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第3章 武の名地テツザンへ

146話 二回戦 コウタvsユーヤ

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 武闘大会が開催されている。
 俺は一回戦で無事に勝利を収めた。
 その後、シルヴィ、ユヅキ、ミナ、リンも一回戦を無事に突破した。

 この大会の平均レベルは高いが、一回戦だとさほど強くない者も多い。
 初っ端から強豪と当たった俺は不運だった。
 まあ、強敵と戦っていい経験を積めたという点では幸運だったと言えなくもないが。
 そして、さらに試合は進んでいく。

「それでは二回戦第一試合に入ります。……まずは、一回戦で大金星を挙げたコウタ選手の登場だー!」

 司会のデボラがそう叫ぶ。

「いけーっ!」

「お前に賭けたぞーっ!!」

 観客たちからそんな声が上がる。
 俺は少し照れる。
 そして、ステージ中央に向かいながら相手の方を見ると、見知った顔が目に入った。
 あいつは……。

「対するは、こちらも初出場! ユーヤ選手だああぁ!」

 やっぱり、そうか。

「よっしゃあ! 行けえぇぇ!」

「ぶっ飛ばせぇ!!」

 またもや観客たちの応援が飛ぶ。

「コウタの兄貴! 俺も鍛錬して強くなりましたぜ!」

 ユーヤがそんなことを言ってきた。

「あぁ、佇まいでわかる。お互いがんばろうな!」

 俺は手を差し出して握手を求める。
 すると彼はその手を握り返してきた。

「兄貴の魔法や剣術の腕は相当なものですが……。格闘においては俺と同じぐらいの年季でしょう! 今日は勝たせてもらいやす!」

 彼が真剣な表情で言う。

「それはどうかな? こっちだって必死に鍛錬してきたんだ。簡単には負けられない」

 俺も彼に言葉を返した。
 握手を終え、離れて向き合う。

「両者向かい合って構えてぇ~。レディィイ、ファイッ!!」

 ゴングが鳴る。

「せいっ!」

 ユーヤが先に仕掛けてきた。

「『気功波』!」

 俺は新技で対抗する。
 気功の波動がユーヤに直撃する。

「ぐはっ!」

「おっと! これは凄まじい威力だぁ! ユーヤ選手が吹き飛ばされたぞ!」

 ユーヤは仰向けに倒れこんでいる。
 生身の人間ならこれで戦闘不能になってもおかしくないが……。

「ふぅ、危なかったです。まさかこれほどとは……」

 ユーヤはピンピンしている。

「ほう。咄嗟に『鉄心』を使ったか』

「はい! この程度で負けるほど俺は甘くありません!」

 再び向こうから攻撃を仕掛けてくる。
 俺はそれを防御しながらチャンスをうかがった。

「くそっ、なかなか攻撃が重い!」

 なんとか耐えているが、反撃できない。
 ユーヤの実力も相当に向上している。
 準師範やアーノルドにうまく鍛えられたようだな。

 このままではジリ貧だ。
 仕方ない。
 とっておきの技を使うか。

 俺は両手を合わせ、そこにエネルギーを集中させる。
 そして……。

「『気功砲』!!」

 一気に放出した。
 ドゴォン!!
 轟音が鳴り響く。

「ぐわあぁっ!?」

 爆発が起き、煙が立ち込める。
 しばらくしてそれが晴れると、そこにはボロボロになったユーヤの姿があった。

「はあっ、はあっ……。や、やりますね。でも俺も負けませんよ……!」

 立ち上がろうとする彼に向かって、俺は歩み寄る。

「もういいだろう。降参しろ」

 俺は優しく声をかけた。

「い、いえ……。まだ戦え……ぐっ!」

 ユーヤは起き上がってくるものの、ダメージが蓄積されているのかフラついている。
 これ以上は危険だと判断した俺は、彼の首に手刀を入れて気絶させた。

「勝者、コウタ選手!!」

 デボラの声が響き渡る。
 こうして俺は二回戦も無事に勝利した。

「お疲れ様です! ご主人様!」

「すごい試合だったのです」

 シルヴィとミナが駆け寄ってくる。

「ありがとう! 二人も頑張ってくれよ!」

「もちろんです!」

「任せるのですよー!」

 二人はそう言って胸を張った。

「コウタ。ユーヤは強かった?」

「ああ。予想以上の強さだった。奴も将来有望だな。さすがはユヅキの兄だ」

「ふふ。僕も負けてられないね」

 ユヅキがそう言って微笑む。

「へへっ。次の戦いに向けて、あたいも準備を始めるぜ!」

 リンがそう言う。
 俺に続いて、彼女たちにも勝ち進んでほしい。
 特に、『獣闘士』のジョブをもともと伸ばしていたリンなら、相当にいい線いけるだろう。
 期待したいところだ。
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