S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い

猪木洋平@【コミカライズ連載中】

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第1章

23話 ゴブリンの群れを一蹴

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 男女がゴブリンに追われている。
 俺は彼らの代わりにゴブリンと戦ってやることにした。

「揺蕩う炎の精霊よ。契約によりて我が指示に従え。火の弾丸を生み出し、我が眼前の敵を滅せよ。ファイアーバレット!」

 俺は中級の火魔法を発動させる。
 もっと上級の火魔法も使えるし、格闘や剣で倒すこともできる。
 だが、ゴブリン程度であれば中級の火魔法が最適だろう。

 上級の火魔法は森林火災が心配だ。
 ならば格闘や剣で戦うのも候補に挙がるが、その場合はゴブリンの汚れが体や剣に付着する。
 ゴブリンという汚物は燃やして消毒するに限るぜ。

「「ぎゃおおぉっ!」」

 ゴブリンたちが焼け死んでいく。
 火力もほどほどに抑えておいた。
 瞬時に灰になるほどではない。
 討伐証明部位の回収も可能だろう。

「す、すげえ……!」

「ゴブリンたちを一撃で……。あの年齢で中級の火魔法を使えるなんて……!」

 途中まで逃げていた男女が振り向き、そう言う。
 自分たちは逃げながらも、戦いの行末を気にしていたのだろう。

「ふん。この程度、造作もない」

 俺はそう言う。
 S級スキル『竜化』を持つ俺にとっては、赤子の手をひねるようなものだ。

 これで、脅威は去った。
 しかし、男女の顔はまだ晴れない。
 今にも、再び逃げ出しそうだ。

「だ、だがよう。あいつらのボスが来たら、さすがに……」

「そうね。君も、今の魔法で魔力が尽きたでしょう? いっしょに逃げるわよ!」

 男女がそう言う。
 普通の魔法使いであれば、そもそもあの威力の火魔法を使えない。
 多少優秀で使える者がいたとしても、1発で魔力が空になるぐらいの威力だ。
 通常の感覚であれば、この者の言っていることは一理ある。
 しかしもちろん、俺の魔力は尽きてなどいない。

「ふむ。ゴブリンの群れは壊滅させたが、まだ後続がいるようだな」

 俺はそう言う。
 先ほどの一団の後方から、援軍がやってきている。
 そしてーー。

 ドシン、ドシン!
 大きな足音が聞こえる。

「ごあああぁっ!」

 一際大きなゴブリンが、叫び声を上げる。

「み、見ろ! あいつはゴブリンキングだ!」

「ゴブリンキングはB級の魔物……。私たちDランク冒険者では厳しい相手だわ……」

 男女がそう言う。
 こいつらはDランク冒険者だったか。
 冒険者ギルドで俺が一蹴したチンピラたちより、さらに下のランクである。
 ゴブリンキングはもちろん、通常のゴブリンの群れですら厳しいのも頷けるな。

「ふん。何かと思えば、ゴブリンキングか」

 俺はS級スキルを持つ。
 『雪原の霊峰』では、A級のギガント・ボアを始め、多数の高ランクの魔物を撃破した。
 今さらB級の魔物ごときに臆する俺ではない。
 ささっと蹴散らしてやることにしよう。
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