52 / 1,335
第2章 ダンジョンへ挑戦 ミナ、リン
52話 ミナと休憩
しおりを挟む
ミナが鍛冶をしている。
俺は、それをおとなしく見守っている。
「そおぃっ! なのです!」
ミナは既に汗だくだ。
彼女のいい汗の香りがこちらまで漂ってくる。
彼女の鍛冶の腕前は、中級ぐらいか。
『鍛冶師』のレベルはまだ低いはずだが、技量自体は付いている様子だ。
さすが、領主からオリハルコンの加工を任されるだけはある。
彼女が順調に鍛冶を進めていく。
そして、しばらくして。
「ふぃー。まずは、短剣が出来上がったのです。成功なのです」
ミナが満足げな表情でそう言う。
「見事だ。すばらしいな」
「ありがとうなのです。次は、防具をつくるのです」
「休憩はしないのか? 疲れているだろう?」
ミナは既に汗だくだ。
鍛冶を始めてから数時間が経過しているし、疲労も蓄積しているはず。
「……それもそうなのです。前回は、根を詰めすぎたから失敗したのです。同じ過ちを繰り返すところでした。ありがとうなのです、コウタくん」
「いや、お礼を言われるほどのことじゃない」
俺はそう言っておく。
友好は深めたいところだが、あまり小さなことを強調しすぎるのもな。
「では、お昼ごはんを食べて休憩するのです。朝食の残りがあるのです。コウタくんもよければ食べるのです?」
「ああ、いただこう。俺も、アイテムバッグにいくらかの食料はある。もし足りなければ、それを提供しよう」
「ありがとうなのです。よろしくなのです」
俺とミナは、鍛冶場を離れて食卓へ向かう。
ミナの家は、鍛冶場と隣接している。
「お邪魔する」
「汚いところですが、どうぞなのです」
これがミナが普段生活している空間か。
すうっ。
俺は鼻から空気を吸い込む。
どことなく、いい香りがする。
ただ、ミナも言っている通り、室内はやや汚い。
不潔というわけじゃなくて、単純に散らかっている感じだ。
「あう……。ジロジロ見ないでなのです。男の人を上げるのは、実は初めてなのです」
ミナが顔を赤くしてそう言う。
「そうか。つまり、ミナの初めてを俺がもらってしまったということだな」
「なんだか、言い方がいやらしいのです」
ミナがジト目でこちらを見る。
表情豊かで、かわいいな。
「まあいいのです。とりあえず、こっちのテーブルでご飯を食べるのです」
「テーブルか。何やら荷物でいっぱいのようだが……」
テーブルの上には、いろいろな小物やゴミなどが散乱している。
とても食事をできる環境ではない。
「心配ないのです。こうやって、スペースをつくるのです!」
ミナが、豪快にテーブルの上の物を床に落としていく。
適当だな、おい。
彼女は鍛冶師としては優秀で、戦闘でも力強い攻撃を見せる。
しかし、私生活は結構ズボラなようだ。
まあ、俺はあまり気にしないが。
これはこれでギャップがあってかわいいというものだろう。
俺は、それをおとなしく見守っている。
「そおぃっ! なのです!」
ミナは既に汗だくだ。
彼女のいい汗の香りがこちらまで漂ってくる。
彼女の鍛冶の腕前は、中級ぐらいか。
『鍛冶師』のレベルはまだ低いはずだが、技量自体は付いている様子だ。
さすが、領主からオリハルコンの加工を任されるだけはある。
彼女が順調に鍛冶を進めていく。
そして、しばらくして。
「ふぃー。まずは、短剣が出来上がったのです。成功なのです」
ミナが満足げな表情でそう言う。
「見事だ。すばらしいな」
「ありがとうなのです。次は、防具をつくるのです」
「休憩はしないのか? 疲れているだろう?」
ミナは既に汗だくだ。
鍛冶を始めてから数時間が経過しているし、疲労も蓄積しているはず。
「……それもそうなのです。前回は、根を詰めすぎたから失敗したのです。同じ過ちを繰り返すところでした。ありがとうなのです、コウタくん」
「いや、お礼を言われるほどのことじゃない」
俺はそう言っておく。
友好は深めたいところだが、あまり小さなことを強調しすぎるのもな。
「では、お昼ごはんを食べて休憩するのです。朝食の残りがあるのです。コウタくんもよければ食べるのです?」
「ああ、いただこう。俺も、アイテムバッグにいくらかの食料はある。もし足りなければ、それを提供しよう」
「ありがとうなのです。よろしくなのです」
俺とミナは、鍛冶場を離れて食卓へ向かう。
ミナの家は、鍛冶場と隣接している。
「お邪魔する」
「汚いところですが、どうぞなのです」
これがミナが普段生活している空間か。
すうっ。
俺は鼻から空気を吸い込む。
どことなく、いい香りがする。
ただ、ミナも言っている通り、室内はやや汚い。
不潔というわけじゃなくて、単純に散らかっている感じだ。
「あう……。ジロジロ見ないでなのです。男の人を上げるのは、実は初めてなのです」
ミナが顔を赤くしてそう言う。
「そうか。つまり、ミナの初めてを俺がもらってしまったということだな」
「なんだか、言い方がいやらしいのです」
ミナがジト目でこちらを見る。
表情豊かで、かわいいな。
「まあいいのです。とりあえず、こっちのテーブルでご飯を食べるのです」
「テーブルか。何やら荷物でいっぱいのようだが……」
テーブルの上には、いろいろな小物やゴミなどが散乱している。
とても食事をできる環境ではない。
「心配ないのです。こうやって、スペースをつくるのです!」
ミナが、豪快にテーブルの上の物を床に落としていく。
適当だな、おい。
彼女は鍛冶師としては優秀で、戦闘でも力強い攻撃を見せる。
しかし、私生活は結構ズボラなようだ。
まあ、俺はあまり気にしないが。
これはこれでギャップがあってかわいいというものだろう。
67
お気に入りに追加
1,097
あなたにおすすめの小説

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル
異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった
孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた
そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた
その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。
5レベルになったら世界が変わりました

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

神速の冒険者〜ステータス素早さ全振りで無双する〜
FREE
ファンタジー
Glavo kaj Magio
通称、【GKM】
これは日本が初めて開発したフルダイブ型のVRMMORPGだ。
世界最大規模の世界、正確な動作、どれを取ってもトップレベルのゲームである。
その中でも圧倒的人気な理由がステータスを自分で決めれるところだ。
この物語の主人公[速水 光]は陸上部のエースだったが車との交通事故により引退を余儀なくされる。
その時このゲームと出会い、ステータスがモノを言うこの世界で【素早さ】に全てのポイントを使うことを決心する…

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる