14 / 94
14話 ドラゴンとの遭遇
しおりを挟む
冒険者ギルドにて、食料をアイテムボックスに詰めようとしているところだ。
「カエデちゃん。お願いね」
受付嬢がそう言う。
俺はまず、野菜や果物をアイテムボックスにどんどん入れていった。
「ふう。こんなもんかな。次は肉と穀物だな」
引き続き、俺はどんどん入れていく。
「これで最後だ」
無事に用意されていた全ての食料を入れ終えた。
アイテムボックスにはまだまだ空き容量がある。
「カエデちゃんのアイテムボックスは大きいとは思っていたけど……。まさか、全部入るなんて……」
受付嬢が目を丸くして驚いている。
「ふふん。すごいじゃろう?」
ユーリが得意げに胸を張る。
お前は何もしていないだろ……。
「え? 全部入れるつもりで用意したんじゃないのか?」
「違うわよ! ……限界まで入れてもらうつもりで、多めに用意したわ。これでも足りなかったみたいだけどね……」
受付嬢は苦笑している。
「なら、もっと入れておこうか?」
「ムリにとは言わないわ。入れ過ぎると、魔力を消費するのでしょう?」
「ああ。確かに、少し魔力を消費しているな。でも、まだまだ問題ないぞ」
「そうなの? カエデちゃんは規格外ね……。それならお言葉に甘えちゃおうかしら……」
受付嬢が遠慮がちに言う。
「よしきた!」
そして、さらに追加で食材を入れていった。
「助かったわ。ありがとう」
「いや、気にしないでくれ。依頼のためだしな」
「それでもよ。報酬は上乗せしておくから、帰ってきたら受け取ってちょうだい」
「ああ。そうさせてもらおう」
「それじゃあ、気をつけて行ってきてね」
「ああ。行ってくる」
俺たちは冒険者ギルドを後にし、出発の準備を整えた。
そして、俺たちは港町へと向かい始めた。
……………………。
町を出て、数日が経過した。
「おお……。港町に向かうには、この谷を超える必要があるのか……」
目の前に広がる光景を見て、思わず声を上げてしまう。
かなりの高さを持つ崖があり、その下は川が流れている。
川幅は広く、流れはかなり急だ。
落ちれば、命はないかもしれない。
「これは迂回するのは大変じゃな」
ユーリも同じことを考えていたようだ。
「そうだな。どうするか……」
「我に任せるがよい」
ユーリは俺の前に立つと、両手を広げて呪文を唱え始めた。
「【空中浮遊】」
すると、俺たちの体が宙に浮かび始める。
「おぉ!?」
俺は驚きの声を上げる。
ユーリの魔法により、俺たち二人は空を飛んで移動していた。
「ほれ、見てみるのじゃ」
ユーリが指差す先に視線を向ける。
谷底だ。
かなり深く、底が見えない。
俺が内心でビビっていた、そのとき。
「ゴアアアアァッ!!!」
突然、大きな雄叫びが鳴り響いた。
同時に、巨大な影が現れる。
俺は上空に視線を向ける。
「あれは……ドラゴンか!?」
俺は目を見開く。
「そのようじゃな……」
ユーリも呆然とつぶやく。
俺たちから離れた上空に、巨大な黒い鱗に覆われた体と翼を持った生物がいた。
「ゴアアッ!! グオオオォッ!!!」
ドラゴンは大きな雄叫びを上げながら、飛び去っていった。
こちらの存在は歯牙にもかけていないようだ。
「なんだったんだ?」
「おそらく、この辺りの魔物の親玉じゃな。普段は山の中にいるはずなのじゃが……」
「そうなのか……」
「うむ。それにしても、あの巨体が浮くとは……。ドラゴンの魔力は規格外じゃの」
「魔力?」
「ああ、カエデは異世界人であったな……。あの巨体が翼のみで浮くはずがあるまい? 人族でいうところの風魔法の亜種を発動させておるのじゃ」
「なるほど。つまり、魔力を使って飛んでいるわけだな」
「そういうことじゃ。まぁ、魔法だけで言えば、我も負けるつもりはないがの」
「へぇー。なら、あの森のゴブリンも自分で討伐できたんじゃないのか?」
「そうもいかぬ。我が全力で魔法を放てば、森が焼け野原となってしまうからの」
「ふうん。なら、肉弾戦は?」
「我はカエデやドラゴンと違って、身体は脆弱じゃからの。肉弾戦はムリじゃな」
「そっか」
