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第3章 武の名地テツザンへ

123話 洗いっこ

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 風呂を貸し切り、『悠久の風』のみんなと混浴を楽しんでいる。
 まずは体を洗っていたところだ。

「さあ、コウタくんの体はきれいになったと思うのです」

「泡を流そうぜ」

 ミナとリンがそう言う。
 確かに、俺の体はもうきれいになった。
 背中をシルヴィ、左腕をミナ、右腕をリン、そして体の正面をユヅキが洗ってくれたおかげだ。

「まあ待て。次はお返しをしてやろう。まずはシルヴィからだ!」

 攻守交代となる。
 俺はシルヴィの方を向き、石鹸の泡で彼女の背中を洗い始める。

「わわっ! わたしなどのために、ご主人様が……。そんな、恐れ多いです」

「なにを言う。シルヴィには感謝している。これくらい当然だ!」

 彼女はよく働いてくれている。
 たまには労わないとな。

「あ、ありがとうございます! 嬉しいです!」

 シルヴィが満面の笑みを浮かべる。

「むー。シルヴィさんばっかりずるいのです」

「心配するな、ミナ。後で洗ってやる。もちろん、ユヅキとリンもな」

「わかった。約束だよ?」

「楽しみにしているのです」

 ユヅキとミナが嬉しそうにする。

「さあ、まずはシルヴィをみんなできれいにするぞ!」

 俺の号令とともに、みんなの手がシルヴィに向かう。
 俺はシルヴィの胸を洗い始める。

「あうっ! 嬉しいですが……。少し刺激が強いです。あ、ああっ! そこは!」

「ふはははは! まだまだ序の口だぞ!」

 素晴らしい触り心地だ。

「シルヴィさんの肌、すべすべしていて雪みたいだね」

「羨ましいのです。ボクは、鍛冶仕事で少し荒れ気味なので……」

 ユヅキとミナがそうこぼす。

「ユヅキとミナの肌も、健康的で素晴らしいぞ! もちろんリンもな。だが、シルヴィの肌が雪みたいで極上なのは同意する!!」

 俺はそう言う。

「へへっ。ありがとよ。まずはシルヴィっちをきれいにすることに専念しようぜ。足の裏を洗ってやるよ」

「あふっ! く、くすぐったいです」

「まだまだぁ! 俺はこの大切なところを洗ってやるぞぉ!!!」

「あああっ!! ご、ご主人様ぁ。そこはっ!!」

 シルヴィが甘えた声を出す。
 こうして、俺たちは互いの体をしっかりと洗った。
 ユヅキ、ミナ、リンの体も洗い、汚れを落とした。
 その後は湯船に浸かり、体の疲れをとる。

「ふう……。気持ちいいな」

「はい。最高な気分なのです」

「体がぽかぽかしてきました」

 ミナとシルヴィが幸せそうにそう言う。

「本当に、心から温まる思いだぜ」

「長旅の疲れが吹き飛ぶよ」

 リンとユヅキがリラックスした表情を見せる。
 みんな満足そうだ。
 その後、露天風呂も楽しみつつゆっくりした。

 ……むっ!
 念のためステータス画面を確認したところ、『英雄』のジョブが薄い灰色で追加されていた。
 文字が黒色になったら、実際にジョブに設定できるようになる。
 現時点では、取得条件の一部のみが満たされた感じだろう。
 この様子だと、MSCと同様の感覚で『英雄』も取得できそうだ。

 この町に来たときに周辺の地形をざっと見渡したが、『土魔法使い』のジョブの取得に適した場所もありそうだった。
 少し前に追加されたミッションは、近いうちに達成できるかもしれない。

ミッション
ジョブを10種取得せよ。
報酬:サードジョブ枠の開放

 俺が取得済みのジョブは7種だ。
 『英雄』と『土魔法使い』が追加されれば9種。
 さらに『格闘家』が追加されれば、10種になる。
 報酬のサードジョブ枠の開放については、おそらくだがパーティメンバーのシルヴィやユヅキたちの枠が開放されるのだろう。
 俺のサードジョブ枠は既に開放されているしな。

 風呂を上がったら、明日に向けて準備をしておくことにしよう。
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