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第2章 ダンジョンへ挑戦 ミナ、リン

37話 日々の狩り

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 シルヴィとユヅキとともに『悠久の風』として活動を始めて、2週間ほどが経過した。
 俺たちは、エルカ草原でゴブリンやホーンラビットを狩っている。

「揺蕩う風の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。風の刃を生み出し、我が眼前の敵を切り裂け。ウインドカッター!」

 ザシュッ!
 俺が放った風の刃により、ホーンラビットが息絶える。

「凍てつく氷の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。氷の弾丸を撃ち出し、我が眼前の敵を撃ち抜け。アイスショット!」

 カキン!
 シルヴィが放った氷の弾丸が、ゴブリンを撃ち抜く。

「鮮やかなる剣の神よ。我が剣技に奇跡を与え給え。俊敏なる一閃。ビーストラッシュ」

 ズバッ!
 ユヅキの鋭い一撃により、ゴブリンが切り裂かれる。

 そんな感じで、今の俺たちにとってエルカ草原は楽な狩場だ。
 ガンガン魔物を討伐している。

 そのおかげで、レベルも順調に上がっている。
 今の俺たちのステータスを確認しておこう。


コウタ
種族:人族
ファーストジョブ:風魔法使いレベル14
セカンドジョブ:剣士レベル13
サードジョブ:氷魔法使いレベル8
HP:D
MP:C++
闘気:E+++
腕力:D
脚力:E++
器用:D

システムスキル:
ジョブ設定
経験値ブースト
パーティメンバー設定
パーティメンバー経験値ブースト

アクティブスキル:
ウインドカッター
エアバースト
ラッシュ
アイスショット

パッシブスキル:
腕力強化


シルヴィ
種族:白狼族
ファーストジョブ:獣戦士レベル12
セカンドジョブ:氷魔法使いレベル9
HP:E+++
MP:D+
闘気:E++
腕力:E++
脚力:E++++
器用:E++

アクティブスキル:
アイスショット
ビーストストライク

パッシブスキル:
脚力強化


ユヅキ
種族:茶犬族
ファーストジョブ:獣剣士レベル11
セカンドジョブ:土魔法使いレベル5
HP:E++
MP:E+++
闘気:E++
腕力:E+
脚力:E++++
器用:E++

アクティブスキル:
ビーストラッシュ
クリエイトブロック

パッシブスキル:
腕力強化


 それぞれの基礎ステータスがひと回り成長した。
 さらに、ユヅキはパッシブスキルも得た。

「よし……。順調だな」

「そうですね! 偉大なるご主人様であれば当然のことです!」

 シルヴィが元気よくそう言う。

「うーん……」

 ユヅキが首を傾げている。

「どうした?」

「何だか、力がみなぎってくるんだ」

「ユヅキの獣剣士のジョブは、レベル10でパッシブスキルを得るのだろう? そのおかげじゃないか?」

 というか、間違いなくそうである。
 俺からはユヅキの現在のジョブレベルやスキルが見えている。
 しかし、この世界の住人は、ジョブレベルやスキルを把握する機会が限られている。
 教会の司祭にお布施付きで依頼するか、消耗品のスクロールを使用するかである。

「レベル10? それはそれで、レベルアップが何だか早い気が……」

「俺たちとパーティを組んだことで、いろいろと新鮮な気持ちで得るものも多かったのではないか? レベルが早めに上がったのはいいことだし、それほど気にする必要もないと思うが……」

 あまり深く突っ込まれると、俺の『パーティメンバー設定』や『パーティメンバー経験値ブースト』の説明をしなければならなくなる。

「うーん……。怪しい。何か隠してない?」

 ユヅキが疑いの眼差しでこちらを見てくる。

「何も隠していない……と言えば嘘になるが、今は気にしないでくれ」

 ユヅキは悪どいやつではないし。俺の将来のハーレムメンバーの候補者でもある。
 別に話してもいいのだが、もう少しだけ様子を見たいところだ。

「そう。まあ、今は気にしないでおくよ」

 そんな感じで、何とかユヅキからの追及は逃れることができた。
 機を見て、彼女にもいろいろと説明してあげないとな。
 ベストなタイミングは、彼女が俺のハーレムメンバーに加入した頃だ。


--------------------------------------------------


 その日の狩りを終えて冒険者ギルドに戻る。
 受付嬢のセリアに声を掛ける。

「よう、セリアちゃん」

「これはこれは、『悠久の風』の皆さん。お疲れ様ですにゃ。何かご用ですかにゃ?」

「この魔石を売りたい。査定してくれ」

「またすごく黒い魔石ですにゃ。さっそく査定しますにゃ」

 魔石は、魔力が蓄積するほど黒く染まっていく。
 俺たちはエルカ草原でガンガン魔物を狩っているので、染まる速度も速い。
 前回魔石を現金化したのは、1週間ほど前だ。
 日銭に困っているわけではないので、毎日のように換金する必要はない。

「査定が終わりましたにゃ。今回はこの額での買い取りとなりましたにゃ」

「ああ、ありがとう」

 俺とユヅキはセリアから買い取り金を受け取る。
 シルヴィの分は俺が代わりに受け取った。

「しかし、本当にすごいですにゃ。コウタさんは最初から有望だと思っていたにゃ。でも、シルヴィちゃんとユヅキちゃんまでこんなに急成長するとは、予想以上ですにゃ」

「ご主人様の薫陶のおかげです!」

「僕自身も驚いているよ。コウタやアーノルドさんが言っているように、違う環境で活動することがいい刺激になっているのかな?」

「今後も期待しておりますにゃ。応援してますにゃ」

 セリアがそう言う。

 俺たち『悠久の風』の冒険者活動は、順調だと言っていい。
 俺のシステムスキルのおかげで、成長速度が速いのも大きい。

 このペースのしばらく活動を続けてもいいのだが、できれば達成しておきたいミッションがある。


ミッション
『悠久の風』にてダンジョンの階層ボスを撃破せよ。
報酬:オリハルコン(中)、経験値(小)

ミッション
『悠久の風』のパーティ人数を5人にせよ。
報酬:魔石蓄積ブースト、経験値(小)


 この2つだ。
 追加されたのは2週間ほど前だが、その間手つかずで放置してきた。
 どちらも容易ではないが、達成困難というほどでもない。
 そろそろ、条件達成に向けて本格的に動き出してもいいかもしれない。

 ダンジョンの階層ボスを撃破するには……。
 まずは、戦力の拡充か。

 新たなパーティメンバーが見つかればいいのだが、すぐに見つかるようなものでもない。
 アーノルドやユーヤたちは、近郊の村まで遠征に出ているそうだし。

 パーティメンバーの勧誘以外にも、できることはある。
 武器の新調だ。
 俺はミッション報酬で得たそこそこいい武器をつかっているが、シルヴィの武器は数打ちの量産品だ。
 ここしばらくの狩りで多少の貯金ができたし、武器の新調を検討してもいい頃合いだろう。

 この町の武具屋といえば、お得意先がある。
 ドワーフの鍛冶師の少女ミナがいる武具屋だ。
 明日、シルヴィやユヅキとともに行ってみることにしよう。
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