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第2章 ダンジョンへ挑戦 ミナ、リン

55話 パーティメンバー設定 ミナ

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 数日が経過した。
 そろそろ、ミナの鍛冶はひと段落しただろうか。
 エルカ草原での狩りを終えた俺、シルヴィ、ユヅキは、ミナの鍛冶場にやってきた。

「よーす。ミナ」

「あっ、コウタくん。ちょうどいいところに来たのです」

「どうした? 武具の製作がうまくいったという話か?」

 タイミング的には、そろそろ済んでいてもおかしくはない。

「メインとなる剣と防具、それに短剣は完成したのです。後は、小さなナイフを数本作りたいのです」

「ふむ。順調のようだな。何か問題でもあるのか?」

「オリハルコンの量が少し足りなかったのです。メインとなる武具は完成しているので、このままでも大きな問題はないのですが……」

 ミッション報酬で得たオリハルコンは、そこそこの量だった。
 しかし、剣、防具、短剣、そして数本のナイフをつくるには少し足りなかったというわけか。

「そうか。またエルカ迷宮でゴーレムと戦うか? ただ、次も簡単にドロップするとは限らないが……」

 1階層のボスであるゴーレムからは、まれにオリハルコンがドロップする。
 確率はかなり低い。
 前回は、俺のミッション報酬によるオリハルコンをゴーレムからドロップした体にして、ミナに提供した。

 今は、オリハルコン関係のミッションがない。
 自力でドロップさせる必要がある。
 幸い、階層ボスは一定時間で再出現するので、体力、MP、闘気などが残っている限りは何度でもチャレンジできる。
 ジョブレベルが上がった今の俺たちなら、1日に複数回の周回も可能だろう。

「ぜひそうしたいのですが、リンさんの用件もあるので少し悪いかなと思っているのです」

「まあそれは確かに。2階層のリトルブラックタイガーも狩らなければならないからな」

 ミナとリンが一時的に『悠久の風』に加入したのは、目的があってのことだ。
 ミナはオリハルコン。
 リンはリトルブラックタイガーの肉が目的である。

「……ふむ。それなら、まずは2階層でリトルブラックタイガーを狩るか? その後、リトルブラックタイガーの肉の入手具合を見て、ゴーレム周回に切り替えればいいだろう」

「そうですね。それがいいかもしれないのです」

 方針は決まった。
 となれば、やっておくべきことがある。

「シルヴィ、ユヅキ。以前相談していた『あれ』を、ミナにも投げかけるぞ。いいな?」

「承知しました!」

「いいんじゃないかな。たぶん」

 俺の確認を受けて、シルヴィとユヅキがそう答える。

「『あれ』とは、何なのです?」

 ミナがそう問いかけてくる。

「ああ……ちょっと待っていてくれ」

 言葉で説明するよりも、やってみたほうが早い。
 俺は『パーティメンバー設定』スキルでミナをパーティに勧誘する。

「え? これは何なのです?」

 ミナが首をかしげる。
 『コウタのパーティに勧誘されています。受諾しますか?』と脳内で聞かれているはずだ。

「『受諾する』と言ってくれないか」

「よくわからないのですが、わかったのです。コウタくんが言うことですし、悪いことではなさそうです。『受諾するのです』」

 ミナがそう言ったと同時に、俺の操作画面の表記が切り替わった。


パーティ名:悠久の風
リーダー:コウタ
サブリーダー:シルヴィ
メンバー:ユヅキ
メンバー:ミナ


 新しくミナの名前が加わった。
 いい感じだ。
 さっそく、彼女のステータスを確認しておこう。
 それに、彼女に大まかな説明もしておかないとな。
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