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16話 ペガサス

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「よし、俺の後ろに乗ったな?」

「はいっ!」

「もっとしっかり掴まってくれ。落ちると大変だからな」

「わ、わかりました。では……」

 エミリアがカイルにギュッとしがみつく。

「ふむ。これで問題ないだろう」

「はい!」

(うう……。カイルさんの体、大きくてドキドキするよぉ……)

「それじゃあ、出発するぞ。『羽騎』!!」

 カイルのスキルによって、馬に羽が生える。
 その姿は、神話に出てくるペガサスのようだった。

「ヒヒーン!!」

「うひゃあっ! す、凄い! これは気持ちいいですね!」

「ははっ! そうだろう! もっと高度を上げるからな。しっかり掴まっているように」

「はい!」

 カイルとエミリアを乗せたペガサスは、空高くを駆けていく。

「きゃー! 楽しい! まるで鳥になったみたい!」

「おいおい。はしゃぐのはいいが、落ちたら大変なことになるんだ。気を付けてくれよ?」

「わかっていますよ! あっ、もう街が見えてきました!」

「ああ。行きよりスピードを出しているからな」

「このまま行けば、すぐに到着できますね!」

「いや……。少し寄り道をしていこう」

「え? どうしてですか?」

「いいから」

 カイルがペガサスに指示を出す。
 すると、進行方向が変わった。

「え!? こっちは街の方角じゃありませんよ?」

「いいんだよ。目的地はもう少し行ったところにある」

「……?」

 首を傾げるエミリアを他所に、ペガサスはどんどん進んでいくのだった。
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