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46.趣味なんです
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「さて、特に覚えて頂きたい護身術は全て教えられましたし…本日の護身術の練習は、此れで終わりにしましょう。遙様、お疲れ様でした」アルカナが深く一礼する。其れに釣られて俺もお辞儀をした。
「お忙しい中、ご指導頂き有難う御座いました。アルカナさんやカレンさんが丁寧に教えて下さったので、俺でも覚える事が出来ました」アルカナとカレンを見ると、二人は優しく微笑んでいた。
「お疲れ様でした遙様。お昼迄未だ後1時間も有りますから、お部屋に戻りましょうか」カレンが俺に声を掛ける。俺は彼の言葉に頷いた。
アルカナと別れ、カレンと共に私室へと戻ってきた。何か今になって、どっと疲れが……
すると突然、カレンから腕を掴まれた。如何したんだろう。
「…?カレンさん?如何かなさいましたか?」腕を掴まれた侭問い掛けると、彼はくすりと笑った。
「ふふ、どうぞ護身術を試してみてください」そういう事か、其れでいきなり腕を掴んできたのか。
先程習った様に護身術を実践し、彼の腕から解放される事に成功した。此れ位なら俺でも簡単に出来る。
「練習させて頂き有難う御座います。急に掴まれたので、何か有ったのかと思ってしまいました」俺が肩を竦めながら述べると、彼はくすくすと笑った。
「ふふ、其れ程私に対して警戒心が無いという事ですね」確かに彼の言う通りだ。だって俺のお世話係だし、信頼もしてるし、警戒する必要が無い。
「其れはそうですね。カレンさんの事は信頼してますし、カレンさんに警戒する必要なんて無いですから」そう伝えると、彼は嬉しそうに笑みを溢した。
「貴方様は本当に……本当に真っ直ぐなお方ですね」優しい表情で彼が俺を見つめる。何だろう、凄く今の表情好き。
「其れにカレンさんと居ると落ち着くっていうか…安心するんです。だから警戒は全くして無いです」そう言うと、彼はより一層笑みを深めた。そんなに嬉しい言葉だったかな。
「遙様は私が喜ぶ言葉ばかりくださいますね。此れでは私は益々貴方に……」俺に、何だろう?俺が首を傾げると、彼はふるりと首を横に振った。
「申し訳御座いません、何でも有りません。…ところで遙様、本日の昼食は如何致しましょうか。王様は外交で外へ行かれていますし、フレイア様はお昼は食堂で召し上がる日も有れば、召し上がらない日も御座いますので…此方のお部屋にお食事を運ぶ事も可能で御座います」…話変えられた?まぁ良いか。
お昼如何しようかな。あの広い食堂で自分だけぽつんと食べるのは、寂しいよな。
俺はずっと気になっていた事を、彼に聞いてみる事にした。
「そうですね…食堂で1人ぽつんと食べるのは、寂しい気もしますね。ずっと聞きたかったんですけど、此の部屋のあのキッチン…厨房?調理場?は使用しても構いませんか?」そう、此の部屋には、一角にキッチンが有るのだ。食器や調理器具も有るし、料理が出来るのでは?と思っていた。
「勿論で御座います。此の部屋は遙様に与えられたお部屋ですので、どうぞご自由にお過ごしください。しかし…遙様は料理がお得意なのですか?」そっか、使って良いなら今日のお昼は自分で料理してみようかな。
「良かった…食材は頂戴する事は可能ですか…?可能であれば、今日のお昼は自分で作ろうかと思いまして。昔から料理をするのが趣味なんです」冷蔵庫とかは流石に無さそうだし、必要な食材を必要な分だけ用意する必要が有りそう。
「厨房の食材は全てご自由にお使いください。しかし遙様がお料理を…素晴らしい趣味をお持ちですね。では早速食材を貰いに厨房へ行きましょうか」良かった、食材は確保出来そう。
カレンに連れられ、厨房へとやって来た。流石お城の厨房、広いし食材も調理器具も豊富。お皿の量も凄いな…
厨房にはオーブンも有る。オーブンと言っても、窯みたいな感じだけど。此れが有れば、お菓子も作れるかも。
そろそろ白米を食べたいと思ってたけど、流石に米は無いよな…和食が恋しい。
うーん…今日は天気も良いから、外で食べるのも良いよな。よし、此の料理なら此の世界の材料でも作れそう。
使う材料を必要分貰い、私室へと戻って来た。久々に料理するな、わくわくする。
「此の食材で一体何を作るんですか?」カレンが材料を見ながら訊ねてきた。俺が作ろうとしているのは、サンドイッチである。
「此の世界での名前を知らないんですけど、サンドイッチという料理です。食材をパン…じゃなくて、パネ?で挟んだ料理です」俺が説明すると、カレンは大きく頷いた。どうやら伝わったみたい。
「さんどいっち、と言うのですね。此方ではパニーニと呼んでいます」パニーニ?何かパン屋さんで偶に見かけるよな。あれって何処の国の言葉なんだろう。
そういえば前に、"ダンディライオン"って言葉も使ってたよな。あれも外国の言葉だよね。でも"スタイリスト"は伝わらなかったしな…
