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33.仰る通りだと思います
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「俺、誰にも言うつもりはありませんでした。迷惑とか心配とか、掛けたく無かったから…カレンさんは、俺とシャインさんが二人きりになって、しかも中から施錠されてしまったという事実を知っていましたし、カレンさんには嘘吐いても通用しないって思ったので教えたんです。カレンさんだから言えて王様だから言えなかった、という訳ではありません」俺が説明すると、王は小さく頷いた。納得してくれたのかな。
「其方の其の相手を思う気持ちは素晴らしいが、此れからは言って欲しい。事が大きくなってからの方が大変であろう?」確かに彼の言う通りだ。大変な事になる前に対処しなければ、きっともっと迷惑掛けてしまう事に繋がる。
「はい…王様の仰る通りだと思います。嘘を吐いて申し訳御座いませんでした」彼の言葉に頷くと、彼はふっと表情を和らげ、優しく俺の頭を撫でた。
「良い子だ。今度からそうするように。先ずは其方の一番近くに居るカレンに相談しろ。勿論、私に直ぐに相談に来て貰っても構わぬが…会えない日も有るだろうからな」俺の頭を撫でながら、彼は俺を真っ直ぐ見つめる。此の人に撫でられるの、気持ちが良くて好きかも。
「はい…カレンさんにも其の様に言われました…」何だかまるで、躾を受けている子どもの様で変な気分。
「そうか。カレンとは上手くやっているか?彼奴はとても忠実で良い奴だが…」彼の質問に、一瞬頷く事を躊躇った。
確かに優しい人だけど…急に人が変わった様に、有無を言わさない強引な所が有るし…いきなり押し倒されたり、変な事言われたり、時々俺の事揶揄ってるのかなとか思ったり。でも、彼の表情はいつでも真剣で、其れを考えると、全部が本気なのだろうか…とか考えたり。
「遙?カレンとは上手くいってないのか?」考え込む俺を、心配そうに彼が見つめる。俺は慌てて首を横に振った。
「とんでもないです!カレンさんは本当に優しくて、常に俺優先で考えて下さって…傍に居て下さる事がとても心強く思います」未だよくカレンの事を分かり切ってはいないが、良い人である事には間違い無い。
「…そうか、其れならば良かった。私も其方からそう思って貰える様な男にならなくてはな」彼は安心したのか安堵の溜息を洩らし、再び俺の頭を撫でた。
「王様には王様の良い所が沢山御座います。未だ全てを知れている訳では有りませんが…どうぞ此れからもお傍に置いて下さい。側近として王様を守れる様、努力を重ねます」彼を真っ直ぐ見つめると、彼は嬉しそうに笑みを浮かべていた。何か、こういう素直な所可愛いかも。
「そう言ってくれるのは其方位だ。側近として、か。私はもっと近い存在として傍に居て欲しいのだがな?妃として」彼は悪戯っ子の様な笑みを浮かべると、俺の頬へと口付ける。突然の事に驚き、俺が目を丸くすると、愉しそうに彼が笑った。
「き、妃になるとか、そういうのは未だはっきりお答え出来ませんけど…」彼を見つめると、彼は再度俺の頬に口付ける。
「焦る事は無い。私が其方の心を奪えば良いのであろう?例え時間が掛かろうと、私は諦めるつもりは無い」彼の真剣な表情に胸が高鳴るのを感じた。何此の感じ、どきどきする。
「…ところで遙。其方が此処に来たのは、私が其方に印を付ける為だったが…して良いな?」そう言うと、彼はツーッと俺の首筋を指先でなぞる。擽ったくて、小さく身震いすると、彼はくすりと笑う。
「…聞かれて答えるのは、何だか恥ずかしいですね…其の…えっと…」羞恥心を覚え、俺が中々答えられずにいると、彼は楽しげにくつくつと笑う。
「何にでも同意は必要だ。答えをくれ」彼は意地の悪い笑みを浮かべ、顔を近付ける。此の人、絶対俺の反応を見て楽しんでる。
「…王様は意地が悪いですね。貴方にされるのが嫌なのであれば、とっくに私は抵抗していますよ」ストレートに答えるのは何だか恥ずかしいから、ちょっと遠回しにOKを出してみる。彼は再びくつくつと笑い出した。
「素直に答えを言えれば満点なんだが…まぁ良い。其れは同意という事で良いな?」そう言うと、彼は俺の首筋へ唇を寄せた。
