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142話 ひれ伏しなさい

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 四席と五席が、オスカーやイザベラにイチャモンをつけている。

「そ、そうとも限らないだろう! 早熟の天才が、成長するにしたがって伸び悩むことだってよくある話だ!」

「それに、魔法には向き不向きがありますわ! イザベラさんの得意魔法は、土や木だったはず……。それがゴーレムに通じるかどうか……」

「やれやれ……。下等な末端貴族は、無知蒙昧ですね」

「な、なにぃ……!」

「どういうことですか!」

 オスカーが肩をすくめると、四席と五席が怒りの声を上げた。

「イザベラ殿の才能の底は、私ですら推し量ることができていません。彼女にはそれほどの才があるのです。それを、あなた方ごときが測れるわけがないでしょう? その程度のことも分からないとは……。だから、底辺を這いずり回るんですよ」

 オスカーが嘲笑う。

「こ、この野郎ぉ~!!」

「許せませんわぁー!!」

 激高した四席と五席がオスカーに飛び掛った。
 オスカーが迎撃態勢を取る。
 だが――

「【ひれ伏しなさい】」

 イザベラの一言により、四席と五席は地面に押しつぶされた。

「ぐあっ! な、なにが起きたんだ!?」

「か、体が動きませんわ。どうしてですの!?」

「あなた方は、イザベラ殿を侮りすぎです。彼女には、あなた方ごときの理解が及ばない能力があるのです」

 オスカーがそう説明する。
 彼は敢えて詳細を説明しなかったが、これはイザベラの『覇気』の能力だ。
 言葉に『覇気』を乗せて発することで、対象の動きを強制的に止めることができる。

「くっ……。おのれぇ~!」

「ま、負けてたまるものですか……」

 四席と五席が悔しそうに呟いた。
 そんな彼らに、イザベラが冷たい視線を向ける。

「ふん。羽虫が騒がしいですわね。そこまで言うのであれば、今の私の実力を見せて差し上げましょうか」

 彼女はそう言って、前に出たのだった。
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