50 / 94
50話 筆記テスト
しおりを挟む
Cランク昇格試験の筆記テストが始まろうとしている。
「これから皆さんに、試験問題を解いていただきます。制限時間は80分。時間が来たら、回答をやめてくださいね」
そう言いながら彼女は試験用紙を配布していく。
「準備はよろしいでしょうか」
全員に試験用紙が行き届いたのを見て、彼女がそう問うてくる。
「問題ないようですね……。では、始め!」
彼女がそう宣言すると、一斉にペンを走らせる音が響いてきた。
俺も紙に解答を書き込んでいく。
ゴブリンの魔物ランクは……。
ビッグ・ジョーの魔物ランクは……。
このあたりは知っている。
だが、結構知らない問題も多いな。
何しろ、俺がこの世界に来てからそれほどの月日は経っていない。
当然、冒険者として活動を始めてからの日も浅い。
猫耳装備の最強さに任せて暴れてきただけだ。
ええと……。
ゴブリンキングの魔物ランク?
魔法の基本5属性?
知らねえ~。
とりあえず全部適当に埋めていこう。
「そこまでです」
彼女が終了を宣言した。
「あー……。難しかったよー!」
「そう? 簡単だったと思うけど……」
「今回こそ、俺は昇格するぜ!」
あちこちからそんな声が上がる。
「わたくしはバッチリでしたわ。桜はどうでして?」
「拙者はそこそこでござるな。魔物に関しては答えられたが、魔法やこの国の常識については自信がないでござる」
エリスと蓮華が話し始める。
「まあ桜の場合は、筆記試験である程度取れれば、実技で挽回できるでしょう」
「うむ。そうしたいものでござる。……ところで、楓殿はどうだったでござるか?
「俺は……、まあまあってところか」
俺はそう言って、少し考える仕草をする。
「まあまあでござるか……。楓殿も、実技で挽回を狙う感じでござろうか?」
「ああ。そのつもりだ」
俺はそう答える。
「なるほど。では、その可愛らしい服を脱いで戦闘服に着替えるわけでござるな? 楓殿の他の服装が気になるでござる」
桜が俺の方を見ながら言ってくる。
「え? いや、俺はこれが戦闘服だぜ」
最強の猫耳装備だ。
これ以上の装備はなかなかないだろう。
「…………え?」
桜が戸惑ったような表情を浮かべる。
「カエデさん。何を言っているんですか?」
エリスが俺にそう問う。
「だから、この猫耳装備が俺の戦闘服なんだって。これでもいい装備なんだぜ?」
俺は桜とエリスに語り掛ける。
「……確かに。その服を着ているときのカエデ殿には、不思議な安心感があるでござる」
桜が納得したようにそう言う。
「そうですか? わたくしには分かりませんが……。まあ、実技試験が始まれば分かることです」
エリスはそう言うと、話を打ち切った。
彼女が前を向く。
ちょうど、女性職員が答案用紙を集め終えたようだ。
「次は、実技試験を行います。各自、30分後までに演習場に来てください。では、ひとまず解散とします」
彼女がそう言う。
そうして、俺たちは一旦部屋を出ていったのだった。
「これから皆さんに、試験問題を解いていただきます。制限時間は80分。時間が来たら、回答をやめてくださいね」
そう言いながら彼女は試験用紙を配布していく。
「準備はよろしいでしょうか」
全員に試験用紙が行き届いたのを見て、彼女がそう問うてくる。
「問題ないようですね……。では、始め!」
彼女がそう宣言すると、一斉にペンを走らせる音が響いてきた。
俺も紙に解答を書き込んでいく。
ゴブリンの魔物ランクは……。
ビッグ・ジョーの魔物ランクは……。
このあたりは知っている。
だが、結構知らない問題も多いな。
何しろ、俺がこの世界に来てからそれほどの月日は経っていない。
当然、冒険者として活動を始めてからの日も浅い。
猫耳装備の最強さに任せて暴れてきただけだ。
ええと……。
ゴブリンキングの魔物ランク?
魔法の基本5属性?
知らねえ~。
とりあえず全部適当に埋めていこう。
「そこまでです」
彼女が終了を宣言した。
「あー……。難しかったよー!」
「そう? 簡単だったと思うけど……」
「今回こそ、俺は昇格するぜ!」
あちこちからそんな声が上がる。
「わたくしはバッチリでしたわ。桜はどうでして?」
「拙者はそこそこでござるな。魔物に関しては答えられたが、魔法やこの国の常識については自信がないでござる」
エリスと蓮華が話し始める。
「まあ桜の場合は、筆記試験である程度取れれば、実技で挽回できるでしょう」
「うむ。そうしたいものでござる。……ところで、楓殿はどうだったでござるか?
