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第3章 武の名地テツザンへ

149話 決着

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 準決勝戦の続きだ。
 リンが『獣化』のスキルを使用し、有利に試合を進めている。

「みんな、ありがとう! よっしゃ! このまま一気に決めるぜ!!」

 リンがさらにスピードを上げていく。

「なんだと……! うおおおおおおおおっ!!」

 ディアロも負けじと反撃する。
 ドガッ!
 バキッ!
 ボコッ!
 二人の攻防が続く。

「はぁ、はぁ……」

 先に息が上がり始めたのはリンの方だった。

「どうやら、限界のようだな」

 ディアロはたくさんのダメージを受けつつも、少し余裕がある。

「まだまだぁ~っ!!」

 それでも、リンは諦めない。

「しつこい奴め! これで終わりだ!」

 ディアロの闘気が増していく。
 渾身の一撃を放とうとしているようだ。

「今だ! 秘技・閃光蹴りぃーっ!!!」

 リンがその隙をついて、強烈なキックをかました。

「ぐぬっ!! な、なんのこれしき!」

 ディアロが攻撃を受けながら、なんとか踏ん張ろうとする。

「うおおーーーっ!!!」

 リンは叫びながら、ディアロの体を下から蹴り上げる。

「ぐわあっ!?」

 ディアロの巨体が宙に浮いた。
 そして、そのまま地面に叩きつけられる。

「へへっ! もらったぜ! とどめだーっ!!」

 リンがかかと落としを放つ。

「まだだ! 奥の手を見せてやる!!」

 ディアロが何かを唱える。
 すると、ディアロの腕が巨大化した。

「なにっ!?」

 リンの攻撃が受け止められる。
 そしてそのまま……

「必殺っ、ギガナックルっ!!!」

 ディアロは巨大な拳でリンを殴り飛ばす。
 ドガァーンッ!

「ぐっ……」

 リンが壁に激突した。
 ダメージは相当に大きいようだ。
 起き上がってこない。
 審判がカウントを進めていく。

「リン選手、ダウン! 勝者、ディアロ選手!」

 審判が宣言をする。

「おおおおぉっ!」

「マジか!?」

 観客席からどよめきが起こる。

「まさか、リンさんが負けるとは……」

 俺の隣にいるシルヴィが呟く。

「ああ。相手のディアロは相当に強かったな。さすがは前回の優勝者だ」

 リンは格闘の経験者だ。
 しかし、本格的に学び始めたのはこのテツザンに来てからである。
 前回大会の優勝者に勝つのは厳しかったか。

「リンちゃん、大丈夫かな?」

 ユヅキが心配そうな顔をする。
 リンはまだ起き上がっていない。
 治療魔法士が駆け寄り、治療にあたっている。

「大きな心配は要らないと思う。おそらく、気絶してるだけだろう」

 俺はそう答えた。

「ベスト4でも十分な成績なのです。それに……」

 ミナがチラリと俺の方を見る。

「おう。俺がリンの仇を討つ! 決勝戦、応援していてくれ!」

「はいなのです!」

「期待してるよ」

「応援しています!!」

 ミナ、ユヅキ、シルヴィがそう言う。
 いよいよ次が最後の試合だ。
 リンの無念を晴らすため、そして俺の名声のためにも、絶対に勝ってみせる!
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