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第2章 ダンジョンへ挑戦 ミナ、リン

84話 料理コンテスト 結果

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 料理コンテストの結果が発表されているところだ。
 10位から4位までの発表が終わった。
 リンは、3位以上に入っているのか、11位以下で入選を逃しているのか……。

 俺たちは、ドキドキしながら見守る。
 そして発表者のローズが口を開く。

「3位は……料亭ハーゼのリン氏ですわ!」

 とうとう、リンの名前が呼ばれた。
 全体で彼女は3位となった。
 入賞してひと安心だ。
 彼女が壇上に上がり、ローズから表彰状を受け取る」

「おめでとうございます。大変おいしかったですわ」

「へへっ。ありがとな」

 ローズの祝福の言葉に、リンがそう返す。
 ローズは貴族の娘である。
 それに対して、リンは平民だ。
 身分差があるのであの言葉遣いはかなりマズい気もするが、実際のところは少しマズい程度にとどまる。

 身分制度に関しては、MSCの知識はあまり参考にならない。
 国や町によって身分制度に差があったからだ。

 しかしこのエルカの町で実際に暮らしてみた感覚だと、比較的緩い身分制度となっていると感じた。
 多少無礼な口を聞いたぐらいで罪に問われることはないだろう。

「無事に入賞ですね! わたしたちからもお祝いしませんと」

「ああ。そうだな」

 入賞したのは間違いなくめでたいことだ
 しかし一方で、やや残念な気がしないでもない。

 あれだけの好感触でも、3位。
 エルカはなかなか人口が多くて広い町だし、上には上がいるということか。
 リンにはどのように声を掛けるべきだろう?

 俺がそんなことを考えている間に、リンがローズから表彰状を受け取り終えた。
 彼女がこちらに近づいてくる。

「おう。コウタっち、それにみんなも。応援ありがとな。気づいてたぜ」

「ああ。3位おめでとう。しかしもう一歩で優勝だったのに、惜しかったな」

「何言ってんだ! コウタっち」

 リンが興奮気味にそう言う。
 掛ける言葉を間違えたか?

「す、すまなーー」

「あたいが3位なんて、夢のようだぜ! うおおおぉ!」

 リンがガッツポーズをする。
 あれ?

「3位でオーケーなのか?」

「もちろんだ! 老舗や有名店のシェフも出ている中で、3位だぜ? 10位以内に入れたら祝杯を上げようと思っていたくらいなのによ!」

 確かに、そう考えると3位でも十分なのか。
 今回の出場者は、30名を超える。
 3位は、上位10パーセント以内に入ることになる。
 それも、料理に自信を持つ者ばかりの中での上位10パーセントである。

「おめでとうございます!」

「おめでとう。リンさんの料理には、いつもお世話になっているよ」

 シルヴィとユヅキがそう祝福する。

「そうなのです。おいしい料理を食べると、明日もがんばろうという気になるのです」

「ああ。今後も、末永くお世話になりたいところだ」

 ミナと俺がそう言う。

「へへっ。ありがとな! いつでも店に来てくれよ。サービスするぜ。それに、他の町に行くときには相談してくれ。あたいも付いていくかもしれねえからな」

 見知らぬ土地の見知らぬ料理を食べることは、彼女にとって有意義なものになる。
 それに、魔物狩りを通して『料理人』のジョブレベルも上がる。
 行き先によっては、彼女も『悠久の風』の一員として同行することもあるだろう。

 その後、1位と2位の人の表彰を見届け、今日の料理コンテストは終了となった。
 『悠久の風』のみんなで打ち上げとして料亭ハーゼでどんちゃん騒ぎをして、喜びを共有した。
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