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第1章
89話 過去の振り返り
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冒険者ギルドでパーティ登録をした直後、俺はリリアの”封印”スキルにより一瞬意識を失った。
そして、リリアからスキルによる人格への影響について耳打ちされた。
受付嬢と今後の話をしつつ、俺は心の中で自分の過去を振り返る。
(まさか、ルーシーの存在まで忘れてしまっていたとは……)
S級スキルともなれば、相当に強い影響力があるらしい。
自覚がないというところが特に厄介だ。
(いったいいつから……。覚醒直後か?)
S級スキル竜化が覚醒した直後に、俺は弟のガルドを惨殺した。
腐っても兄弟。
昔の俺ならば、いくら怒り狂っていたとしても、躊躇していたかもしれない。
だがルーシーに対してあれほどの仕打ちをされてしまっては、スキルからの人格への影響がなかったとしても殺していた可能性が高い。
(となると、竜王国で特訓を終えた頃か……?)
リリアの指導の元、彼女が王として君臨する竜王国で修行を行った。
その最中は、振り返ってみても人格への影響はほとんどなかったように思う。
周囲が竜ばかりであり、竜王リリアほどではないが強者揃いだったこともあるだろう。
俺が増長する余地はなかった。
(”雪原の霊峰”に降り立った後、俺は高ランクの魔物をあっさりと返り討ちにしまくった。そして、山村で歓迎されたのだったな)
ギガント・ボアの肉を提供し、宴が開かれた。
そして年頃の少女の体までおいしく味あわせてもらった。
”竜の加護”を与えるという名分はあったものの、以前の俺ならば躊躇していただろう。
この頃から、人格への影響の片鱗はあったのだ。
ただ、この時点では”女へ手を出すのが早くなった”というだけであり、まだまだ可愛いものだった。
(ここストレアの町で冒険者登録をした際には、先輩冒険者に絡まれたのだったな。ちょうど今いるカウンターと同じだった)
あのときは、拳を軽く振るったりデコピンをしたりして、適当にあしらってやった。
昔の俺なら、言葉を用いて穏便に済まそうと努力したことだろう。
その点で、やはり性格が暴力的で荒っぽくなりつつあったことは間違いない。
まぁ、惨殺したり全裸土下座を強要したりしない分、まだマシだったが。
(その後は冒険者ギルド職員のアイシャ、村人ミルカ、冒険者キーネあたりを好き放題に嬲ってきたわけだが……)
俺の実力を値踏みしていたアイシャを威圧し、お漏らしを誘発した。
盗賊の討伐方針にイチャモンを付けてきたミルカに、バンジージャンプと全裸土下座を強要した。
冒険者としての仕事に失敗していたキーネを、強制的に俺のペット兼奴隷にした。
いずれも、以前の俺ならやらなかったことだ。
日を追うごとに暴力性や残虐性が増している。
このままだと、いずれ町をまるごと焼き払ったりしていたかもしれない。
(危ないところだったな。ただ、さほど罪悪感を感じていないのはどういうことだ?)
昔の俺ならばやらなかったことを実行したことに対して、違和感は覚えている。
また、ルーシーの蘇生という目的を忘れていたことも衝撃的だ。
しかしそれはそれとして、罪の意識にさいなまれるということもない。
(S級スキル竜化から人格への影響は、完全には取り払えないようだ)
まぁ、それならばそれで、やりようはある。
ルーシーを生き返らせるために必要な”エリクサー”の材料は、必ずしも真っ当な手段で手に入るものではないしな。
内に秘めた暴力性や残虐性を適度に活かしていこう。
まずは、シルバータイガーから入手できる”白銀の大牙”だ。
こうして自分の過去を振り返っている間にも、並列して受付嬢から情報収集は行っている。
”白銀の大牙”の入手に向けて、動き出すことにしよう。
そして、リリアからスキルによる人格への影響について耳打ちされた。
受付嬢と今後の話をしつつ、俺は心の中で自分の過去を振り返る。
(まさか、ルーシーの存在まで忘れてしまっていたとは……)
S級スキルともなれば、相当に強い影響力があるらしい。
自覚がないというところが特に厄介だ。
(いったいいつから……。覚醒直後か?)
S級スキル竜化が覚醒した直後に、俺は弟のガルドを惨殺した。
腐っても兄弟。
昔の俺ならば、いくら怒り狂っていたとしても、躊躇していたかもしれない。
だがルーシーに対してあれほどの仕打ちをされてしまっては、スキルからの人格への影響がなかったとしても殺していた可能性が高い。
(となると、竜王国で特訓を終えた頃か……?)
リリアの指導の元、彼女が王として君臨する竜王国で修行を行った。
その最中は、振り返ってみても人格への影響はほとんどなかったように思う。
周囲が竜ばかりであり、竜王リリアほどではないが強者揃いだったこともあるだろう。
俺が増長する余地はなかった。
(”雪原の霊峰”に降り立った後、俺は高ランクの魔物をあっさりと返り討ちにしまくった。そして、山村で歓迎されたのだったな)
ギガント・ボアの肉を提供し、宴が開かれた。
そして年頃の少女の体までおいしく味あわせてもらった。
”竜の加護”を与えるという名分はあったものの、以前の俺ならば躊躇していただろう。
この頃から、人格への影響の片鱗はあったのだ。
ただ、この時点では”女へ手を出すのが早くなった”というだけであり、まだまだ可愛いものだった。
(ここストレアの町で冒険者登録をした際には、先輩冒険者に絡まれたのだったな。ちょうど今いるカウンターと同じだった)
あのときは、拳を軽く振るったりデコピンをしたりして、適当にあしらってやった。
昔の俺なら、言葉を用いて穏便に済まそうと努力したことだろう。
その点で、やはり性格が暴力的で荒っぽくなりつつあったことは間違いない。
まぁ、惨殺したり全裸土下座を強要したりしない分、まだマシだったが。
(その後は冒険者ギルド職員のアイシャ、村人ミルカ、冒険者キーネあたりを好き放題に嬲ってきたわけだが……)
俺の実力を値踏みしていたアイシャを威圧し、お漏らしを誘発した。
盗賊の討伐方針にイチャモンを付けてきたミルカに、バンジージャンプと全裸土下座を強要した。
冒険者としての仕事に失敗していたキーネを、強制的に俺のペット兼奴隷にした。
いずれも、以前の俺ならやらなかったことだ。
日を追うごとに暴力性や残虐性が増している。
このままだと、いずれ町をまるごと焼き払ったりしていたかもしれない。
(危ないところだったな。ただ、さほど罪悪感を感じていないのはどういうことだ?)
昔の俺ならばやらなかったことを実行したことに対して、違和感は覚えている。
また、ルーシーの蘇生という目的を忘れていたことも衝撃的だ。
しかしそれはそれとして、罪の意識にさいなまれるということもない。
(S級スキル竜化から人格への影響は、完全には取り払えないようだ)
まぁ、それならばそれで、やりようはある。
ルーシーを生き返らせるために必要な”エリクサー”の材料は、必ずしも真っ当な手段で手に入るものではないしな。
内に秘めた暴力性や残虐性を適度に活かしていこう。
まずは、シルバータイガーから入手できる”白銀の大牙”だ。
こうして自分の過去を振り返っている間にも、並列して受付嬢から情報収集は行っている。
”白銀の大牙”の入手に向けて、動き出すことにしよう。
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