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98話 僕の大事な女性

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「うぅ……。ここは……?」

 私は目を覚ました。
 頭が痛い。
 ええっと、何をしていたところだったっけ?

「おや、お目覚めですか。心配しましたよ」

 私の目の前から、男性の声が聞こえる。
 魔道具の照明がちょうど逆光となっており、彼の顔は見えにくい。
 これはどういう状況かしら?
 確か……。

(ああ、私は酔い潰れてしまったのね。思い出してきたわ……)

 まさか、飲み比べでたくさん飲んだあのジュースの正体がワインだったなんてね。
 まぁ、ジュースを飲み比べという時点で少しおかしいとは思っていたのだけど。
 アルコール入りなら、それも納得だ。

「ごめんなさいね。今、起きますわ」

 私は頭を浮かせ、起き上がろうとする。
 今の私は、この男性に膝枕をされている状態だ。
 逆光で彼の顔は見えにくいが、おそらくは年頃の男性だろう。
 私を膝枕している姿を他の者に見られたらマズい。

「いえ、もう少し横になっていていいですよ。貴女は酔って寝込んでしまったんですから」

「そうもいかないわ。あなたに迷惑をかけてしまうもの」

「迷惑だなんて、とんでもない。むしろ役得というものです」

「あら、そうなの? ふふっ。変な人ね。それじゃあ、お言葉に甘えてもうちょっとだけ休ませてもらうことにするわ。あなたの太もも、とても気持ちが良いの」

 私は再び頭の位置を戻し、目を閉じる。
 すると、彼はそっと私の髪を撫でてきた。
 その手つきはとても優しく、思わず心地良く感じてしまう。

(不思議と落ち着くわ。まるでお母さんに抱かれているような安心感がある……)

「まだ時間があるので、このまま眠っていてもいいですよ」

「…………」

 私は黙ったままだ。
 だが、眠りに落ちているわけではない。
 彼の声を聞いていると、なぜか心が落ち着くのだ。
 頭痛や吐き気といった症状も治まっている。
 もしかしたら、魔法を使ってくれたのかしら?
 でも、魔力の流れは感じない。
 どうなっているのだろう?

「あ、あの……」

「はい、なんでしょうか?」

「私を介抱してくださったのですか?」

「ええ、僕が調合したポーションを飲ませたんですよ」

「ポーションですって!? そのような高級なものを……」

 ポーションはなかなかに値が張る代物だ
 一瓶、最低でも金貨数枚はする。
 それを私が眠っている間に飲ませてくれたらしい。

「そんな高価なものを頂いてしまって良いのですか?」

「もちろんです。僕の大事な女性のためですからね」

「まぁ、そんな……」

 私は思わず赤面してしまう。
 顔が熱い。
 きっと真っ赤になっているはずだ。
 それにしても、この素敵な紳士はいったい誰なのだろう?



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告知です。

ノベルピアという新しい投稿サイトに本作を転載し、オープニングコンテストに応募中です。
コンテストの規約上、10000字ほどそちらで先行公開していくことになります。
(8/22現在はまだ転載途中で、最新話には追いついていません)

「続きが気になる」「サイトの垣根を超えて応援してあげる」と思っていただける方がいらっしゃいましたら、ぜひノベルピアでもお読みいただけたらと思います。

こちらでも引き続き更新を頑張りますので、よろしくお願いいたします。
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