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第3章 武の名地テツザンへ

102話 『火魔法使い』の取得に挑戦

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 俺とシルヴィ、そして俺とユヅキが夜をともにしてから、数日が経過した。
 今日の活動を終え、日が沈んだ。
 俺は1人でミナの家を訪ねる。
 シルヴィとユヅキは宿屋でお留守番だ。

「よう。ミナ」

「コウタくん。こんな夜に、1人でどうかしたのです?」

 俺がここに来るときは、いつもシルヴィやユヅキがいっしょだった。
 武器の手入れの依頼にせよ、『悠久の風』の活動に関する相談事にせよ、彼女たちにも関係があることだからな。
 しかし今日の用件は、彼女たちと直接関係がないのだ。

「ミナ。少し試したいことがあるんだ。中に入れてもらってもいいだろうか?」

「えっ!? ……ボクはコウタくんのことが好きですが、まだそんな段階でもないのです」

 ミナが警戒する素振りを見せる。
 ある程度親しい間柄とはいえ、夜に男をホイホイと上げるほど無警戒でもないようだ。

「いやいや! そういう意味じゃない! ジョブに関することだ」

 試したいこととは、『火魔法使い』のジョブの特殊な取得方法の実践である。
 物理的には昼間でも可能なことだが、精神的には夜に行いたい。
 そういう類の行為を行う必要がある。

「ホントなのです? こんな夜に2人きりだと、なし崩し的にあれこれされそうな気がするのです」

 ミナがジト目でそう言う。
 信用ねえな、俺。
 まあ女好きなことはバレているし、仕方ないか。

「だいじょうぶだ。俺を信じろ。この目が、嘘を付いている目に見えるか?」

 俺は真正面からミナの目を見据える。

「うっ! ……わ、わかったのです。では、どうぞなのです。お茶ぐらい出すのです」

 よし。
 ミナの説得に成功した。
 俺はまんまと彼女の家に上がり込む。

「ふふ。何だか、こんな夜に男の人といっしょにいるのは変な気持ちなのです」

「そうだな。俺も、ミナみたいな可愛い女性といっしょにいると緊張するよ」

 せっかく出してもらったお茶の味がよくわからないぐらいには緊張している。

「むう……。お世辞を言っても、変なことはさせないのです」

「いや、お世辞ではないぞ。ミナは本当にかわいい」

 ミナはドワーフ族。
 年齢の割に幼い外見をしている。
 シルヴィ、ユヅキ、リンたちと比べても、また一味違ったかわいさがある。

「えへへ……」

 ミナが顔を赤くして、照れている。
 彼女が照れ隠しに顔を背けた、その瞬間。

 サッ。
 俺は静かに彼女に近づく。
 ストレージからロープを取り出し、彼女を素早く縛り上げた。

「なっ!? コ、コウタくん……、何を!?」

「へへっ。おとなしくしやがれ!」

 俺はロープによる拘束を強化していく。
 あっという間に、彼女は完全に縛り上げられた。
 手は後ろ。
 足は軽く開脚した状態である。

「コ、コウタくん! ボクを騙したのです!? 信じていたのに!」

 ミナが涙目でそう叫ぶ。

「ふふふ。騙してなどいないさ。これはジョブの取得に必要なことなのだ」

 別に襲おうというわけではない。
 ジョブの取得条件にこの行為が入っているのだ。
 話しても信じてもらえない可能性が高いので、手っ取り早く実行した感じである。

 信じてもらえる可能性もゼロではなかった。
 話してみてもよかったかもしれないが、説得に失敗した場合は警戒されて今後の実行が難しくなる。
 今回のように奇襲するのも間違いではないはずだ。

 ガサゴソ。
 俺はストレージからロウソクを取り出し、火を付ける。

「ひっ! そ、それで何をするのです……?」

 ミナが恐怖に満ちた目でこちらを見る。
 何をするか?
 やることは決まっている。
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