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第3章 武の名地テツザンへ

136話 道場に入門

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 大会を観戦した翌日になった。
 俺たち『悠久の風』は、朝食を食べ終えて宿屋のロビーで寛いでいるところだ。

「ねえコウタ。今日の予定はなんだっけ?」

 ユヅキがそう問う。

「アーノルドに紹介してもらった道場に行く予定だぞ」

「格闘の鍛錬ですよね。わたし、がんばりますよ!」

 シルヴィがそう意気込む。
 彼女は『氷魔法使い』だ。
 魔法を使うジョブでありながら近接戦闘の訓練をするのは珍しいが、別に問題はない。
 俺の『ジョブ設定』のスキルでジョブをいつでも変更できるし、いろいろなジョブを育成しておくメリットは大きい。

「へへっ。あたいはもう『獣闘士』のジョブを持っているからな。みんなより先輩だぜ!」

「リンさんの身のこなしは参考にさせてもらうのです」

 リンとミナがそう言う。
 『獣闘士』は『格闘家』の類似ジョブだ。
 身体能力に若干優れる代わりに、技巧が少し劣る傾向がある。

「さて、そろそろ行くか」

「おー」

「はい!」

「了解なのです」

「いくぜえ!」

 俺たちは宿を出て、町を歩く。
 昨日のうちに、アーノルドから集合場所は聞いている。

「ここだ」

 やって来たのは、町外れにあるなかなか立派な道場だ。

「頼もー!」

 俺は大声でそう言う。
 ガラッ!
 道場の扉が勢いよく開く。

「おお、来たな。待っていたぞ」

 出迎えてくれたのは、初老の男性だ。

「アーノルドとレオンから話は聞いている。お前たちが新しい門下生だな? 儂はこの道場の師範を務めるロドリゴだ。よろしく頼む」

「こちらこそよろしく頼む」

 俺たちは互いに挨拶を済ませる。

「ところで、アーノルドやユーヤたちはどこに?」

「奴らは準師範が指導を行なっておる。今は屋外での鍛錬中だ。お前たちの面倒は師範である儂が見てやるから安心しろ」

 せっかく同じ道場に入門したのに、別行動か。
 まあ、別に野郎といっしょに鍛錬したいわけでもないのだが。

 そして、早速訓練を開始した。
 まずは基礎体力作りからだ。
 ランニングや腕立て伏せなどの基礎的なトレーニングを行う。

「ふう。結構疲れるね」

 ユヅキがそう言う。
 彼女は冒険者歴がそれなりに長い。
 体力もそこそこある。

「ぜえ、ぜえ……。まだまだがんばりますよ」

 シルヴィはまだまだ体力が不足気味だ。
 ファーストジョブは『氷魔法使い』だし、冒険者歴もあまり長くないからな。
 続いて、順番に師範と組手をする。
 最初は俺だ。

「ほう。なかなかやるではないか」 

「ああ。『格闘家』のジョブは持っていないが、これでもそれなりの経験はあるんでね」

 MSCでは、『格闘家』のジョブを育てたこともあった。
 ゲーム内での経験ではあるが、ある程度この世界での戦いにも活かすことができる。

「ふむ。お前なら、1か月も鍛錬をすれば『格闘家』のジョブを習得できるだろう」

「それはありがたいな。できればもっと早く習得したいが」

「では、毎日きちんと鍛錬をすることだな。精進せよ!」

「わかった」

 こうして、俺と師範の組手は終了した。
 その後も鍛錬は続いていく。
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