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第2章 ダンジョンへ挑戦 ミナ、リン
74話 武器の新調
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数日が経過した。
今日は、ミナの鍛冶場に呼ばれている。
「よう、ミナ。数日ぶりだな」
「コウタくんに、みなさん。元気そうで何よりなのです」
ミナがそう言う。
たった数日ぶりなので元気で当たり前……とは言えない事情がある。
俺たちは冒険者。
ちょっとした油断から大ケガをする可能性があるのだ。
「ミナさんも元気そうですね! それで、ご主人様向けの武器ができたとのことでしたが」
シルヴィがそう言う。
俺たちがここを訪れたのは、ミナから冒険者ギルドへ言伝があったからだ。
内容は、シルヴィが今言った通り、俺たち向けの武器ができたとのことである。
「はいなのです。余ったオリハルコンと、報酬金で仕入れた材料を組み合わせて、仕上げたのです。もちろんコウタくんだけではなく、シルヴィさん、ユヅキさん、リンさんのもあるのです」
「ありがとう。すごい助かる」
「へへっ。期待するぜ」
ユヅキとリンが目を光らせる。
そして、ミナが鍛冶場に一角に向かう。
そこには、あらかじめ武器が5つ並べられていた。
剣が2本、杖が1本、篭手が1式、ハンマーが1つだ。
「ふむ……。この薄緑色の剣は、ひょっとして俺用か?」
「そうなのです。オリハルコンを軸に、他の材料も混ぜて剛性と軽量化を実現したのです。風の魔石も埋め込んでいるのです」
「なるほど。風魔法使い兼剣士の俺にピッタリの剣だな」
俺は剣を手に取り、軽く振ってみる。
今使っている剣よりも、少し軽いようだ。
切れ味は実際に試してみないとわからないが、見た感じはよく切れそうである。
さらに、風の魔石まで埋め込まれていると。
今の剣の上位互換と言ってもいいだろう。
「わたしはこの白色の杖ですね!」
「僕は、このくすんだ色の剣か。見かけは地味だけど、確かな力を感じる」
シルヴィとユヅキが、それぞれの武器を手に取り感触を確かめている。
満足げな様子だ。
「あたいは、この篭手だな! 金色に光っていて、派手だ!」
「リンさんの篭手には、雷の魔石を組み込んでおいたのです」
「雷の魔石? あたいは、雷魔法は使えねえぜ? 確かに、金兎族は雷魔法使いの適正が高めらしいけどよ」
リンがそう言う。
種族ごとに適正のある魔法使いのジョブは設定されているが、必ずしも全員が使えるわけではない。
むしろ、使えない者が多数派だ。
まあ、集落や部族によっては特に適正が高い者ばかりが生まれることもあるかもしれないが。
「それは俺が頼んでおいたんだ。リンも、いずれは雷魔法が使えるようになるかもしれないからな」
「コウタっちがそう言うなら、そうかもしれねえな。取得できたら、コウタっちの力でセカンドジョブに設定してもらうぜ!」
リンがそう言う。
彼女には、『ジョブ設定』を含めた俺の各種スキルの件を伝え済みだ。
雷魔法を取得できたら、彼女の希望通りにセカンドジョブに設定するのがいいだろう。
その時点でのパーティバランス次第では、ファーストジョブに設定するのもいい。
もしくは、その時には彼女のサードジョブが開放されている可能性もある。
「ああ。雷魔法使いの取得方法には、心当たりがある。今は諸事情により試せないので、いずれまた試そう」
風魔法使いの取得には、全裸で大自然の中を疾走することが有効だ。
氷魔法使いの取得には、信頼関係を結んでいる異性間で極端に冷たい態度を取ればいい。
土魔法使いの取得には、大地を五感で感じることが効率的である。
そして、雷魔法は……。