うーん、言葉の法則性がイマイチ掴めない。スパゲティは通じないけど、パスタは通じたし、確かパンの事は、パネって言ってたかな。
色んな言葉が混在してる感じ。よく分からない世界。
「お忙しい中、ご指導頂き有難う御座いました。アルカナさんやカレンさんが丁寧に教えて下さったので、俺でも覚える事が出来ました」アルカナとカレンを見ると、二人は優しく微笑んでいた。
「お疲れ様でした遙様。お昼迄未だ後1時間も有りますから、お部屋に戻りましょうか」カレンが俺に声を掛ける。俺は彼の言葉に頷いた。
アルカナと別れ、カレンと共に私室へと戻ってきた。何か今になって、どっと疲れが……
すると突然、カレンから腕を掴まれた。如何したんだろう。
「…?カレンさん?如何かなさいましたか?」腕を掴まれた侭問い掛けると、彼はくすりと笑った。
「ふふ、どうぞ護身術を試してみてください」そういう事か、其れでいきなり腕を掴んできたのか。
先程習った様に護身術を実践し、彼の腕から解放される事に成功した。此れ位なら俺でも簡単に出来る。
「練習させて頂き有難う御座います。急に掴まれたので、何か有ったのかと思ってしまいました」俺が肩を竦めながら述べると、彼はくすくすと笑った。
「ふふ、其れ程私に対して警戒心が無いという事ですね」確かに彼の言う通りだ。だって俺のお世話係だし、信頼もしてるし、警戒する必要が無い。
「其れはそうですね。カレンさんの事は信頼してますし、カレンさんに警戒する必要なんて無いですから」そう伝えると、彼は嬉しそうに笑みを溢した。
「貴方様は本当に……本当に真っ直ぐなお方ですね」優しい表情で彼が俺を見つめる。何だろう、凄く今の表情好き。
「其れにカレンさんと居ると落ち着くっていうか…安心するんです。だから警戒は全くして無いです」そう言うと、彼はより一層笑みを深めた。そんなに嬉しい言葉だったかな。
「遙様は私が喜ぶ言葉ばかりくださいますね。此れでは私は益々貴方に……」俺に、何だろう?俺が首を傾げると、彼はふるりと首を横に振った。
「申し訳御座いません、何でも有りません。…ところで遙様、本日の昼食は如何致しましょうか。王様は外交で外へ行かれていますし、フレイア様はお昼は食堂で召し上がる日も有れば、召し上がらない日も御座いますので…此方のお部屋にお食事を運ぶ事も可能で御座います」…話変えられた?まぁ良いか。
お昼如何しようかな。あの広い食堂で自分だけぽつんと食べるのは、寂しいよな。
俺はずっと気になっていた事を、彼に聞いてみる事にした。
「そうですね…食堂で1人ぽつんと食べるのは、寂しい気もしますね。ずっと聞きたかったんですけど、此の部屋のあのキッチン…厨房?調理場?は使用しても構いませんか?」そう、此の部屋には、一角にキッチンが有るのだ。食器や調理器具も有るし、料理が出来るのでは?と思っていた。
「勿論で御座います。此の部屋は遙様に与えられたお部屋ですので、どうぞご自由にお過ごしください。しかし…遙様は料理がお得意なのですか?」そっか、使って良いなら今日のお昼は自分で料理してみようかな。
「良かった…食材は頂戴する事は可能ですか…?可能であれば、今日のお昼は自分で作ろうかと思いまして。昔から料理をするのが趣味なんです」冷蔵庫とかは流石に無さそうだし、必要な食材を必要な分だけ用意する必要が有りそう。
「厨房の食材は全てご自由にお使いください。しかし遙様がお料理を…素晴らしい趣味をお持ちですね。では早速食材を貰いに厨房へ行きましょうか」良かった、食材は確保出来そう。
カレンに連れられ、厨房へとやって来た。流石お城の厨房、広いし食材も調理器具も豊富。お皿の量も凄いな…
厨房にはオーブンも有る。オーブンと言っても、窯みたいな感じだけど。此れが有れば、お菓子も作れるかも。
そろそろ白米を食べたいと思ってたけど、流石に米は無いよな…和食が恋しい。
うーん…今日は天気も良いから、外で食べるのも良いよな。よし、此の料理なら此の世界の材料でも作れそう。
使う材料を必要分貰い、私室へと戻って来た。久々に料理するな、わくわくする。
「此の食材で一体何を作るんですか?」カレンが材料を見ながら訊ねてきた。俺が作ろうとしているのは、サンドイッチである。
「此の世界での名前を知らないんですけど、サンドイッチという料理です。食材をパン…じゃなくて、パネ?で挟んだ料理です」俺が説明すると、カレンは大きく頷いた。どうやら伝わったみたい。
「さんどいっち、と言うのですね。此方ではパニーニと呼んでいます」パニーニ?何かパン屋さんで偶に見かけるよな。あれって何処の国の言葉なんだろう。
そういえば前に、"ダンディライオン"って言葉も使ってたよな。あれも外国の言葉だよね。でも"スタイリスト"は伝わらなかったしな…
うーん、言葉の法則性がイマイチ掴めない。スパゲティは通じないけど、パスタは通じたし、確かパンの事は、パネって言ってたかな。
色んな言葉が混在してる感じ。よく分からない世界。
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