ユーリが全力を出せば強力な魔法を使えるが、手加減は苦手なようだ。
魔物との戦いは、今後も俺が中心に行っていかないとな。
「しかし、ドラゴンがなぜこんなところにおったのじゃろうか……」
「ユーリがわからないのなら、俺がわかるはずもない。とりあえず、港町に向かおう」
「そうじゃな」
こうして、俺たちは谷を飛び超えた。
さすがにずっと飛べるほどの魔力はユーリにないようで、その後は引き続き歩いて進んでいった。
「カエデちゃん。お願いね」
受付嬢がそう言う。
俺はまず、野菜や果物をアイテムボックスにどんどん入れていった。
「ふう。こんなもんかな。次は肉と穀物だな」
引き続き、俺はどんどん入れていく。
「これで最後だ」
無事に用意されていた全ての食料を入れ終えた。
アイテムボックスにはまだまだ空き容量がある。
「カエデちゃんのアイテムボックスは大きいとは思っていたけど……。まさか、全部入るなんて……」
受付嬢が目を丸くして驚いている。
「ふふん。すごいじゃろう?」
ユーリが得意げに胸を張る。
お前は何もしていないだろ……。
「え? 全部入れるつもりで用意したんじゃないのか?」
「違うわよ! ……限界まで入れてもらうつもりで、多めに用意したわ。これでも足りなかったみたいだけどね……」
受付嬢は苦笑している。
「なら、もっと入れておこうか?」
「ムリにとは言わないわ。入れ過ぎると、魔力を消費するのでしょう?」
「ああ。確かに、少し魔力を消費しているな。でも、まだまだ問題ないぞ」
「そうなの? カエデちゃんは規格外ね……。それならお言葉に甘えちゃおうかしら……」
受付嬢が遠慮がちに言う。
「よしきた!」
そして、さらに追加で食材を入れていった。
「助かったわ。ありがとう」
「いや、気にしないでくれ。依頼のためだしな」
「それでもよ。報酬は上乗せしておくから、帰ってきたら受け取ってちょうだい」
「ああ。そうさせてもらおう」
「それじゃあ、気をつけて行ってきてね」
「ああ。行ってくる」
俺たちは冒険者ギルドを後にし、出発の準備を整えた。
そして、俺たちは港町へと向かい始めた。
……………………。
町を出て、数日が経過した。
「おお……。港町に向かうには、この谷を超える必要があるのか……」
目の前に広がる光景を見て、思わず声を上げてしまう。
かなりの高さを持つ崖があり、その下は川が流れている。
川幅は広く、流れはかなり急だ。
落ちれば、命はないかもしれない。
「これは迂回するのは大変じゃな」
ユーリも同じことを考えていたようだ。
「そうだな。どうするか……」
「我に任せるがよい」
ユーリは俺の前に立つと、両手を広げて呪文を唱え始めた。
「【空中浮遊】」
すると、俺たちの体が宙に浮かび始める。
「おぉ!?」
俺は驚きの声を上げる。
ユーリの魔法により、俺たち二人は空を飛んで移動していた。
「ほれ、見てみるのじゃ」
ユーリが指差す先に視線を向ける。
谷底だ。
かなり深く、底が見えない。
俺が内心でビビっていた、そのとき。
「ゴアアアアァッ!!!」
突然、大きな雄叫びが鳴り響いた。
同時に、巨大な影が現れる。
俺は上空に視線を向ける。
「あれは……ドラゴンか!?」
俺は目を見開く。
「そのようじゃな……」
ユーリも呆然とつぶやく。
俺たちから離れた上空に、巨大な黒い鱗に覆われた体と翼を持った生物がいた。
「ゴアアッ!! グオオオォッ!!!」
ドラゴンは大きな雄叫びを上げながら、飛び去っていった。
こちらの存在は歯牙にもかけていないようだ。
「なんだったんだ?」
「おそらく、この辺りの魔物の親玉じゃな。普段は山の中にいるはずなのじゃが……」
「そうなのか……」
「うむ。それにしても、あの巨体が浮くとは……。ドラゴンの魔力は規格外じゃの」
「魔力?」
「ああ、カエデは異世界人であったな……。あの巨体が翼のみで浮くはずがあるまい? 人族でいうところの風魔法の亜種を発動させておるのじゃ」
「なるほど。つまり、魔力を使って飛んでいるわけだな」
「そういうことじゃ。まぁ、魔法だけで言えば、我も負けるつもりはないがの」