まあ、今は置いておこう。
「ミナ。それで、最後に残ったそのハンマーが……」
「はいなのです。これはボク用です」
ミナが巨大なハンマーを構える。
今まで使っていたものよりも、ひと回り大きい。
「ミナの本業は鍛冶師だが、武器を新調したのだな」
「コウタくんの力により、ジョブレベルが上がりやすいのです。鍛冶に専念するよりは、たまに狩りに同行したほうが鍛冶の上達が早そうなのです」
鍛冶師のジョブレベルを上げる手段は、大きく2つ。
1つは、鍛冶の作業を行うこと。
もう1つは、魔物を倒して経験値を稼ぐことだ。
通常であれば、鍛冶の作業に専念したほうがいい。
ジョブレベルの向上だけではなくて、知識や経験も身につくからな。
それに、魔物狩りには危険もある。
しかし、『パーティメンバー経験値ブースト』を持つ俺に同行する前提であるならば、鍛冶と狩りを兼業するのも悪くない選択肢だ。
鍛冶に専念するよりも、ジョブレベルがガンガン上がっていく。
とはいえ、さすがに冒険者活動に専念するのはマズい。
ジョブレベルばかりが上がって、鍛冶の知識や経験が身につかないからだ。
「うむ。ミナさえよければ、いつでも好きなときに『悠久の風』に参加してくれ。俺たちは、ここを拠点に活動していくつもりだからな」
「よろしくなのです」
「……ところで、これにも言っていた通り魔石を埋め込んでいるんだよな?」
「はいなのです。言われた通り、火の魔石を埋め込んだのです。ボクは、火魔法は使えないですが……」
ミナはドワーフ族。
火魔法使いの適正が高い傾向がある。
火魔法使いの取得方法にも心当たりはある。
今はまだ試せないが、いずれ機を見て試すことにしよう。
何にせよ、この武器により俺たち『悠久の風』の戦闘能力はひと回り向上した。
ゴーレム周回でジョブレベルも上がっている。
もはや、階層ボスですらないリトルブラックタイガーなど敵ではないだろう。
次の目的物であるリトルブラックタイガーの肉も順調に集まりそうだ。
今日は、ミナの鍛冶場に呼ばれている。
「よう、ミナ。数日ぶりだな」
「コウタくんに、みなさん。元気そうで何よりなのです」
ミナがそう言う。
たった数日ぶりなので元気で当たり前……とは言えない事情がある。
俺たちは冒険者。
ちょっとした油断から大ケガをする可能性があるのだ。
「ミナさんも元気そうですね! それで、ご主人様向けの武器ができたとのことでしたが」
シルヴィがそう言う。
俺たちがここを訪れたのは、ミナから冒険者ギルドへ言伝があったからだ。
内容は、シルヴィが今言った通り、俺たち向けの武器ができたとのことである。
「はいなのです。余ったオリハルコンと、報酬金で仕入れた材料を組み合わせて、仕上げたのです。もちろんコウタくんだけではなく、シルヴィさん、ユヅキさん、リンさんのもあるのです」
「ありがとう。すごい助かる」
「へへっ。期待するぜ」
ユヅキとリンが目を光らせる。
そして、ミナが鍛冶場に一角に向かう。
そこには、あらかじめ武器が5つ並べられていた。
剣が2本、杖が1本、篭手が1式、ハンマーが1つだ。
「ふむ……。この薄緑色の剣は、ひょっとして俺用か?」
「そうなのです。オリハルコンを軸に、他の材料も混ぜて剛性と軽量化を実現したのです。風の魔石も埋め込んでいるのです」
「なるほど。風魔法使い兼剣士の俺にピッタリの剣だな」
俺は剣を手に取り、軽く振ってみる。
今使っている剣よりも、少し軽いようだ。
切れ味は実際に試してみないとわからないが、見た感じはよく切れそうである。
さらに、風の魔石まで埋め込まれていると。
今の剣の上位互換と言ってもいいだろう。
「わたしはこの白色の杖ですね!」
「僕は、このくすんだ色の剣か。見かけは地味だけど、確かな力を感じる」
