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144話 貫きなさい

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 イザベラはゴーレムに向けて最下級の木魔法を放った。
 通常ではゴーレムを粉砕する威力を出すことは難しいが――

「【貫きなさい】」

 イザベラの言葉に反応し、魔法でできた木の槍が加速する。
 通常よりも速いスピードで、ゴーレムに向かって飛んでいく。

「「なっ……!?」」

 驚く四席と五席。
 イザベラが放った魔法は、そのままゴーレムに直撃し、貫通した。

「「「…………」」」

 四席と五席、講師、その他の生徒達。
 全員が無言になる中、イザベラは悠然と振り返り、得意げに言った。

「ずいぶんと脆いゴーレムですこと……。これなら、威力を上乗せせずとも良かったかもしれません。まぁいずれにせよ、これでわかったでしょう? 私がどれほどの力を持っているのか」

 イザベラは、自分がいかに優れているかをアピールするように語った。
 自分の力を誇示する――以前の彼女であれば、避けていたことだ。
 しかし、今の彼女は違う。
 自信に満ち溢れており、他者を見下すような態度を取るようになった。

「さて、それでは……講師さん?」

「…………」

「講師!」

「えっ、あ、はいっ! 何でしょうか?」

 講師は思わず敬語で返答してしまった。
 王立学園には、身分を振りかざすことは避けるという建前がある。
 そのため、生徒がどれほど高い身分で、講師がどれほど低い身分であっても、互いに敬意を持って接しなければならない。
 そのルールは、侯爵家令嬢のイザベラにも同じく適応されているはずだ。
 しかし今だけは例外だった。
 皆が注目する彼女からは、まるで覇王のような威圧感が放たれているのだ。
 上級の氷魔法でゴーレムを撃破したオスカーとは、また一段レベルが異なる。
 イザベラは初級の木魔法――それもわずか一発だけで、ゴーレムを屠ってしまったのだ。
 講師にとって、目の前の少女はもはや格上の存在であり、逆らうことなどできない存在となっていた。

「私の成績はどうですかしら? 首席になれそうかしら?……お答えくださいまし」

「そ、それは……」

「はっきり言いなさい!」

「ひぃっ!」

 高圧的な口調のイザベラに気圧される講師。
 彼はなんとか言葉を絞り出すように口を開く。
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