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第2章 ダンジョンへ挑戦 ミナ、リン

49話 オリハルコン入手

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 エルカ迷宮の1階層のボスであるゴーレムを撃破した。

「よし……。無事に片付いたな」

 階層ボス戦は逃走不可能。
 討伐成功か死か。
 リスクが高く緊張していたが、終わってみれば何ということはない相手だった。

「ご主人様のすばらしい指揮のおかげです!」

「うん。コウタは、ランクの割りに落ち着いているよね。すごいよ」

 シルヴィとユヅキがそう言ってくれるのはうれしい。
 まあ、俺が慣れているのはMSCの知識と経験があるからだが。

「いい運動になったぜ!」

「それで……オリハルコンはドロップしたのです? いえ、さすがに1度だけではドロップしないですか……」

 ミナがそう言う。
 彼女の目的は、オリハルコンだ。
 領主からの依頼でオリハルコンの武器をつくろうとしていたところ、ミナの失敗により素材をダメにしてしまったのだ。
 依頼主である領主に正直に言うのもありだと思うが、ミナは鍛冶師としての誇りからそれは避けたいと判断した。
 そして、何とか自前でオリハルコンを用意できないかと探しているのである。

 ゴーレムからは、まれにオリハルコンがドロップする。
 とはいえ、さすがに1回だけではまず落ちない。

 鍛冶師のパッシブスキルには『鉱石類ドロップ率上昇』というものもある。
 取得レベルは10だったか20だったか……。
 ミナが取得済みかどうかは微妙なところだ。

 仮に取得済みだったとしても、ドロップ率が劇的に変わるほどでもない。
 本来であれば、オリハルコンを入手するためにひたすら周回する必要がある。
 しかし、今回に限って言えばーー。


ミッション
『悠久の風』にてダンジョンの階層ボスを撃破せよ。
報酬:オリハルコン(中)、経験値(小)


 このミッションがある。
 俺は画面を操作し、ミッションを達成扱いにする。
 オリハルコン(中)が俺のストレージに送られる。
 俺はそれを具現化し、手に持つ。

「見ろ。ラッキーなことに、オリハルコンを手に入れたぞ」

 俺はオリハルコンをみんなに見せる。
 厳密に言えばゴーレムではなくミッション報酬で得たものだが、細かいことはいいだろう。

 オリハルコンの取り扱いについて、大きく2つの案を考えていた。
 1つは、この場ではドロップしなかったことにして、後日別口から手に入れたという体にする案。
 もう1つは、今回そうしたように、ゴーレムからドロップした体にする案だ。

 前者のメリットは、ミナにより多くの恩を売れることだ。
 別口で入手したということは、俺が自腹を切って入手したということだからな。

 今回採用した後者の案の場合は、あくまでこの5人で協力して手に入れたものということになる。
 一定の感謝はしてくれるだろうが、俺個人に対する感謝の念の大きさはやや落ちるだろう。
 ただし、みんなの協力により手に入れたという達成感は得ることができる。
 今後、長い目でハーレムパーティを築いていくためには、こっちのほうがいいと思ったのだ。

「えっ!? ……す、すごいのです! 見事なオリハルコンなのです!」

 ミナが目を輝かせてそう言う。

「へえ。1回で出るなんて、あたいたちは相当運がいいな!」

「ご主人様の日頃の行いの賜物です!」

「いい感じだね。……それで、今からどうするの?」

 ユヅキがそう問う。

「もちろん……町に戻る。ゴーレム戦で、MPも闘気もたくさん消耗したからな」

 初挑戦ということもあり、MPや闘気を惜しみなく使って安全に戦った。
 今日のところは撤収すべきだ。
 今後は、もう少し配分に気をつければ1日に複数回ボス戦を行うことも可能だろう。
 あるいは、2階層に進んでリトルブラックタイガーを狩ることもできる。

「ボクもそれでいいのです。このオリハルコンがあれば、いい武器がつくれそうなのです」

「よっしゃ。祝勝会として、あたいがうまい料理をつくってやるよ」

 リンがそう言う。

「いいですね! 楽しみです!」

「僕も手伝うよ。……さあ、気をつけて帰ることにしよう」

 そんな感じで、俺たちは意気揚々と帰ることにした。
 うまい料理を食べて、明日以降もがんばっていきたいところだ。
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