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第3章 武の名地テツザンへ

117話 テツザンに到着

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 エルカの町を出発して5日ほどが経過した。
 そしてついに、テツザンに到着した。

「おおーっ!!」

「すごいです!」

 俺やシルヴィをはじめ、みんな初めて見る光景を前に感動している。
 テツザンは、広大かつ雄大な自然に囲まれていた。
 町の周囲は高い壁で囲まれており、中へ入るには門から入るしかないようだ。

「これが武の名地か……。強い人がたくさんいそうですぜ、アーノルドの兄貴!」

「ああ。ここに滞在している連中のレベルは高いぞ」

 ユーヤが感嘆の声を上げ、アーノルドが同意する。

「どうするんだい、旦那方?」

 御者の男性がそう訊ねてくる。

「予定通り町の入口に向かってくれ。そこで契約は終了だ」

 アーノルドがそう指示を出す。

「あいよ」

 御者は手綱を操作し、馬を歩かせる。
 やがて、町の入口へと到着した。

「お疲れさん。またよろしく頼む」

 俺はみんなと一緒に馬車を降りる。
 最後に御者の男と挨拶をしておいた。

「こちらこそ。鍛錬がんばってな」

 彼はあいさつを返し、去っていった。
 彼は彼で、この町で一休みした後、また別の町に向かう乗客を探すのだろう。

「さて、行くぞ」

 アーノルドの案内のもと、俺たちはテツザンの町中に向けて歩きだした。

「うわぁ……。中もすごいですね……」

「なんか、エルカの町とは全然違うな……。重厚な建物が多い」

 シルヴィとリンは、物珍しそうにあたりを見回しながら歩いている。

「あそこに見える建物が、冒険者ギルドだな」

 アーノルドがそう言う。
 彼はこの町が初めてではない。
 以前、ここで格闘の鍛錬を積んだことがあると言っていた。

「冒険者ギルドもいいけど。まずは宿を取ろうよ。長旅で少し疲れたよ」

 ユヅキがそう提案してくる。

「ユヅキさんに賛成なのです。ボクも疲れているのです」

 ミナも賛成のようで、他の面々も異論はない様子だ。

「それなら、いい宿屋を教えてやるよ」

 アーノルドの先導のもと、俺たちはさらに歩みを進めていく。

「ここだ。値が張るが、料理はうまいし、部屋も広いぞ。風呂は混浴だが、事前に金を払えば時間制限付きで貸し切りにもできる」

 親切にも、宿の前に料金が書いてある。

「確かに、結構高いですね。ご主人様、大丈夫でしょうか?」

「ああ。これぐらいなら問題ないだろう。みんなもいいよな?」

 パーティとして活動する際には、俺たち『悠久の風』のサイフは同じになる。
 多少高価な宿屋に泊まるのであれば、みんなの同意が必要だ。

「僕は問題ないよ。早くゆっくりしよう」

 ユヅキがそう言ってくれた。
 ミナとリンも異論はないようだ。
 ここに泊まることにしよう。
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