35 / 1,260
第1章 初級冒険者として活躍 シルヴィ、ユヅキ
35話 『土魔法使い』の設定
しおりを挟む
『円柱状の石を頬張る』というイベントを通して、ユヅキは無事に『土魔法使い』のジョブを取得した。
だが、やや強引にことを進めたため、彼女が怒ってしまっている。
実際に土魔法を使えるようになっていることを確認してもらい、何とか機嫌を直してもらいたいところだ。
俺はさっそく、ユヅキのセカンドジョブに土魔法使いを設定する。
ユヅキ
種族:茶犬族
ファーストジョブ:獣剣士レベル9
セカンドジョブ:土魔法使いレベル1
HP:E+
MP:E
闘気:E+
腕力:E+
脚力:E+++
器用:E++
アクティブスキル:
ビーストラッシュ
クリエイトブロック
「ユヅキ。機嫌を直してくれ。あれは必要なことだったんだ」
「あれが必要なこと? 訳がわかんないよ」
ユヅキがなおもぶー垂れる。
「何か、変わったところはないか?」
「え? そういえば……。土魔法が発動できそうな気がする。何でだろう?」
ユヅキが首をかしげる。
シルヴィのときもそうだったが、新たなジョブをを設定した際には、本人にも知覚できる違いがあるようだ。
まあ、俺も自分のジョブを設定したことがあるからわかる。
確信を持って違和感があるというよりは、なんとなく違和感を覚えるという程度だ。
「さっき、長細い石を口に含んだだろう? 大地の一部である石を味わうことにより、土魔法への理解が深まったのだ」
一応、MSCにおいても建前はそうなっていた。
全裸で風を感じることで得る『風魔法使い』や、愛する者を冷たい言葉で罵ることで得る『氷魔法使い』と同じく、ややムリヤリな理屈ではあるが。
「そ、そっか……。平手打ちしちゃってごめんね。勘違いしてた」
ユヅキが頭を下げる。
「いや、気にするな。ちゃんと説明せず、強引に進めたこちらにも非はある。それよりも、さっそく土魔法を使ってみてくれ」
「わ、わかった。やってみるね」
ユヅキが魔力を高めていく。
「母なる土の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。土の塊を生み出し、我が眼前に落とせ。クリエイト・ブロック!」
ドゴン!
そこそこのサイズの土の塊が、上空から振ってきた。
大きさは直径10センチ程度か。
氷魔法の『アイスショット』は、氷の弾を撃ち出す魔法である。
土魔法の『クリエイト・ブロック』は、土の塊を生成する魔法である。
攻撃の柔軟性という点では、アイスショットのほうが上だ。
好きな方向に飛ばせるからな。
しかし、威力はクリエイト・ブロックのほうが上である。
質量が大きいためだ。
「ふむ。いい感じだな」
「ほ、本当に使えた。僕が土魔法を使えるなんて」
ユヅキが嬉しそうにそう言う。
各種ジョブの取得方法が広まっていないこの世界においては、魔法を使える者はややめずらしい。
白狼族なら氷魔法、茶犬族なら土魔法に適正があるが、それでもその属性の魔法を使える者はそれほど多くない。
使える者は、ちょっとした有名人となり有望株扱いされる。
これで、ユヅキも期待のルーキーに仲間入りといったところだ。
「アーノルドさんたちが言っていたことは事実だったんだね。たまには違うパーティで狩りをすることも、いい経験になるって」
「そうだな。俺やシルヴィも、ユヅキの存在はいい刺激になっているぞ」
獣剣士や土魔法使いのジョブは、MSCにおいて見慣れている。
しかし、この世界における実際の戦闘能力などはもちろん知らない。
今のところは各種の仕様に大きな差異はない。
だが、できるだけ確認しておいて損はない。
「ありがとう。それで、できればこの修練方法をユーヤたちに教えてあげたいのだけど……」
ユヅキがそう言う。
彼女からすれば、そりゃそうなるよな。
「いや、それはどうだろう。あの修練方法を、ユーヤたちが信じて実行してくれるのであればいいが……」
細長い石を頬張り、前後させて味わう。
傍目には、奇行にしか映らない。
「そ、それは確かに……。うーん。機を見て、言ってみることにするよ。コウタはそれでも構わないの?」
「そうだな。あまり広めすぎるのもよくない。俺たちの優位性が失われるからな。とはいえ、ユヅキの兄であるユーヤや、他の3人ぐらいであれば大きな問題はないだろう」
俺TUEEEするためにも、無闇に広めるのは避けたい。
だが、俺には『30年後の世界滅亡を回避せよ』というミッションもある。
先のことだから現状ではあまり気にしていないが、少しは意識しておいたほうがいい。
各種ジョブの裏技じみた取得方法を広めれば、この世界の平均的な戦闘能力は少しずつ上がっていくことだろう。
そうなれば、30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう際にもマイナスにはならないはずだ。
具体的に、どのような危機があるのかにもよるが。
「わ、わかった。じゃあそうするね。それはそうとして、僕自身はしばらくコウタたちとパーティを組んでいようかな。コウタはどう思う?」
「俺は構わないぞ。たった2か月では、寂しいと思っていたんだ。なあ? シルヴィ」
「そうですね! ユヅキさんと2人でならば、ご主人様をお支えしていけると思います! ともにがんばりましょう!」
そんな感じで、ユヅキの『土魔法使い』としての初動は無事にスタートした。
さらに、彼女が俺たちのパーティにしばらく加入する方向性にもなった。
3人以上となると、そろそろパーティ名を設定しておいたほうがいいかもしれない。
近いうちに、冒険者ギルドに行くことにしよう。
だが、やや強引にことを進めたため、彼女が怒ってしまっている。
実際に土魔法を使えるようになっていることを確認してもらい、何とか機嫌を直してもらいたいところだ。
俺はさっそく、ユヅキのセカンドジョブに土魔法使いを設定する。
ユヅキ
種族:茶犬族
ファーストジョブ:獣剣士レベル9
セカンドジョブ:土魔法使いレベル1
HP:E+
MP:E
闘気:E+
腕力:E+
脚力:E+++
器用:E++
アクティブスキル:
ビーストラッシュ
クリエイトブロック
「ユヅキ。機嫌を直してくれ。あれは必要なことだったんだ」
「あれが必要なこと? 訳がわかんないよ」
ユヅキがなおもぶー垂れる。
「何か、変わったところはないか?」
「え? そういえば……。土魔法が発動できそうな気がする。何でだろう?」
ユヅキが首をかしげる。
シルヴィのときもそうだったが、新たなジョブをを設定した際には、本人にも知覚できる違いがあるようだ。
まあ、俺も自分のジョブを設定したことがあるからわかる。
確信を持って違和感があるというよりは、なんとなく違和感を覚えるという程度だ。
「さっき、長細い石を口に含んだだろう? 大地の一部である石を味わうことにより、土魔法への理解が深まったのだ」
一応、MSCにおいても建前はそうなっていた。
全裸で風を感じることで得る『風魔法使い』や、愛する者を冷たい言葉で罵ることで得る『氷魔法使い』と同じく、ややムリヤリな理屈ではあるが。
「そ、そっか……。平手打ちしちゃってごめんね。勘違いしてた」
ユヅキが頭を下げる。
「いや、気にするな。ちゃんと説明せず、強引に進めたこちらにも非はある。それよりも、さっそく土魔法を使ってみてくれ」
「わ、わかった。やってみるね」
ユヅキが魔力を高めていく。
「母なる土の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。土の塊を生み出し、我が眼前に落とせ。クリエイト・ブロック!」
ドゴン!
そこそこのサイズの土の塊が、上空から振ってきた。
大きさは直径10センチ程度か。
氷魔法の『アイスショット』は、氷の弾を撃ち出す魔法である。
土魔法の『クリエイト・ブロック』は、土の塊を生成する魔法である。
攻撃の柔軟性という点では、アイスショットのほうが上だ。
好きな方向に飛ばせるからな。
しかし、威力はクリエイト・ブロックのほうが上である。
質量が大きいためだ。
「ふむ。いい感じだな」
「ほ、本当に使えた。僕が土魔法を使えるなんて」
ユヅキが嬉しそうにそう言う。
各種ジョブの取得方法が広まっていないこの世界においては、魔法を使える者はややめずらしい。
白狼族なら氷魔法、茶犬族なら土魔法に適正があるが、それでもその属性の魔法を使える者はそれほど多くない。
使える者は、ちょっとした有名人となり有望株扱いされる。
これで、ユヅキも期待のルーキーに仲間入りといったところだ。
「アーノルドさんたちが言っていたことは事実だったんだね。たまには違うパーティで狩りをすることも、いい経験になるって」
「そうだな。俺やシルヴィも、ユヅキの存在はいい刺激になっているぞ」
獣剣士や土魔法使いのジョブは、MSCにおいて見慣れている。
しかし、この世界における実際の戦闘能力などはもちろん知らない。
今のところは各種の仕様に大きな差異はない。
だが、できるだけ確認しておいて損はない。
「ありがとう。それで、できればこの修練方法をユーヤたちに教えてあげたいのだけど……」
ユヅキがそう言う。
彼女からすれば、そりゃそうなるよな。
「いや、それはどうだろう。あの修練方法を、ユーヤたちが信じて実行してくれるのであればいいが……」
細長い石を頬張り、前後させて味わう。
傍目には、奇行にしか映らない。
「そ、それは確かに……。うーん。機を見て、言ってみることにするよ。コウタはそれでも構わないの?」
「そうだな。あまり広めすぎるのもよくない。俺たちの優位性が失われるからな。とはいえ、ユヅキの兄であるユーヤや、他の3人ぐらいであれば大きな問題はないだろう」
俺TUEEEするためにも、無闇に広めるのは避けたい。
だが、俺には『30年後の世界滅亡を回避せよ』というミッションもある。
先のことだから現状ではあまり気にしていないが、少しは意識しておいたほうがいい。
各種ジョブの裏技じみた取得方法を広めれば、この世界の平均的な戦闘能力は少しずつ上がっていくことだろう。
そうなれば、30年後の世界滅亡の危機に立ち向かう際にもマイナスにはならないはずだ。
具体的に、どのような危機があるのかにもよるが。
「わ、わかった。じゃあそうするね。それはそうとして、僕自身はしばらくコウタたちとパーティを組んでいようかな。コウタはどう思う?」
「俺は構わないぞ。たった2か月では、寂しいと思っていたんだ。なあ? シルヴィ」
「そうですね! ユヅキさんと2人でならば、ご主人様をお支えしていけると思います! ともにがんばりましょう!」
そんな感じで、ユヅキの『土魔法使い』としての初動は無事にスタートした。
さらに、彼女が俺たちのパーティにしばらく加入する方向性にもなった。
3人以上となると、そろそろパーティ名を設定しておいたほうがいいかもしれない。
近いうちに、冒険者ギルドに行くことにしよう。
76
お気に入りに追加
1,089
あなたにおすすめの小説
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?
澤檸檬
ファンタジー
旧題 努力=結果
異世界の神の勝手によって異世界に転移することになった倉野。
実際に異世界で確認した常識と自分に与えられた能力が全く違うことに少しずつ気付く。
異世界の住人はレベルアップによってステータスが上がっていくようだったが、倉野にだけレベルが存在せず、行動を繰り返すことによってスキルを習得するシステムが採用されていた。
そのスキル習得システムと異世界の常識の差が倉野を最強の人間へと押し上げていく。
だが、倉野はその能力を活かして英雄になろうだとか、悪用しようだとかそういった上昇志向を見せるわけでもなく、第二の人生と割り切ってファンタジーな世界を旅することにした。
最強を隠して異世界を巡る倉野。各地での出会いと別れ、冒険と楽しみ。元居た世界にはない刺激が倉野の第二の人生を彩っていく。
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉
まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。
貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる