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第2章 ダンジョンへ挑戦 ミナ、リン
53話 『鍛冶師』の取得
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ミナとの昼食後、再び鍛冶場に戻った。
鍛冶の再開だ。
しかし、その前に……。
「ミナ。午前中の鍛冶で、少しだけ気になる点があったんだ。素人から要らんアドバイスかもしれないが、聞くだけ聞いてもらえないか?」
MSCにて、俺は『鍛冶師』のジョブを取得したことがある。
本職として育ててはいなかったが、ある程度のコツみたいなものは知っている。
MSCでの経験と知識がこの世界の鍛冶に通用するかは不明だが、言うだけなら損はないだろう。
「ええっと。聞くだけなら構わないのです」
ミナがそう言う。
彼女は職人だが、頑固者ではない。
『素人は黙っとれぃ!』と言われなくてよかった。
「まずは……」
俺は、いくつかのアドバイスをミナにしていく。
温度設定やタイミングなどだ。
ミナの基礎はかなりしっかりしているので、あくまでちょっとした指摘だが。
「なるほど。悪くなさそうなのです。いきなり試すのは怖いので、まずはいつもの材料で練習してみるのです」
「ああ。それがいいだろう」
いきなりオリハルコンで試して失敗されると、俺も嫌だしな。
「よければ、コウタくんもやってみるのです?」
「お、いいのか? ぜひやってみたい」
俺はそう言う。
オリハルコンの武具の作成という重要な仕事の邪魔をしないように、午前中はおとなしくしていた。
それに、職人の領域を素人が荒らすのも悪いしな。
今から彼女が行うのは、特に珍しくはない材料での練習だ。
失敗しても致命的な損失は出ない。
彼女が誘ってくれているのであれば、俺がそれを断る理由はない。
「コウタくんは鍛冶の知識があるのです。ひょっとして、経験もあるのです?」
「うーん。知識は確かにある。しかし経験は、有るような無いような……。できれば、基礎から教えてもらえるか?」
MSCとこの世界の差異により、大火傷などを負ってしまうのもマズい。
経験者のミナから、指導をもらいたいところだ。
「わかったのです!」
そうして、午後はミナに指導してもらいつつ、鍛冶の体験をさせてもらった。
彼女と体が触れ合うことも多く、いろいろな意味で有意義な時間だった。
そのかいあって、俺は無事に『鍛冶師』ジョブを取得した。
『鍛冶師』『料理人』『剣士』などのスキルは、実は取得難易度が低い。
逆に言えば、各種魔法使い系統のジョブの取得難易度が高いとも言える。
裏ワザじみた取得方法を除けば、高い適正を持つ者じゃないとなかなか取得できない。
また、取得条件が細かい一部の上級ジョブも取得難易度が高いと言えるだろう。
「コウタくんのアドバイスは、かなり役に立ちそうなのです! ありがとうなのです!」
ミナが目を輝かせてそう言う。
彼女は彼女で、俺のアドバイスをもとに鍛冶の手順やタイミングを再調整していた。
「ああ。喜んでくれたのなら、俺も嬉しいよ」
よしよし。
かなり友好を深められたようだな。
俺は画面でミナの名前を確認する。
黒色で表記されている。
今なら、『パーティメンバー設定』で『悠久の風』に勧誘することができるだろう。
しかし、タイミングが少し微妙か?