「へぇー。なら、あの森のゴブリンも自分で討伐できたんじゃないのか?」
「そうもいかぬ。我が全力で魔法を放てば、森が焼け野原となってしまうからの」
「ふうん。なら、肉弾戦は?」
「我はカエデやドラゴンと違って、身体は脆弱じゃからの。肉弾戦はムリじゃな」
「そっか」
ユーリが全力を出せば強力な魔法を使えるが、手加減は苦手なようだ。
魔物との戦いは、今後も俺が中心に行っていかないとな。
「しかし、ドラゴンがなぜこんなところにおったのじゃろうか……」
「ユーリがわからないのなら、俺がわかるはずもない。とりあえず、港町に向かおう」
「そうじゃな」
こうして、俺たちは谷を飛び超えた。
さすがにずっと飛べるほどの魔力はユーリにないようで、その後は引き続き歩いて進んでいった。
0
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
物理系魔法少女は今日も魔物をステッキでぶん殴る〜会社をクビになった俺、初配信をうっかりライブにしてしまい、有名になったんだが?〜
ネリムZ
ファンタジー
この世界にはいくつものダンジョンが存在する。それは国ごとの資源物資でもあり、災害を引き起こすモノでもあった。
魔物が外に出ないように倒し、素材を持ち帰る職業を探索者と呼ぶ。
探索者にはありきたりなスキル、レベルと言った概念が存在する。
神宮寺星夜は月月火水木金金の勤務をしていた。
働けているなら問題ない、そんな思考になっていたのだが、突然のクビを受けてしまう。
貯金はあるがいずれ尽きる、生きる気力も失われていた星夜は探索者で稼ぐ事に決めた。
受付で名前を登録する時、なぜか自分で入力するはずの名前の欄に既に名前が入力されていた?!
実はその受付穣が⋯⋯。
不思議で懐かしな縁に気づかない星夜はダンジョンへと入り、すぐに異変に気づいた。
声が女の子のようになっていて、手足が細く綺麗であった。
ステータスカードを見て、スキルを確認するとなんと──
魔法少女となれる星夜は配信を初め、慣れない手つきで録画を開始した。
魔物を倒す姿が滑稽で、視聴者にウケて初配信なのにバズってしまう!
だが、本人は録画だと思っているため、それに気づくのは少し先の話である。
これは魔法少女の力を中途半端に手に入れたおっさんがゆったりと殴り、恋したり、嘆いたり、やっぱりゆぅたりする話だ。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
性奴隷を飼ったのに
お小遣い月3万
ファンタジー
10年前に俺は日本から異世界に転移して来た。
異世界に転移して来たばかりの頃、辿り着いた冒険者ギルドで勇者認定されて、魔王を討伐したら家族の元に帰れるのかな、っと思って必死になって魔王を討伐したけど、日本には帰れなかった。
異世界に来てから10年の月日が流れてしまった。俺は魔王討伐の報酬として特別公爵になっていた。ちなみに領地も貰っている。
自分の領地では奴隷は禁止していた。
奴隷を売買している商人がいるというタレコミがあって、俺は出向いた。
そして1人の奴隷少女と出会った。
彼女は、お風呂にも入れられていなくて、道路に落ちている軍手のように汚かった。
彼女は幼いエルフだった。
それに魔力が使えないように処理されていた。
そんな彼女を故郷に帰すためにエルフの村へ連れて行った。
でもエルフの村は魔力が使えない少女を引き取ってくれなかった。それどころか魔力が無いエルフは処分する掟になっているらしい。
俺の所有物であるなら彼女は処分しない、と村長が言うから俺はエルフの女の子を飼うことになった。
孤児になった魔力も無いエルフの女の子。年齢は14歳。
エルフの女の子を見捨てるなんて出来なかった。だから、この世界で彼女が生きていけるように育成することに決めた。
※エルフの少女以外にもヒロインは登場する予定でございます。
※帰る場所を無くした女の子が、美しくて強い女性に成長する物語です。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる