上 下
58 / 90
第1章

58話 余はハーレム王を目指す!

しおりを挟む
 余とイリスは、竜形態で大空を飛び回りつつ、交わった。
 彼女と確かな愛を育んだと言えるだろう。
 時刻はもう夜である。

 余とイリスは、魔王城に戻る。
 上空で体長10メートルを超える竜の形態から普段の姿に戻り、降下していく。

「ふう。お前との交わりは有意義なものであったぞ。イリスよ」

「はい。ディノス陛下。お言葉ありがたく思います」

 余とイリスはそんなことを言いつつ、居間に降り立つ。
 長時間交わっていたので、心地よい疲労感がある。

「ふん。その様子だと、イリスさんとは無事に仲直りできたようね」

「心配したよ。長い間帰って来ないから……。連絡くらいしてよ」

 そう言って余たちを出迎えたのは、フレアとシンカだ。

「すまぬな。もう大丈夫だ。余とイリスの絆はより深まったゆえな。これでもかというくらいに……」

「はい。私も陛下のことを深く理解でき、満足しております。もう喧嘩などいたしませんとも。……そもそも、あれはわたしの一方的な嫉妬が原因だったのです。申し訳ありませんでした」

「構わぬ。愛しい妻からの可愛い嫉妬だ。むしろ嬉しく思う」

 余とイリスはそう言って、見つめ合う。
 竜化状態の彼女も魅力的であったが、魔族に変化している今の状態の彼女もまた別の魅力がある。
 近いうちに、この形態同士でもまぐわいたいものだな。

「……ふ、二人きりの世界を作ってるんじゃないわよ! 見せつけてくれるじゃないの!」

「僕たちのことを愛しているって言ったくせに……。ディノス君は浮気者だね」

 フレアとシンカがそう言う。
 ご機嫌斜めのようだ。

「慌てるでない。もちろん、フレアとシンカも同じく大切な存在だ。これからも変わらずにな」

「むぅ。ならいいけれどね」

「……うん。わかったよ」

 2人がむくれつつ、納得する。
 世間では一夫一妻が広く浸透していることは理解している。
 しかし、魔王である余はそのような世俗に縛られることはない。
 優秀な跡継ぎや将来の担う人材を生んでもらうためにも、妻は多ければ多いほどよいだろう。
 こればかりは、納得してもらう他ない。

「さて。今日はもう夕方か」

 昨晩、余はフレアやシンカと交わった。
 深夜に交わり終えたところ、リビングでイリスが自慰をしているのを発見した。
 飛び出した彼女を追いかけ、無事に見つけたのが朝方のことだ。
 それから、余と彼女は竜の姿で世界中を飛び回りながら交わった。
 そして、魔王城に帰還したのがつい先ほどである。

「ええ。今日は学園をサボっていまいましたね」

 イリスがそう言う。
 今日は平日だ。
 もちろん学校も通常通りあったのだが、余とイリスは登校しなかった。
 それどころではなかったのだ。

「不本意ではあったがな。余にとってはイリスの方が大事だ。仕方あるまい」

「はい。陛下の優しさには感謝しかありません」

 イリスが熱っぽい視線をこちらに向ける。
 余が竜としての彼女の姿を改めて受け入れた今、彼女から余に対する感情はこれまで以上に大きくなっているようである。

「あー、はいはい。それで? 今さらだけど、何でディノスが学園に通っているのよ」

「僕も不思議に思っていた。学園で学ぶことなんてないよね?」

 フレアとシンカがそう問う。

「うむ。魔法理論や座学で学ぶことはないな。しかし、学園生活そのものに興味があるのだ。余はリア充になる必要があった」

「リア充? 聞いたことがあるような、ないような言葉ね……」

 フレアが首を傾げる。
 確かに、それほど広くは認知されていない言葉だ。
 余も、とある書物で読みたまたま知っている。

「ええと……。リアルが充実しているって意味だよね? ディノス君は魔王なんだし、この上なくリアルは充実してると僕は思うけど」

 シンカがそう言うことには一理ある。
 しかし、リア充とは仕事や学業のことだけを指すのではない。

「ふっ。甘いな。シンカよ。真のリア充は女関係も最強なのだ! ゆえに、余はハーレム王を目指す! それが余の目指す道だ! クハハハハ!!!」

 余は高らかに宣言した。

「「「…………」」」

 イリス、フレア、シンカの3人がジト目でこちらを見てくる。
 ふむ?
 妙な反応だな。
 余はおかしなことを言っただろうか?
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...