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第3章 武の名地テツザンへ

99話 朝から、そんなのするはずないでしょ!

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 俺とシルヴィが初体験を済ませた翌朝だ。
 ユヅキが部屋に訪ねてきたので、入ってもらった。
 しかし、彼女は何やら顔をしかめている。

「どうした? ユヅキ」

「昨日は楽しんでいたみたいだね、2人とも。分割払いを終えた日にさっそくとは、手が早いなあ……」

 そうか。
 彼女は茶犬族だ。
 嗅覚に秀でている。

 俺とシルヴィがいたしたこの部屋には、まだ匂いが残っていたのだろう。
 俺は気づかなかったが、茶犬族である彼女には丸わかりといったところか。

「ああ。これで、俺とシルヴィは深い仲になったということだ」

「そういうことです! 申し訳ありませんが、宣言通りにわたしがご主人様のご寵愛を一番にいただきました!」

 シルヴィが胸を張る。

「うん。それはいいんだけど……」

「次はユヅキさんの番ですか? ミナさんとリンさんもご興味を持っていらしたようですが、ご主人様との付き合いはユヅキのほうが長いですし……」

 シルヴィがそう言う。
 確かに、昨日の打ち上げでそんな感じのことを話していたか。
 しかし、シルヴィに独占欲はないのだろうか。
 俺との初体験を済ませた翌朝に、こんな話題を口にするとは。
 少し寂しい気がしないでもないが、ハーレムを目指す上ではいい傾向でもある。

「ふむ。ユヅキも、少し興味があるのだったか? さっそくどうだ?」

 ポロン。
 俺はマグナムを取り出し、ユヅキに迫る。

「ちょっ……! 朝から、そんなのするはずないでしょ! コウタのバカーーーッ!!!」

 バチーン!
 ユヅキの強烈なビンタが俺を襲う。

「ぐはあっ!」

 俺はダメージを受けて倒れ込む。
 そして、ユヅキは肩を怒らせて部屋を出ていった。
 そりゃそうか。 
 いきなり過ぎた。

 しかし、『朝からはしない』ということは、夜ならばいいのだろうか。
 しっかりとムードを整えて今度また迫ってみよう。

「わたしは応援していますよ! ご主人様のお力とご威光を、世界に知らしめましょう! これはその一歩です!」

 シルヴィがそう言う。
 なるほど?
 シルヴィは俺を愛するというよりは、崇拝に近い感情を持っているのかもしれない。
 俺の力をフル活用して、成り上がりを狙ってほしいといったところか。

 成り上がりを狙うのであれば、女性を侍らせて最強のハーレムパーティを目指すのが有効だろう。
 もちろん機会があれば男性をメンバーに加えてもいいのだが、俺のモチベーションに大きな差が生じるからな。
 ムリはよくない。

「ああ。よろしく頼む」

 その後、俺とシルヴィは宿屋の食堂に向かった。
 機嫌を悪くしたユヅキが待っており、ともに朝食を食べた。
 しばらくして何とか機嫌を直してくれて、エルカ草原で無難に狩りをした。
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