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第2章 ダンジョンへ挑戦 ミナ、リン

59話 リトルブラックタイガー狩り

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 翌朝。
 さっそく、エルカ迷宮2階層にやってきた。
 ちなみに、今回はダンジョンの入口から直接2階層に来ている。

 各階層のボスを撃破すれば、次の階層に行くことができる。
 その際にダンジョン側が侵入者の魔力を認識し、登録する。
 登録済みの者は、次回から下位層をスキップすることができるというわけだ。
 MSCと同仕様だが、なかなか便利なものである。

 2階層は、1階層と同様にただのほら穴のようなダンジョンだ。
 あまり凝ったつくりはしていない。
 さほど難易度の高くない、普通のダンジョンである。

 俺たちはどんどん進んでいく。
 そしてーー。

「グルル……!」

 唸り声とともに、1匹の黒いトラが現れた。
 リトルブラックタイガーである。
 ややこしい名前だが、小さなエビではない。
 小さな黒いトラだ。

 小さいとはいっても、成体のトラと比べての話である。
 リトルブラックタイガーは、体長50センチから1メートルぐらいだ。
 ホーンラビットに比べると、それなりに大きい。

「来たか。作戦通りいくぞ!」

「がってんだぜ!」

 俺とリン。
 それにユヅキが前衛として前に出る。
 リトルブラックタイガーの攻撃を引きつける役割を担う。

 スキを見て、ミナがハンマーで大きな一撃を入れる作戦だ。
 また、後方にて待機しているシルヴィもチャンスがあれば氷魔法を叩き込む。

「せいっ!」

「おらあ!」

 俺とリンで慎重にリトルブラックタイガーに攻撃を加えていく。
 MSCの経験から判断するならば、さほど強力な魔物ではない。
 しかし、俺がこの世界でやつと戦うのは初めてだ。

 油断せずにいこう。
 強力だがスキの大きいアクティブスキルは、一時封印である。
 ゴーレムと異なり、小回りも効く相手だしな。
 万が一が怖い。

「グルアッ!」

 突然、リトルブラックタイガーが飛びかかってきた。
 狙いはリンだ。
 彼女は格闘で戦うため、やや防具が軽装となっている。
 まともに受けてはマズい。
 だがーー。

「へっ。くらうかよ!」

 彼女はさっと避ける。
 彼女は格闘の経験があるが、今のジョブは料理人だ。
 戦闘職ではない。
 その割には、なかなかしっかりした身のこなしである。

 リトルブラックタイガーは、攻撃をかわされて体勢を崩す。
 そのスキを逃さずーー。

「てえぃっ! なのです!」

 ミナがハンマーを振り下ろす。
 リトルブラックタイガーが大ダメージを受ける。

「いきます! ……凍てつく氷の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。氷の槍を撃ち出し、我が眼前の敵を貫け。アイシクルスピア!」

 シルヴィが氷魔法で追撃する。
 それがトドメとなり、リトルブラックタイガーは虚空へと消えた。
 後には魔石が残される。
 これにて討伐完了だ。

「よし。いい感じだな」

「そうだね。ホーンラビットやゴブリンよりは強いけど、ゴーレムに比べるとなんていうことはない敵だね」

 ユヅキがそう言う。
 ホーンラビットやゴブリンは、アクティブスキルを使えば一撃だ。
 通常攻撃でも、大ぶりの攻撃をうまく当てれば一撃で倒せる。

 それに対して、リトルブラックタイガーの討伐にはそれなりの攻撃数を要した。
 俺、リン、ユヅキによるチマチマした通常攻撃。
 ミナのハンマーによる強力な一撃。
 さらに、シルヴィの氷魔法だ。
 ホーンラビットやゴブリンのような最下級の魔物とは一線を画する相手だと言っていい。

 とはいえ、さすがに階層ボスであるゴーレムとは比べるべくもない。
 多少素早いので油断は大敵だが、気を引き締めれば1日に何匹も狩っていくことが可能だろう。
 肉をドロップするまで、ガンガン狩っていく必要がある。

「残念だが、今回は肉がドロップしなかったみてえだな」

「次にいこうなのです!」

 リンの言葉を受け、ミナがそう言う。

「ああ。みんな、体調は万全だな? 初日だし、ムリはせずに行くぞ!」

「承知しました! わたしもまだまだがんばります!」

 シルヴィがそう意気込む。
 そして、俺たちは次のリトルブラックタイガーを求めて再びダンジョン内を進み始めた。
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