「俺は……、まあまあってところか」
俺はそう言って、少し考える仕草をする。
「まあまあでござるか……。楓殿も、実技で挽回を狙う感じでござろうか?」
「ああ。そのつもりだ」
俺はそう答える。
「なるほど。では、その可愛らしい服を脱いで戦闘服に着替えるわけでござるな? 楓殿の他の服装が気になるでござる」
桜が俺の方を見ながら言ってくる。
「え? いや、俺はこれが戦闘服だぜ」
最強の猫耳装備だ。
これ以上の装備はなかなかないだろう。
「…………え?」
桜が戸惑ったような表情を浮かべる。
「カエデさん。何を言っているんですか?」
エリスが俺にそう問う。
「だから、この猫耳装備が俺の戦闘服なんだって。これでもいい装備なんだぜ?」
俺は桜とエリスに語り掛ける。
「……確かに。その服を着ているときのカエデ殿には、不思議な安心感があるでござる」
桜が納得したようにそう言う。
「そうですか? わたくしには分かりませんが……。まあ、実技試験が始まれば分かることです」
エリスはそう言うと、話を打ち切った。
彼女が前を向く。
ちょうど、女性職員が答案用紙を集め終えたようだ。
「次は、実技試験を行います。各自、30分後までに演習場に来てください。では、ひとまず解散とします」
彼女がそう言う。
そうして、俺たちは一旦部屋を出ていったのだった。
0
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。
黒ハット
ファンタジー
前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
異世界の約束:追放者の再興〜外れギフト【光】を授り侯爵家を追い出されたけど本当はチート持ちなので幸せに生きて見返してやります!〜
KeyBow
ファンタジー
主人公の井野口 孝志は交通事故により死亡し、異世界へ転生した。
そこは剣と魔法の王道的なファンタジー世界。
転生した先は侯爵家の子息。
妾の子として家督相続とは無縁のはずだったが、兄の全てが事故により死亡し嫡男に。
女神により魔王討伐を受ける者は記憶を持ったまま転生させる事が出来ると言われ、主人公はゲームで遊んだ世界に転生した。
ゲームと言ってもその世界を模したゲームで、手を打たなければこうなる【if】の世界だった。
理不尽な死を迎えるモブ以下のヒロインを救いたく、転生した先で14歳の時にギフトを得られる信託の儀の後に追放されるが、その時に備えストーリーを変えてしまう。
メイヤと言うゲームでは犯され、絶望から自殺した少女をそのルートから外す事を幼少期より決めていた。
しかしそう簡単な話ではない。
女神の意図とは違う生き様と、ゲームで救えなかった少女を救う。
2人で逃げて何処かで畑でも耕しながら生きようとしていたが、計画が狂い何故か闘技場でハッスルする未来が待ち受けているとは物語がスタートした時はまだ知らない・・・
多くの者と出会い、誤解されたり頼られたり、理不尽な目に遭ったりと、平穏な生活を求める主人公の思いとは裏腹に波乱万丈な未来が待ち受けている。
しかし、主人公補正からかメインストリートから逃げられない予感。
信託の儀の後に侯爵家から追放されるところから物語はスタートする。
いつしか追放した侯爵家にザマアをし、経済的にも見返し謝罪させる事を当面の目標とする事へと、物語の早々に変化していく。
孤児達と出会い自活と脱却を手伝ったりお人好しだ。
また、貴族ではあるが、多くの貴族が好んでするが自分は奴隷を性的に抱かないとのポリシーが行動に規制を掛ける。
果たして幸せを掴む事が出来るのか?魔王討伐から逃げられるのか?・・・
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
異世界召喚された俺は余分な子でした
KeyBow
ファンタジー
異世界召喚を行うも本来の人数よりも1人多かった。召喚時にエラーが発生し余分な1人とは召喚に巻き込まれたおっさんだ。そして何故か若返った!また、理由が分からぬまま冤罪で捕らえられ、余分な異分子として処刑の為に危険な場所への放逐を実行される。果たしてその流刑された所から生きて出られるか?己の身に起こったエラーに苦しむ事になる。
サブタイトル
〜異世界召喚されたおっさんにはエラーがあり処刑の為放逐された!しかし真の勇者だった〜
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる