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第1章 初級冒険者として活躍 シルヴィ、ユヅキ

23話 お前、女だったのか!?

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 中級の魔物スメリーモンキーを撃破した。
 やつの攻撃をモロにくらったユーヤが臭いに苦しんでいるので、足早に小川へ向かっているところだ。

「はあ、はあ……。よし、小川が見えてきた。もう少しだぞ、ユーヤ!」

「あ、兄貴ィ……」

 ユーヤが力なくそう言う。
 臭いに苦しんでいるだけなので命に危険はないだろうが、苦しみから早く解放してあげたい。
 というか、俺も臭いに苦しんでいるし。

「着いた! いくぞぉ!」

 バシャーン!
 俺は小川に飛び込む。
 見た感じ、危険そうな魔物や魔獣はいない。
 存分に水浴びをすることにしよう。

「ああ……。生き返るぜ……。まだ少し臭ェが……」

 ユーヤも少しだけ復活した様子だ。
 とりあえず、俺たちは全裸になって体を清めていく。
 それがひと段落したら、服や装備の手入れもしていくつもりだ。

 そして、『大地の轟き』の残りの3人も、同じく全裸で水浴びをしている。
 男同士、何も気兼ねすることはない。

 ……ん?
 3人?

「シルヴィは上流側のあの岩陰で水浴びしているとして……。ユヅキはどこにいった?」

「え? ユヅキなら、シルヴィちゃんといっしょに向こうに行きましたぜ」

 俺の問いに、ユーヤが何でもないことのようにそう答える。

「なぬっ!? シルヴィの裸は、俺以外の男には見せんぞ! 俺もまだ見ていないのに!」

 ふざけやがって。
 いかにユヅキとはいえ、俺のシルヴィに手を出したらタダでは済まさねえ。

 俺は川の流れに逆らい、肩を怒らせて岩陰に向かう。
 シルヴィは俺の奴隷だし、少しぐらい裸を見てもいいだろう。
 たぶん。

「えっ!? あ、兄貴……? ユヅキはおn……」

 ユーヤが何かを言おうとしているが、頭に血が上っている俺には届かなかった。

「ユヅキィィ! 俺のシルヴィに手を……」

 手を出すな。
 そう言いかけた俺の言葉は、思いがけない光景を見て止まった。

「ご、ご主人様!?」

「コ、コウタ……!?」

 一糸まとわぬ2人の少女の全裸を見てしまったのだ。
 そう、2人の少女だ。

 シルヴィの全裸は美しい。
 期待していた以上の美しさだ。
 分割払いを終えるまでは手を出すわけにはいかないのが恨めしい。

 そして、ユヅキの全裸は……。

「え……? ユ、ユヅキ……? お前、女だったのか!?」

「ぼ、僕は女だよ! コウタのバカーーーッ!!!」

 バチーン!
 ユヅキの平手打ちが俺を襲う。

「ぐはぁっ!」

 俺はとっさのことで避けきれず、モロにくらってしまった。
 水上に仰向けに倒れ込む。
 そして、力なくそのまま水面に浮かぶ。
 もちろん全裸のままだ。

「わ、わあ……。あれがご主人様の……」

「へ、へえ? コウタのあれがおっきくなってる。シルヴィちゃんのを見て? それとも、ひょっとして僕のを見てこうなったのかな……?」

 シルヴィとユヅキが何やらつぶやいているのが聞こえる。
 しかし、俺は強烈なビンタを受けたことによりダメージは甚大だ。

 俺は起き上がる気力も湧かず、そのまま下流に流されていく。
 どんぶらこ、どんぶらこ。

「あ、兄貴ィ。何をやっているのですか……」

 ユーヤが呆れたような表情でそう言う。
 いかん。
 せっかく、クレイジーラビットやスメリーモンキーの件で稼いだ好感度が。
 まあ、男からの好感度なんぞどうでもいいといえばどうでもいいが。

「うむ……。ユヅキは女だったのだな」

「ええ。確かに、あいつはまだ女らしくはねェですが……」

 ユヅキは10代前半。
 普通であれば女性らしさが強調されていく年頃であるが、その点で彼女はやや成長が遅いといったところか。
 まあ、服越しでは気づかなかっただけで、脱いだらなかなかのものを持ってはいたが。

「女1人に男4人。逆ハーレムパーティだったか……」

「それもちょっと違いやすが……。まあそういうことにしときやしょう」

 俺とユーヤは、そんな会話をする。
 ユヅキが女だとわかった途端、彼女のことが少しかわいく見えてきた。
 僕っ娘か。
 それも悪くない。

 できれば、ユヅキをパーティメンバーに勧誘したいな。
 とはいえ、逆ハーレムパーティの紅一点を引き抜くのも少し気まずい。
 しばらく様子を見ることにしよう。
 そもそも、まだシルヴィにも手を出せていないしな。

 そんなちょっとしたハプニングはあったが、その後の水浴びは平和に進んでいった。
 服や装備も洗う。
 火をおこし、乾かすことになる。
 だが、その前に……。

「よし。お前たち、そこに並べ。もちろん加減はするが、しっかり踏ん張れよ」

「バッチリだぜ! コウタの兄貴!」

 俺の言葉に、ユーヤがそう答える。
 他の面々も、やる気だ。

「揺蕩う風の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。風の塊を撃ち出し、我が眼前の敵を弾き飛ばせ。エアバースト!」

 空気の塊が射出される。
 一口にエアバーストとはいっても、詠唱中のイメージにより多少の制御はできる。
 今回の場合は、風の塊の圧縮具合を下げ、風速自体も弱めにしてある。
 これによってもたらされるのは……。

「おお! 快適ですね! さすがはご主人様です!」

「うん、いい感じだね。これなら体や服も早めに乾きそうだ」

 シルヴィとユヅキがそう言う。
 エアバーストを弱めにすることにより、体や服の水滴を飛ばしているのだ。
 もちろん、シルヴィとユヅキは最低限の服を着た状態である。
 男性陣は、全裸で風を浴びている。

「ちょっと冷えてきたぜ! 火にあたることにするか」

 ユーヤがそう言う。
 風に当たるだけだと、気化熱により体温は低下してしまう。
 火にあたって温めないとな。

 いずれ、『火魔法使い』のジョブを得ることができれば、火をおこすことも容易になる。
 それぞれのジョブのレベルを一定以上にすれば、火魔法と風魔法の両方を使える上級ジョブも解放される。
 そうなれば、戦闘だけではなくこういった状況下でも役に立つ。

 今後も、いろいろなジョブのレベルを上げていかないとな。
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