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第3章 武の名地テツザンへ

137話 気功術

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 その後もしばらく鍛錬を続ける。
 『獣闘士』のジョブを持っているリンはやはり高評価だった。
 ミナの剛腕、ユヅキの身のこなしもなかなかだ。
 シルヴィは……やる気はある。
 今後に期待だ。

 そして、昼休憩を取る。
 昼食を終えた後は座学の時間だ。
 武術に関する講義を受ける。

「『気功術』というのは知っているか?」

「聞いたことがあるような、ないような……?」

 ユヅキが首をひねる。

「知らないですね……」

 シルヴィも似たような反応だ。

「ボクも初めて聞く言葉なのです」

 ミナもわからないようだ。

「『気功術』とは、身体に流れる魔力を気功に変換し、身体能力の底上げに使う技術だ。『格闘家』『獣闘士』などのジョブ持ちが使うことが多い」

 俺はそう説明する。
 MSCではそうだった。

「ほう。よく知っているな」

 ロドリゴが感心したように言う。

「『獣闘士』のジョブを持つあたいはもちろん知っていたぜ。というか、普段から使っていたしな」

「そうなのですか!?」

 シルヴィが驚く。

「確かにリンは使っていたな。だが、残念ながら『気功術』を使えるようになるには、かなりの修練が必要だ。今の俺たちにはまだ早いかもしれない」

「うむ。基本的には『格闘家』や『獣闘士』のジョブを取得してからの話だな。しかし稀に、『気功術』をすんなりと使えるようになる者もいる。そういう奴は、ジョブの取得も早い」

 ロドリゴの説明が続く。
 『気功術』の習得が先か、ジョブの取得が先か。
 どちらもあり得る。

「へえ。そうなんだ」

「じゃあ、リンさんってすごい人なんじゃないんですか?」

 ユヅキがそう呟き、シルヴィが問う。

「そうだな。リンはすごいぞ」

「へへっ。それほどでもねえよ。あたいは小さい頃から定期的に鍛錬していたからな」

 そんな会話をしつつ、座学は進んでいく。
 今日はここまでだ。
 俺たちは道場の片付けを手伝ったあとで、帰路につく。
 その途中。

「おーい! みんな!」

 聞き覚えのある声が聞こえてきた。
 ユーヤだ。
 その後ろから、アーノルドとレオン、そして『大地の轟き』の面々も歩いてくる。

「おう、ユーヤもこの道場で鍛錬していたんだよな?」

「ええ。俺たちは準師範に稽古をつけてもらいやした!」

 ユーヤがニコニコしながらそう答える。

「そうらしいな。せっかくだし、ともに鍛錬するのかと思ったが……」

 俺はそう言う。
 別に野郎といっしょに行動する趣味はないので、どうでもいいと言えばどうでもいいが。

「もちろんそれも悪くねえ。しかし、1人の指導者が面倒を見れる人数にも限りがあるからな」

 アーノルドがそう言う。

「なるほど」

「ま、数か月もあれば『格闘家』のジョブは取得できるだろう」

「数か月か」

「なあに。魔物戦の感覚を忘れないようにたまには狩りをしてもいいし、ジョブの取得が難航するようなら諦めるのもありだ。その頃には、多少は身のこなしが向上しているだろうしな」

「わかった。できれば、取得してから帰りたいものだな」

 俺は、『格闘家』や『気功術』の裏技じみた習得方法を知っている。
 とはいえ、あまりにも早く取得すると師範やアーノルドたちに不審に思われるかもしれない。
 それに、ジョブとは無関係に鍛錬の経験を積むのも悪いことではない。
 ジョブの取得やジョブレベルの上昇だけでは、経験までは身に付かないからな。
 しばらくは真面目に鍛錬をするのがいいだろう。
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