ!」

 俺は連続パンチを繰り出す。
 ドガガガガッ!

「ぐおおぉっ!?」

 ディアロが吹っ飛ぶ。

「おおっ すごい! コウタ選手、怒涛の攻撃! ディアロ選手、防戦一方となっております!」

 実況のデボラがそう叫ぶ。

「ぐぐぐ……」

 ディアロが立ち上がろうとするが、フラついていた。

「ははは。もう終わりか?」

 俺は挑発する。

「調子に乗るなよ! 新人風情が!!」

 ディアロが立ち上がり、再び襲いかかってくる。
 気力は認めよう。
 さすがは前回の優勝者だ。
 しかし……

「これで最後だ!」

 俺は渾身の一撃を放った。
 バキッ!

「ぎゃああああああ!!!」

 ディアロは叫び声をあげながら再びぶっ飛んでいった。
 そして、壁に激突して動かなくなる。

「勝負あり! ……勝者、コウタ選手!」

 審判が宣言し、会場は歓声に包まれた。

「おおぉぉぉぉっ!!!」

「すげえ! すげえぞ!」

「初出場で初優勝だ! しかも決勝であのディアロを倒すとはな」

「こりゃとんでもないルーキーが現れたもんだ! 優勝おめでとう!」

「コウタ様ーっ!」

「素敵ーっ!」

 観客のみんなが祝福してくれる。
 嬉しいものだな。
 女性ファンも何人かできたかもしれない。
 そのうち摘み食いを……。
 俺はそんなことを考えながら、ステージ上で歓声に応えて手を振る。

「ご主人様!」

「コウタくん!」

 シルヴィとミナが駆け寄ってきた。

「やったね!」

「さすがだぜ!」

 ユヅキとリンもやってきて、祝福してくれる。

「ありがとう。みんなのおかげでここまで来れたよ」

 俺は笑顔で言う。

「いえ。わたしは何もしていません」

「そうなのです。全部、コウタくんが一人で勝ったのです」

 シルヴィとミナがそう言う。

「何を言ってるんだよ。二人の応援がなかったら、そもそも決勝の舞台にすら立てなかったぞ。もちろんユヅキとリンの声援にも勇気づけられた」

「そう? ならよかったよ」

「へへっ。そりゃ何よりだぜ。できればあたいも決勝戦に出たかったけどよ」

 リンが残念がっている。

「まあリンもベスト4だし十分だろう。それに、組み合わせによってはリンが優勝していた可能性もあるしな」

 今思えば、ディアロは少し疲弊気味だったかもしれない。
 リンが準決勝戦で消耗させてくれていたおかげだろう。

 さて。
 無事に優勝できたことだし、名誉と賞金は俺のものだ。
 ジョブレベルも上がったし、格闘の経験も積めた。
 成果は非常に大きいと言えるだろう。
 勝利を祝うため、今日は盛大に打ち上げを行うことにしよう。
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