彼の吐息が首筋へと掛かる。何だか、ぞわぞわと背筋が浮き立つ感じがする。
彼の舌が俺の首筋へと這わされ、そしてリップ音と共に、ちくりと微かに甘い痛みが首筋へ走る。
彼の唇は少しずつ場所を変えながら、俺の肌へと赤い痕を残していく。
其の甘美な刺激に、身体が熱くなるのを感じていた。
「其方の其の相手を思う気持ちは素晴らしいが、此れからは言って欲しい。事が大きくなってからの方が大変であろう?」確かに彼の言う通りだ。大変な事になる前に対処しなければ、きっともっと迷惑掛けてしまう事に繋がる。
「はい…王様の仰る通りだと思います。嘘を吐いて申し訳御座いませんでした」彼の言葉に頷くと、彼はふっと表情を和らげ、優しく俺の頭を撫でた。
「良い子だ。今度からそうするように。先ずは其方の一番近くに居るカレンに相談しろ。勿論、私に直ぐに相談に来て貰っても構わぬが…会えない日も有るだろうからな」俺の頭を撫でながら、彼は俺を真っ直ぐ見つめる。此の人に撫でられるの、気持ちが良くて好きかも。
「はい…カレンさんにも其の様に言われました…」何だかまるで、躾を受けている子どもの様で変な気分。
「そうか。カレンとは上手くやっているか?彼奴はとても忠実で良い奴だが…」彼の質問に、一瞬頷く事を躊躇った。
確かに優しい人だけど…急に人が変わった様に、有無を言わさない強引な所が有るし…いきなり押し倒されたり、変な事言われたり、時々俺の事揶揄ってるのかなとか思ったり。でも、彼の表情はいつでも真剣で、其れを考えると、全部が本気なのだろうか…とか考えたり。
「遙?カレンとは上手くいってないのか?」考え込む俺を、心配そうに彼が見つめる。俺は慌てて首を横に振った。
「とんでもないです!カレンさんは本当に優しくて、常に俺優先で考えて下さって…傍に居て下さる事がとても心強く思います」未だよくカレンの事を分かり切ってはいないが、良い人である事には間違い無い。
「…そうか、其れならば良かった。私も其方からそう思って貰える様な男にならなくてはな」彼は安心したのか安堵の溜息を洩らし、再び俺の頭を撫でた。
「王様には王様の良い所が沢山御座います。未だ全てを知れている訳では有りませんが…どうぞ此れからもお傍に置いて下さい。側近として王様を守れる様、努力を重ねます」彼を真っ直ぐ見つめると、彼は嬉しそうに笑みを浮かべていた。何か、こういう素直な所可愛いかも。
「そう言ってくれるのは其方位だ。側近として、か。私はもっと近い存在として傍に居て欲しいのだがな?妃として」彼は悪戯っ子の様な笑みを浮かべると、俺の頬へと口付ける。突然の事に驚き、俺が目を丸くすると、愉しそうに彼が笑った。
「き、妃になるとか、そういうのは未だはっきりお答え出来ませんけど…」彼を見つめると、彼は再度俺の頬に口付ける。
「焦る事は無い。私が其方の心を奪えば良いのであろう?例え時間が掛かろうと、私は諦めるつもりは無い」彼の真剣な表情に胸が高鳴るのを感じた。何此の感じ、どきどきする。
「…ところで遙。其方が此処に来たのは、私が其方に印を付ける為だったが…して良いな?」そう言うと、彼はツーッと俺の首筋を指先でなぞる。擽ったくて、小さく身震いすると、彼はくすりと笑う。
「…聞かれて答えるのは、何だか恥ずかしいですね…其の…えっと…」羞恥心を覚え、俺が中々答えられずにいると、彼は楽しげにくつくつと笑う。
「何にでも同意は必要だ。答えをくれ」彼は意地の悪い笑みを浮かべ、顔を近付ける。此の人、絶対俺の反応を見て楽しんでる。
「…王様は意地が悪いですね。貴方にされるのが嫌なのであれば、とっくに私は抵抗していますよ」ストレートに答えるのは何だか恥ずかしいから、ちょっと遠回しにOKを出してみる。彼は再びくつくつと笑い出した。
「素直に答えを言えれば満点なんだが…まぁ良い。其れは同意という事で良いな?」そう言うと、彼は俺の首筋へ唇を寄せた。
彼の吐息が首筋へと掛かる。何だか、ぞわぞわと背筋が浮き立つ感じがする。
彼の舌が俺の首筋へと這わされ、そしてリップ音と共に、ちくりと微かに甘い痛みが首筋へ走る。
彼の唇は少しずつ場所を変えながら、俺の肌へと赤い痕を残していく。
其の甘美な刺激に、身体が熱くなるのを感じていた。
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