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第3章 武の名地テツザンへ
100話 ユヅキとの夜
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シルヴィと深い関係になってから、数日が経過した。
あれ以降は、無難にエルカ草原で狩りをしている。
シルヴィはあれが初体験だそうだ。
まだ若干の違和感が残っているらしい。
俺も精一杯優しくしたつもりだったが、こればかりはある程度仕方ないだろう。
初っ端からやりまくって炎症を起こしたりしたら申し訳無いので、俺は必死に日々自制しているところだ。
そんな日の夜ーー。
「ご主人様。今日は、わたしは隣の部屋で寝ますね」
「え? 隣の部屋というと、ユヅキの部屋か? なんでまた?」
俺のテクニックがイマイチで、愛想を尽かされてしまった感じだろうか?
あの日の手応えからして、満足はしてくれていると思っていたのだが。
「いえ、そういうわけではありません。……とにかく、今日はお一人でゆっくりとなさっていてください」
「あ、ああ。わかった」
俺の返事を受けて、シルヴィは出ていってしまった。
これで、俺は部屋に1人だ。
もともとは2人用の部屋なので、広く感じる。
寂しい。
「仕方ない。今日は早めに寝ることにするか」
俺は残っている雑事を片付けて、寝間着に着替える。
そして、ベッドに寝転ぶ。
ややまどろみかけていた頃ーー。
コンコン。
ドアがノックされた。
「シルヴィか?」
「ううん。僕だよ。入っていいかな?」
「ユヅキか。もちろん構わないが……」
こんな夜更けに何の用事だろうか。
まさか……。
ガチャリ。
トビラが開かれ、ユヅキが中に入ってくる。
「やあ。コウタ」
「お、おう。どうかしたか?」
少し緊張してしまう。
夜にユヅキと2人きりなのはとてもめずらしいのだ。
いつもはシルヴィがいるからな。
「ええっとね……。その、今夜はコウタと2人で過ごしたいなって……」
ユヅキがもじもじとそう言う。
彼女はボーイッシュな少女だ。
初めて会ってからしばらく、俺は彼女のことを少年だと勘違いしていたくらいである。
しかし、こうして見るととても少年には見えないな。
ボーイッシュな中にも、少女としての確かな可愛らしさがある。
「よし。では、俺が大人の階段を登らせてやろう」
「もうっ! すぐそういう話に持っていこうとする。それはまだダメだよ」
ユヅキがそう言う。
夜に2人で過ごすと言えば、やることは1つだと思ったが。
どうやら俺の早とちりだったようだ。
「わかった。一線を越えるのはなしだな。しかし、男の部屋に訪れるなんて、危機意識が甘いんじゃないか?」
男は狼なのだ。
「うん、そうだね……。でも、コウタとシルヴィが一線を越えたって知って、落ち着かなくて……。それに、ミナさんとリンさんもやる気だし……」
ユヅキがそう言う。
「かわいいやつめ。俺はハーレムを目指している。ユヅキさえよければ、迎えさせてもらうぞ」
「ハーレムか。確かに、以前そんなことを言っていたね。絶対に嫌ってわけじゃないけど、もう少し考えさせて」
彼女が俺に一定程度の好意を抱いてくれているのは間違いない。
『ジョブ設定』や『パーティメンバー経験値ブースト』の実利もあるしな。
しかし、ハーレムを簡単に許せるほどまでには達していないようだ。
一度、女性の視点に立って状況を整理してみるか。
そして、一線を越えないようにしつつ彼女を満足させてみよう。
あれ以降は、無難にエルカ草原で狩りをしている。
シルヴィはあれが初体験だそうだ。
まだ若干の違和感が残っているらしい。
俺も精一杯優しくしたつもりだったが、こればかりはある程度仕方ないだろう。
初っ端からやりまくって炎症を起こしたりしたら申し訳無いので、俺は必死に日々自制しているところだ。
そんな日の夜ーー。
「ご主人様。今日は、わたしは隣の部屋で寝ますね」
「え? 隣の部屋というと、ユヅキの部屋か? なんでまた?」
俺のテクニックがイマイチで、愛想を尽かされてしまった感じだろうか?
あの日の手応えからして、満足はしてくれていると思っていたのだが。
「いえ、そういうわけではありません。……とにかく、今日はお一人でゆっくりとなさっていてください」
「あ、ああ。わかった」
俺の返事を受けて、シルヴィは出ていってしまった。
これで、俺は部屋に1人だ。
もともとは2人用の部屋なので、広く感じる。
寂しい。
「仕方ない。今日は早めに寝ることにするか」
俺は残っている雑事を片付けて、寝間着に着替える。
そして、ベッドに寝転ぶ。
ややまどろみかけていた頃ーー。
コンコン。
ドアがノックされた。
「シルヴィか?」
「ううん。僕だよ。入っていいかな?」
「ユヅキか。もちろん構わないが……」
こんな夜更けに何の用事だろうか。
まさか……。
ガチャリ。
トビラが開かれ、ユヅキが中に入ってくる。
「やあ。コウタ」
「お、おう。どうかしたか?」
少し緊張してしまう。
夜にユヅキと2人きりなのはとてもめずらしいのだ。
いつもはシルヴィがいるからな。
「ええっとね……。その、今夜はコウタと2人で過ごしたいなって……」
ユヅキがもじもじとそう言う。
彼女はボーイッシュな少女だ。
初めて会ってからしばらく、俺は彼女のことを少年だと勘違いしていたくらいである。
しかし、こうして見るととても少年には見えないな。
ボーイッシュな中にも、少女としての確かな可愛らしさがある。
「よし。では、俺が大人の階段を登らせてやろう」
「もうっ! すぐそういう話に持っていこうとする。それはまだダメだよ」
ユヅキがそう言う。
夜に2人で過ごすと言えば、やることは1つだと思ったが。
どうやら俺の早とちりだったようだ。
「わかった。一線を越えるのはなしだな。しかし、男の部屋に訪れるなんて、危機意識が甘いんじゃないか?」
男は狼なのだ。
「うん、そうだね……。でも、コウタとシルヴィが一線を越えたって知って、落ち着かなくて……。それに、ミナさんとリンさんもやる気だし……」
ユヅキがそう言う。
「かわいいやつめ。俺はハーレムを目指している。ユヅキさえよければ、迎えさせてもらうぞ」
「ハーレムか。確かに、以前そんなことを言っていたね。絶対に嫌ってわけじゃないけど、もう少し考えさせて」
彼女が俺に一定程度の好意を抱いてくれているのは間違いない。
『ジョブ設定』や『パーティメンバー経験値ブースト』の実利もあるしな。
しかし、ハーレムを簡単に許せるほどまでには達していないようだ。
一度、女性の視点に立って状況を整理してみるか。
そして、一線を越えないようにしつつ彼女を満足させてみよう。
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