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10話 ギゼルとリリサの良くない噂

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「ギゼルとリリサに良くない噂だと? 俺を追放した後、意気揚々と他の街に向かったと聞いたが」

「何でも、王都に拠点を移したらしいのですが、そこで揉め事を起こしたようで……」

「揉め事か」

「はい。どうやら、貴族相手に自分を売り込もうとしたみたいなんですが……。不敬を働いたとかで、騎士団に捕まったみたいです」

「……あいつらが? はっはっは。それは傑作だな」

「笑いごとではありませんよ。彼らは冒険者としてはCランクの一人前ですが、貴族を相手にするのは初めてでしょう。それで調子に乗ってしまったんでしょうね」

「なるほどな。まあ、今までは俺がそういった交渉事もやっていたからな。それを急に自分でやろうとしたんだ。失敗するのも仕方ない」

「カイルさんにも連絡が来るかもしれません。捕まっているので、直接は無理でも、手紙くらいは届くかもですし」

「ああ。その時は無視しよう。そんなことより、俺たちの今後について話そう」

「お二人の今後……ですか?」

「ああ。実はこの2週間ほどで、かなり稼げたんだ。そしてトレントが枯渇気味だし、そろそろ他の狩り場を探したいと思っていてな」

「なるほど。では、私の方で探しておきましょう」

「頼めるか?」

「ええ。冒険者のサポートをするのも、ギルド職員の仕事ですから。第一候補は、この街から徒歩で通える距離の狩り場。第二候補は、他の街に拠点を移す前提で、そこから通える距離の狩り場。これでよろしいですか?」

「概ねそれで構わないが、一つだけ修正してくれ。第二候補は、この街から馬で通える距離の狩り場だ。そして第三候補に、元の第二候補を加える形で」

「え? それは……。カイルさんって、馬を持たれていませんよね? それに、騎乗系のスキルや技術も……」

 関連スキルを持っていれば、馬を自在に操ることができる。
 持っていなくとも、練習次第では騎乗技術の会得が可能だ。
 このあたりは、剣術とか魔法と同じイメージである。
 スキルの補佐があれば一瞬で一人前以上になれるが、なくとも鍛錬次第で中級下位ぐらいにはなれる。

「たくさん稼いだし、馬ぐらいは買える。騎乗系の技術の会得にも、少々当てがあってな」

「そうですか。私としては、カイルさんがこの街に居着いてくださるのは嬉しいのですが」

「おう。ま、楽しみにしておいてくれ。うまくいったら、後ろに乗せてやってもいいぞ」

 『ハキ』スキルの能力は一貫性がないが、レベルが上がるごとに様々な能力を得ることができる。
 この街を拠点に、どんどん稼いで冒険者としても一流になっていきたいところだ。
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