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第1章

234話 バリオス王との対面

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「よう、父上。久しぶりだな」

 ブリケード王国宮殿の、玉座の間。
 俺はそこで、バリオス王と対面していた。

「このっ……! 余を父と呼ぶな!! この悪魔め!!!」

「おいおい。ひどいなぁ、父上。追放した息子との再会だというのに、悪魔扱いか」

 俺は肩を竦める。
 バリオス王は、額に青筋を浮かべて怒鳴った。

「黙れっ! 追放された恨みを晴らすだけなら、まだ情状酌量の余地があった。だが、貴様はそれ以上の罪を犯した!!」

「ほう? 俺が一体何の罪を犯したというんだ?」

「決まっておる! ブリケード王国軍を虐殺するだけにとどまらず、無辜の民にまで手を出し、その魂を吸収しおったではないか!!」

「ふふふ。俺はただ、『紅血の水晶石』の素材が欲しかっただけさ。血でも良かったが、最後の仕上げに苦戦してしまってな。魂そのものを吸収させた方が効率が良いと思ったのだよ」

 俺はそう言って笑う。
 ルーシーを生き返らせるためなら、名も知らぬ兵士や国民がどうなろうと知ったことではない。
 俺にとっては、ルーシーの方が大切だ。

 聖竜帝国(ホーリードラゴン・エンパイア)とブリケード王国の戦争で、俺は竜化して好き放題に暴れ回らせてもらった。
 ブリケード王国は既に半壊状態だ。
 国王のピンチだというのに、周囲に彼を守る騎士がいないことからもそれは明らかである。
 バリオス王は、凄まじい形相で俺を睨んだ。
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