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第3章 武の名地テツザンへ

147話 大会の進行

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 その後も、順調に大会は進んでいった。

「うう……。二回戦で負けちゃいました……。申し訳ありません、ご主人様」

 シルヴィがションボリとした顔で選手控え室に戻ってくる。

「いや、十分だ。シルヴィはよくやった」

 そもそも彼女の本来のメインジョブは『氷魔法使い』だ。
 今は一時的に『獣闘士』を設定しているとはいえ、まだまだ経験不足なのは仕方ない。
 今後の冒険者活動に活かすことができれば十分である。
 さらに試合は続いていき……。

「ボクは三回戦負けだったのです」

「僕もだね。まあ、結構がんばれたかな?」

 ミナとユヅキがそう言う。

「そうだな。二人とも強くなった」

 これはトーナメント形式の大会だ。
 二回戦を突破した時点で、上位25パーセントには入れていることになる。
 二人とも格闘の鍛錬を始めて数か月でここまで来れたのだ。
 充分健闘したといえるだろう。

 シルヴィ、ミナ、ユヅキは敗退。
 まだ残っているのは俺とリンだ。
 俺たちは引き続き集中して試合に臨む。
 そして……。

「決まったあああぁぁぁぁ!!! 決勝戦進出者は、なんと初出場のコウタ選手だぁぁぁぁ!!」

 司会のデボラが叫ぶ。

「さすがはご主人様です!!」

「すごーい!」

「当然の結果なのです!」

 シルヴィ、ユヅキ、ミナがそう言う。
 どこか誇らしげだ。

「みんなの応援のおかげだよ。それに……」

 俺はステージの方を見る。
 もう一つの準決勝戦が始まろうとしている。

「がんばれっ! リン!」

「応援してるよーっ!」

 俺とユヅキはそう声援を送る。
 そう。
 リンも準決勝に残っているのだ。
 彼女はもともと格闘の経験があるそうだし、シルヴィたちと比べて一回り上手だ。

「おうよ! 決勝で会おうぜ! コウタっち」

 リンが威勢よくそう言う。

「それではこれより、準決勝第二試合を行います! まずは、初出場のリン選手! 本職は料理人で、エルカの町のコンテストでは3位に輝いたこともある達人です!!」

「「おおおおぉっ!」」

 会場から歓声が上がる。

「対するは、テツザンのエース! 昨年度の優勝者、ディアロ選手だぁぁ!!」

「「「わあっ!!」」」

 今度はディアロコールが巻き起こった。

「へへっ。どうやら、相手にとって不足はないみてえだな」

 リンがディアロにそう声を掛ける。

「ふ。君のような小娘に負けるほど、俺は落ちぶれてはいないぞ。悪いことは言わん。怪我をする前にすぐに棄権した方がいい」

 ディアロがそう言う。
 リンを侮っているようだ。
 準決勝まで勝ち上がっている時点で、リンの実力も相当なものなんだけどな」

「いーや。ここまで来て棄権なんかするかよ!」

「ならば、後悔させてやる!」

 両者は睨み合う。
 さて。
 リンの勝利を信じて、応援することにしよう。
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