ミナは、明日もオリハルコンの鍛冶をする予定だ。
今日の練習の成果をさっそく試す感じである。
大事な用事の前に、『パーティメンバー設定』という少し込み入った事情を説明するのは避けたほうが無難だろう。
「では、俺は明日から冒険者活動に戻るぞ。ミナは、鍛冶の続きだったな?」
「はいなのです。きっと、素晴らしい武具を作ってみせるのです!」
「楽しみにしているぞ」
とりあえず、明日からの数日は俺、シルヴィ、ユヅキの3人で狩りをしよう。
エルカ草原あたりなら、今まで通り無難に狩りができる。
ダンジョン攻略やミッション報酬の経験値で、それぞれのジョブレベルが上がっている。
それに、今日俺は『鍛冶師』のジョブを取得した。
そのあたりを、一度整理しておくことにしよう。
鍛冶の再開だ。
しかし、その前に……。
「ミナ。午前中の鍛冶で、少しだけ気になる点があったんだ。素人から要らんアドバイスかもしれないが、聞くだけ聞いてもらえないか?」
MSCにて、俺は『鍛冶師』のジョブを取得したことがある。
本職として育ててはいなかったが、ある程度のコツみたいなものは知っている。
MSCでの経験と知識がこの世界の鍛冶に通用するかは不明だが、言うだけなら損はないだろう。
「ええっと。聞くだけなら構わないのです」
ミナがそう言う。
彼女は職人だが、頑固者ではない。
『素人は黙っとれぃ!』と言われなくてよかった。
「まずは……」
俺は、いくつかのアドバイスをミナにしていく。
温度設定やタイミングなどだ。
ミナの基礎はかなりしっかりしているので、あくまでちょっとした指摘だが。
「なるほど。悪くなさそうなのです。いきなり試すのは怖いので、まずはいつもの材料で練習してみるのです」
「ああ。それがいいだろう」
いきなりオリハルコンで試して失敗されると、俺も嫌だしな。
「よければ、コウタくんもやってみるのです?」
「お、いいのか? ぜひやってみたい」
俺はそう言う。
オリハルコンの武具の作成という重要な仕事の邪魔をしないように、午前中はおとなしくしていた。
それに、職人の領域を素人が荒らすのも悪いしな。
今から彼女が行うのは、特に珍しくはない材料での練習だ。
失敗しても致命的な損失は出ない。
彼女が誘ってくれているのであれば、俺がそれを断る理由はない。
「コウタくんは鍛冶の知識があるのです。ひょっとして、経験もあるのです?」
「うーん。知識は確かにある。しかし経験は、有るような無いような……。できれば、基礎から教えてもらえるか?」
MSCとこの世界の差異により、大火傷などを負ってしまうのもマズい。
経験者のミナから、指導をもらいたいところだ。
「わかったのです!」
そうして、午後はミナに指導してもらいつつ、鍛冶の体験をさせてもらった。
彼女と体が触れ合うことも多く、いろいろな意味で有意義な時間だった。
そのかいあって、俺は無事に『鍛冶師』ジョブを取得した。
『鍛冶師』『料理人』『剣士』などのスキルは、実は取得難易度が低い。
逆に言えば、各種魔法使い系統のジョブの取得難易度が高いとも言える。
裏ワザじみた取得方法を除けば、高い適正を持つ者じゃないとなかなか取得できない。
また、取得条件が細かい一部の上級ジョブも取得難易度が高いと言えるだろう。
「コウタくんのアドバイスは、かなり役に立ちそうなのです! ありがとうなのです!」
ミナが目を輝かせてそう言う。
彼女は彼女で、俺のアドバイスをもとに鍛冶の手順やタイミングを再調整していた。
「ああ。喜んでくれたのなら、俺も嬉しいよ」
よしよし。
かなり友好を深められたようだな。
俺は画面でミナの名前を確認する。
黒色で表記されている。
今なら、『パーティメンバー設定』で『悠久の風』に勧誘することができるだろう。
しかし、タイミングが少し微妙か?
ミナは、明日もオリハルコンの鍛冶をする予定だ。
今日の練習の成果をさっそく試す感じである。
大事な用事の前に、『パーティメンバー設定』という少し込み入った事情を説明するのは避けたほうが無難だろう。
「では、俺は明日から冒険者活動に戻るぞ。ミナは、鍛冶の続きだったな?」
「はいなのです。きっと、素晴らしい武具を作ってみせるのです!」
「楽しみにしているぞ」
とりあえず、明日からの数日は俺、シルヴィ、ユヅキの3人で狩りをしよう。
エルカ草原あたりなら、今まで通り無難に狩りができる。
ダンジョン攻略やミッション報酬の経験値で、それぞれのジョブレベルが上がっている。
それに、今日俺は『鍛冶師』のジョブを取得した。
そのあたりを、一度整理しておくことにしよう。
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