109 / 241
109話 三対一
しおりを挟む
正気を失ったフレッドに対して、エドワード殿下、カイン、オスカーの三人が対峙している。
フレッドの戦闘能力は高い。
三対一とはいえ油断はできない。
「おい、フレッドよ。俺達の質問に答えろ。お前はどうしてしまったんだ?」
「……」
フレッドは無反応だ。
「へっ。やはり、闇の瘴気とやらに汚染されちまっているようだぜ」
「仕方ありません。ここは実力行使で無力化しましょう」
カインとオスカーがそれぞれ構える。
そして、二人が同時に踏み込んだ瞬間――
ドゴォッ!
凄まじい轟音を立てて、地面から石柱が現れた。
それは、カインとオスカーに向けて一直線に伸びていく。
「な、なんだ!?」
「くっ!」
二人は慌てて回避した。
なんとか直撃は免れたが、二人共、腕に傷を負ったようだ。
血を流している。
「おらぁあああっ!!」
カインがフレッドに向かっていく。
身体能力強化魔法と剣術を修めている彼なら、多少の傷では怯まないよね。
頼りになる。
だけど――
「【グラウンド・クラッシュ】」
「ぐわあああっ!!!」
フレッドの土魔法によって地面が隆起し、カインを跳ね飛ばす。
そのまま、彼は地面に叩きつけられてしまった。
「はああぁっ!! 【アイスブレード】」
「【ストーン・ジャベリン】」
今度は、オスカーとエドワード殿下から攻撃魔法が放たれる。
オスカーは氷魔法。
エドワード殿下は土魔法だ。
それらはフレッドを正確に狙っていたが――
「【プラントガード】」
地面から生えた蔓や蔦に阻まれてしまう。
さすがに二人がかりの魔法を防ぐほどの強度はないみたいで、何本かは切断されている。
それでも、ほとんどの魔法を防いでしまった。
「くっ。馬鹿な! 私の氷魔法が……」
「ふん。フレッドがこれほどの実力を持っていたとはな」
オスカーとエドワード殿下が驚愕する。
無理もない。
私も予想外だ。
フレッドは第一学年としては優秀だけれど、オスカーは第二学年、エドワード殿下は第三学年だ。
オスカーの氷魔法は学年トップクラス。
エドワード殿下は防御魔法に比べれば攻撃魔法を少し苦手とはしているけれど、一般生徒なんかと比べると遥かに出力が高い。
その二人がかりでも突破できないとなると、フレッドの防御魔法はかなりのものということになる。
(フレッドって、あんなに魔法が得意だったかしら?)
彼の専門分野は毒だ。
次点でポーションの知識や調合技術。
さらにその次に、護身術や座学全般、魔法がある。
土魔法や植物魔法は、幼い頃の私が優先的に取り組んでいた魔法だ。
ポーションの材料を栽培するための畑仕事を通して、フレッドにも伝授していた。
それなりに得意としていたことは知っているけど、今のオスカーやエドワード殿下の攻撃を防ぎ切るほどとは認識していなかった。
「ちっ! やるじゃねぇか。どうやら見くびってしまっていたようだぜ」
「そうだな。作戦を練り直す必要がある」
「今度こそ、油断せずにいきましょう」
カイン、エドワード殿下、オスカーが態勢を立て直す。
フレッドの実力は想定以上だったが、さすがに三対一。
こちらが負けてしまうことはないだろう。
私の可愛い義弟を、無傷で無力化してほしいものだ。
フレッドの戦闘能力は高い。
三対一とはいえ油断はできない。
「おい、フレッドよ。俺達の質問に答えろ。お前はどうしてしまったんだ?」
「……」
フレッドは無反応だ。
「へっ。やはり、闇の瘴気とやらに汚染されちまっているようだぜ」
「仕方ありません。ここは実力行使で無力化しましょう」
カインとオスカーがそれぞれ構える。
そして、二人が同時に踏み込んだ瞬間――
ドゴォッ!
