72 / 90
第1章
72話 連樹封縛
しおりを挟む
ヘルルーガが暴れている。
彼女の氷魔法と格闘術の組み合わせに、教師陣は手を焼いている。
「くっ! ”氷結の戦士”ヘルルーガ……ノースウェリア出身の武闘家か!」
「しかも、氷魔法まで操っているぞ! 近接戦も遠距離戦も厄介だ!」
「うろたえるな! 氷魔法は、水魔法の亜種! 弱点は分かっているだろう!?」
「おうよ! 今度こそ、無力化してやるぜ!!」
ヘルルーガと戦いつつ、教師陣がそう叫ぶ。
この期に及んで”撃破”や”討伐”ではなく”無力化”と言うあたり、さすがは教師だ。
余が見込んだ通りの精神性の持ち主である。
「いくぞぉっ! 【緑の縛り手】!!」
「【樹縛】!!」
「【木々の牢獄】!」
教師たちが発動したのは、木魔法。
それも、いずれも拘束に特化した魔法だ。
氷に対して、木で攻める。
一見すると、効果がイマイチにも見える。
だが、これで良い。
先ほど教師の1人が言及していたように、氷魔法はあくまで水魔法の亜種だからな。
表層の物理現象を超え、魔術面における相性が良いのだ。
「甘いっ!」
ヘルルーガはそれらをすべて躱していく。
彼女は氷魔法使いであると同時に武闘家でもある。
いくら魔術的に相性が良くても、身体能力を活かして避けられては意味がない。
「甘いのはそっちだ!」
「大人を舐めるなよ、子どもが!」
「いくぞぉっ!!」
教師陣が魔力の波長を合わせる。
「「「【連樹封縛】!!」」」
ヘルルーガの周囲から無数の樹木が出現し、彼女を拘束した。
「なっ! なにぃっ!?」
「よしっ! まずは1人を無力化したぞ!!」
「傷つけないように拘束するのは、手がかかるぜ」
「だが、これで一段落だな!」
3人の教師は勝ち誇った笑みを浮かべる。
確かにヘルルーガは無力化されたようだ。
「くぅーっ!! こんなことでやられてたまるかぁーっ!!」
ヘルルーガが叫ぶ。
魔力を開放し、その身体から冷気があふれ出す。
「ぬおおおぉっ! あたいが全力を出せば、こんな拘束なんて……」
「無駄だ」
抵抗を続けるヘルルーガに対し、教師が動揺せずに言い放つ。
その言葉通り、ヘルルーガがいくら力を込めようとも拘束が解かれることはなかった。
いや、正確に言えば、力を込めようとする度に途中で脱力してしまっているのだ。
「な、なんだこれぇ!?」
「どうした? ”氷結の戦士”ヘルルーガ」
「ち、力が抜ける!? あたいの! あたいのパワーが吸われてるみたいだ!!」
「言ったはずだ。無駄だとな」
教師が落ち着いた様子でそう言う。
これが『連樹封縛』の効果だな。
単純に力押しで縛るのではなく、特殊な効力が込められた拘束魔法だ。
特に水系統の魔力に対する相性が良く、それを吸収してさらに拘束を強めてしまう性質がある。
さすがは教師。
このあたりをしっかり考えて、魔法を運用しているようだな。
これを解くには、ヘルルーガの力では無理だ。
もし解かれることがあるとすれば――
彼女の氷魔法と格闘術の組み合わせに、教師陣は手を焼いている。
「くっ! ”氷結の戦士”ヘルルーガ……ノースウェリア出身の武闘家か!」
「しかも、氷魔法まで操っているぞ! 近接戦も遠距離戦も厄介だ!」
「うろたえるな! 氷魔法は、水魔法の亜種! 弱点は分かっているだろう!?」
「おうよ! 今度こそ、無力化してやるぜ!!」
ヘルルーガと戦いつつ、教師陣がそう叫ぶ。
この期に及んで”撃破”や”討伐”ではなく”無力化”と言うあたり、さすがは教師だ。
余が見込んだ通りの精神性の持ち主である。
「いくぞぉっ! 【緑の縛り手】!!」
「【樹縛】!!」
「【木々の牢獄】!」
教師たちが発動したのは、木魔法。
それも、いずれも拘束に特化した魔法だ。
氷に対して、木で攻める。
一見すると、効果がイマイチにも見える。
だが、これで良い。
先ほど教師の1人が言及していたように、氷魔法はあくまで水魔法の亜種だからな。
表層の物理現象を超え、魔術面における相性が良いのだ。
「甘いっ!」
ヘルルーガはそれらをすべて躱していく。
彼女は氷魔法使いであると同時に武闘家でもある。
いくら魔術的に相性が良くても、身体能力を活かして避けられては意味がない。
「甘いのはそっちだ!」
「大人を舐めるなよ、子どもが!」
「いくぞぉっ!!」
教師陣が魔力の波長を合わせる。
「「「【連樹封縛】!!」」」
ヘルルーガの周囲から無数の樹木が出現し、彼女を拘束した。
「なっ! なにぃっ!?」
「よしっ! まずは1人を無力化したぞ!!」
「傷つけないように拘束するのは、手がかかるぜ」
「だが、これで一段落だな!」
3人の教師は勝ち誇った笑みを浮かべる。
確かにヘルルーガは無力化されたようだ。
「くぅーっ!! こんなことでやられてたまるかぁーっ!!」
ヘルルーガが叫ぶ。
魔力を開放し、その身体から冷気があふれ出す。
「ぬおおおぉっ! あたいが全力を出せば、こんな拘束なんて……」
「無駄だ」
抵抗を続けるヘルルーガに対し、教師が動揺せずに言い放つ。
その言葉通り、ヘルルーガがいくら力を込めようとも拘束が解かれることはなかった。
いや、正確に言えば、力を込めようとする度に途中で脱力してしまっているのだ。
「な、なんだこれぇ!?」
「どうした? ”氷結の戦士”ヘルルーガ」
「ち、力が抜ける!? あたいの! あたいのパワーが吸われてるみたいだ!!」
「言ったはずだ。無駄だとな」
教師が落ち着いた様子でそう言う。
これが『連樹封縛』の効果だな。
単純に力押しで縛るのではなく、特殊な効力が込められた拘束魔法だ。
特に水系統の魔力に対する相性が良く、それを吸収してさらに拘束を強めてしまう性質がある。
さすがは教師。
このあたりをしっかり考えて、魔法を運用しているようだな。
これを解くには、ヘルルーガの力では無理だ。
もし解かれることがあるとすれば――
0
お気に入りに追加
168
あなたにおすすめの小説
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる