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第3章 武の名地テツザンへ

121話 貸切風呂へ

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 宿屋の食堂で夕食をとった。
 そして、いよいよ貸切風呂の時間だ。
 宿屋の廊下をしばらく歩くと、浴場に到着した。

「ここだな」

「うん。そうみたいだね」

「大きい脱衣所なのですよ」

「風呂にも期待できそうだな」

 ユヅキ、ミナ、リンがそう言う。
 そこは、かなり広い脱衣所だった。
 服を入れるカゴが置いてある。
 また、この部屋の中から鍵をかけることができる仕組みになっている。

「よし、入るとするかね」

 そう言って、俺は衣服を脱いでいく。
 まずは上半身から裸になっていき、続いてズボン、下着の順に取り払っていく。
 その様子を見て、他の4人が少し顔を赤くしている。

「ん? どうかしたか?」

「いや……勢いよく脱ぎ過ぎだよ。恥じらいはないの?」

 ユヅキがそう言う。

「別に、俺たちの仲だし今さらだろ」

「でも、僕はまだそこまで吹っ切れないっていうか……」

 ユヅキが全裸でもじもじしている。
 体は手で隠されている。
 もっとすごいことまでした仲なのに、いっしょに裸で風呂に入るのは恥ずかしいのか?
 なかなか照れ屋さんだな。

「いいから早く入ろうぜ」

「ひゃっ!」

 俺はユヅキの手を引き、浴室へ向かう。
 彼女の体をちらりと見る。
 言葉遣いや雰囲気はボーイッシュな彼女だが、体はちゃんと少女らしい丸みを帯びている。
 すばらしい体だ。

 そのまま、浴室へ足を踏み入れる。
 その瞬間、ふわりとした湯気が身体を包んだ。

「おお。これは気持ちよさそうだな」

「うわー! おっきなお風呂なのです!」

「こんな大きなお風呂に入れるなんて!」

 浴槽は大きな岩を組み合わせて作られており、風情がある。
 ミナとシルヴィも興奮気味だ。

「いいね。それに、露天風呂もあるみたいだよ」

「ほう。そりゃ楽しみだぜ」

 ユヅキとリンがそう言う。
 確かに、ここからは2種類の風呂が見える。
 片方は普通の内風呂で、もう片方は屋外にある外風呂だ。

「とりあえず、ここは普通に内風呂に入ってみるか」

「賛成なのです」

「ボクもいいと思うな」

 ミナとユヅキが賛同してくれた。

「ちょっと待てよ。まずは、体を洗うのが流儀だって書いてあるぜ」

 リンがそう言う。
 確かに、浴室の壁にそのようなことが書かれてあるな。
 ご丁寧にイラスト付きだ。
 日本の浴場に用意されている外国人観光客向けの看板を思い出す。

「じゃあ、まずは洗い場で体を洗うか」

「はい。そうしましょう」

「郷に入れば郷に従うのです」

 というわけで、俺たちはタオルを持って洗い場に座る。
 それぞれ、自分の体を洗い始める。

 石鹸が用意されていた。
 ちゃんと泡立つし、なかなかの品質だ。
 ぬるぬるしていて気持ちがいい。
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