シルヴィとユヅキが、それぞれの武器を手に取り感触を確かめている。
満足げな様子だ。
「あたいは、この篭手だな! 金色に光っていて、派手だ!」
「リンさんの篭手には、雷の魔石を組み込んでおいたのです」
「雷の魔石? あたいは、雷魔法は使えねえぜ? 確かに、金兎族は雷魔法使いの適正が高めらしいけどよ」
リンがそう言う。
種族ごとに適正のある魔法使いのジョブは設定されているが、必ずしも全員が使えるわけではない。
むしろ、使えない者が多数派だ。
まあ、集落や部族によっては特に適正が高い者ばかりが生まれることもあるかもしれないが。
「それは俺が頼んでおいたんだ。リンも、いずれは雷魔法が使えるようになるかもしれないからな」
「コウタっちがそう言うなら、そうかもしれねえな。取得できたら、コウタっちの力でセカンドジョブに設定してもらうぜ!」
リンがそう言う。
彼女には、『ジョブ設定』を含めた俺の各種スキルの件を伝え済みだ。
雷魔法を取得できたら、彼女の希望通りにセカンドジョブに設定するのがいいだろう。
その時点でのパーティバランス次第では、ファーストジョブに設定するのもいい。
もしくは、その時には彼女のサードジョブが開放されている可能性もある。
「ああ。雷魔法使いの取得方法には、心当たりがある。今は諸事情により試せないので、いずれまた試そう」
風魔法使いの取得には、全裸で大自然の中を疾走することが有効だ。
氷魔法使いの取得には、信頼関係を結んでいる異性間で極端に冷たい態度を取ればいい。
土魔法使いの取得には、大地を五感で感じることが効率的である。
そして、雷魔法は……。
まあ、今は置いておこう。
「ミナ。それで、最後に残ったそのハンマーが……」
「はいなのです。これはボク用です」
ミナが巨大なハンマーを構える。
今まで使っていたものよりも、ひと回り大きい。
「ミナの本業は鍛冶師だが、武器を新調したのだな」
「コウタくんの力により、ジョブレベルが上がりやすいのです。鍛冶に専念するよりは、たまに狩りに同行したほうが鍛冶の上達が早そうなのです」
鍛冶師のジョブレベルを上げる手段は、大きく2つ。
1つは、鍛冶の作業を行うこと。
もう1つは、魔物を倒して経験値を稼ぐことだ。
通常であれば、鍛冶の作業に専念したほうがいい。
ジョブレベルの向上だけではなくて、知識や経験も身につくからな。
それに、魔物狩りには危険もある。
しかし、『パーティメンバー経験値ブースト』を持つ俺に同行する前提であるならば、鍛冶と狩りを兼業するのも悪くない選択肢だ。
鍛冶に専念するよりも、ジョブレベルがガンガン上がっていく。
とはいえ、さすがに冒険者活動に専念するのはマズい。
ジョブレベルばかりが上がって、鍛冶の知識や経験が身につかないからだ。
「うむ。ミナさえよければ、いつでも好きなときに『悠久の風』に参加してくれ。俺たちは、ここを拠点に活動していくつもりだからな」
「よろしくなのです」
「……ところで、これにも言っていた通り魔石を埋め込んでいるんだよな?」
「はいなのです。言われた通り、火の魔石を埋め込んだのです。ボクは、火魔法は使えないですが……」
ミナはドワーフ族。
火魔法使いの適正が高い傾向がある。
火魔法使いの取得方法にも心当たりはある。
今はまだ試せないが、いずれ機を見て試すことにしよう。
何にせよ、この武器により俺たち『悠久の風』の戦闘能力はひと回り向上した。
ゴーレム周回でジョブレベルも上がっている。
もはや、階層ボスですらないリトルブラックタイガーなど敵ではないだろう。
次の目的物であるリトルブラックタイガーの肉も順調に集まりそうだ。
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