凄まじい轟音を立てて、地面から石柱が現れた。
それは、カインとオスカーに向けて一直線に伸びていく。
「な、なんだ!?」
「くっ!」
二人は慌てて回避した。
なんとか直撃は免れたが、二人共、腕に傷を負ったようだ。
血を流している。
「おらぁあああっ!!」
カインがフレッドに向かっていく。
身体能力強化魔法と剣術を修めている彼なら、多少の傷では怯まないよね。
頼りになる。
だけど――
「【グラウンド・クラッシュ】」
「ぐわあああっ!!!」
フレッドの土魔法によって地面が隆起し、カインを跳ね飛ばす。
そのまま、彼は地面に叩きつけられてしまった。
「はああぁっ!! 【アイスブレード】」
「【ストーン・ジャベリン】」
今度は、オスカーとエドワード殿下から攻撃魔法が放たれる。
オスカーは氷魔法。
エドワード殿下は土魔法だ。
それらはフレッドを正確に狙っていたが――
「【プラントガード】」
地面から生えた蔓や蔦に阻まれてしまう。
さすがに二人がかりの魔法を防ぐほどの強度はないみたいで、何本かは切断されている。
それでも、ほとんどの魔法を防いでしまった。
「くっ。馬鹿な! 私の氷魔法が……」
「ふん。フレッドがこれほどの実力を持っていたとはな」
オスカーとエドワード殿下が驚愕する。
無理もない。
私も予想外だ。
フレッドは第一学年としては優秀だけれど、オスカーは第二学年、エドワード殿下は第三学年だ。
オスカーの氷魔法は学年トップクラス。
エドワード殿下は防御魔法に比べれば攻撃魔法を少し苦手とはしているけれど、一般生徒なんかと比べると遥かに出力が高い。
その二人がかりでも突破できないとなると、フレッドの防御魔法はかなりのものということになる。
(フレッドって、あんなに魔法が得意だったかしら?)
彼の専門分野は毒だ。
次点でポーションの知識や調合技術。
さらにその次に、護身術や座学全般、魔法がある。
土魔法や植物魔法は、幼い頃の私が優先的に取り組んでいた魔法だ。
ポーションの材料を栽培するための畑仕事を通して、フレッドにも伝授していた。
それなりに得意としていたことは知っているけど、今のオスカーやエドワード殿下の攻撃を防ぎ切るほどとは認識していなかった。
「ちっ! やるじゃねぇか。どうやら見くびってしまっていたようだぜ」
「そうだな。作戦を練り直す必要がある」
「今度こそ、油断せずにいきましょう」
カイン、エドワード殿下、オスカーが態勢を立て直す。
フレッドの実力は想定以上だったが、さすがに三対一。
こちらが負けてしまうことはないだろう。
私の可愛い義弟を、無傷で無力化してほしいものだ。
0
お気に入りに追加
2,167
あなたにおすすめの小説

【完結】毒殺疑惑で断罪されるのはゴメンですが婚約破棄は即決でOKです
早奈恵
恋愛
ざまぁも有ります。
クラウン王太子から突然婚約破棄を言い渡されたグレイシア侯爵令嬢。
理由は殿下の恋人ルーザリアに『チャボット毒殺事件』の濡れ衣を着せたという身に覚えの無いこと。
詳細を聞くうちに重大な勘違いを発見し、幼なじみの公爵令息ヴィクターを味方として召喚。
二人で冤罪を晴らし婚約破棄の取り消しを阻止して自由を手に入れようとするお話。

【完結】 悪役令嬢が死ぬまでにしたい10のこと
淡麗 マナ
恋愛
2022/04/07 小説ホットランキング女性向け1位に入ることができました。皆様の応援のおかげです。ありがとうございます。
第3回 一二三書房WEB小説大賞の最終選考作品です。(5,668作品のなかで45作品)
※コメント欄でネタバレしています。私のミスです。ネタバレしたくない方は読み終わったあとにコメントをご覧ください。
原因不明の病により、余命3ヶ月と診断された公爵令嬢のフェイト・アシュフォード。
よりによって今日は、王太子殿下とフェイトの婚約が発表されるパーティの日。
王太子殿下のことを考えれば、わたくしは身を引いたほうが良い。
どうやって婚約をお断りしようかと考えていると、王太子殿下の横には容姿端麗の女性が。逆に婚約破棄されて傷心するフェイト。
家に帰り、一冊の本をとりだす。それはフェイトが敬愛する、悪役令嬢とよばれた公爵令嬢ヴァイオレットが活躍する物語。そのなかに、【死ぬまでにしたい10のこと】を決める描写があり、フェイトはそれを真似してリストを作り、生きる指針とする。
1.余命のことは絶対にだれにも知られないこと。
2.悪役令嬢ヴァイオレットになりきる。あえて人から嫌われることで、自分が死んだ時の悲しみを減らす。(これは実行できなくて、後で変更することになる)
3.必ず病気の原因を突き止め、治療法を見つけだし、他の人が病気にならないようにする。
4.ノブレス・オブリージュ 公爵令嬢としての責務をいつもどおり果たす。
5.お父様と弟の問題を解決する。
それと、目に入れても痛くない、白蛇のイタムの新しい飼い主を探さねばなりませんし、恋……というものもしてみたいし、矛盾していますけれど、友達も欲しい。etc.
リストに従い、持ち前の執務能力、するどい観察眼を持って、人々の問題や悩みを解決していくフェイト。
ただし、悪役令嬢の振りをして、人から嫌われることは上手くいかない。逆に好かれてしまう! では、リストを変更しよう。わたくしの身代わりを立て、遠くに嫁いでもらうのはどうでしょう?
たとえ失敗しても10のリストを修正し、最善を尽くすフェイト。
これはフェイトが、余命3ヶ月で10のしたいことを実行する物語。皆を自らの死によって悲しませない為に足掻き、運命に立ち向かう、逆転劇。
【注意点】
恋愛要素は弱め。
設定はかなりゆるめに作っています。
1人か、2人、苛立つキャラクターが出てくると思いますが、爽快なざまぁはありません。
2章以降だいぶ殺伐として、不穏な感じになりますので、合わないと思ったら辞めることをお勧めします。
悪役令嬢エリザベート物語
kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ
公爵令嬢である。
前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。
ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。
父はアフレイド・ノイズ公爵。
ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。
魔法騎士団の総団長でもある。
母はマーガレット。
隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。
兄の名前はリアム。
前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。
そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。
王太子と婚約なんてするものか。
国外追放になどなるものか。
乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。
私は人生をあきらめない。
エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。
⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

[完結]悪役令嬢に転生しました。冤罪からの断罪エンド?喜んで
紅月
恋愛
長い銀髪にブルーの瞳。
見事に乙女ゲーム『キラキラ・プリンセス〜学園は花盛り〜』の悪役令嬢に転生してしまった。でも、もやしっ子(個人談)に一目惚れなんてしません。
私はガチの自衛隊好き。
たった一つある断罪エンド目指して頑張りたいけど、どうすれば良いの?

悪役令嬢に転生!?わたくし取り急ぎ王太子殿下との婚約を阻止して、婚約者探しを始めますわ
春ことのは
恋愛
深夜、高熱に魘されて目覚めると公爵令嬢エリザベス・グリサリオに転生していた。
エリザベスって…もしかしてあのベストセラー小説「悠久の麗しき薔薇に捧ぐシリーズ」に出てくる悪役令嬢!?
この先、王太子殿下の婚約者に選ばれ、この身を王家に捧げるべく血の滲むような努力をしても、結局は平民出身のヒロインに殿下の心を奪われてしまうなんて…
しかも婚約を破棄されて毒殺?
わたくし、そんな未来はご免ですわ!
取り急ぎ殿下との婚約を阻止して、わが公爵家に縁のある殿方達から婚約者を探さなくては…。
__________
※2023.3.21 HOTランキングで11位に入らせて頂きました。
読んでくださった皆様のお陰です!
本当にありがとうございました。
※お気に入り登録やしおりをありがとうございます。
とても励みになっています!
※この作品は小説家になろう様にも投稿しています。
悪役令嬢はモブ化した
F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。
しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す!
領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。
「……なんなのこれは。意味がわからないわ」
乙女ゲームのシナリオはこわい。
*注*誰にも前世の記憶はありません。
ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。
性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。
作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。
木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。
本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。
しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。
特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。
せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。
そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。
幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。
こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。
※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる