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28.待ってください
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他愛も無い話をしながら美味しいご飯を食べ、お酒を飲み、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
そして、食事を終え其々が部屋へ戻ろうと立ち上がる。
「遙、後で部屋へ。其方が来るのを楽しみに待っている」王は俺に告げると、そっと俺の頬を撫でてから部屋を後にした。
そして、次にフレイアが出て行こうとする。俺は慌てて彼を引き留めた。
「フレイアさん!待ってください!大事なお話が有りまして、其の、フレイアさんのご都合が良い時にお時間を頂けないでしょうか」フレイアに告げると、彼は振り返り考える素振りを見せる。
「大事な話?別に俺は何時でも空いてるが…兄貴の所に行く前にでも来りゃ良い」彼はぶっきらぼうに告げると、俺をちらりと見遣る。良かった、話してくれるみたい。
「有難う御座います!では30分後とかでも大丈夫ですか?」俺の問い掛けに彼が小さく頷く。
「噫、別に問題無い。部屋の場所はお前にべったりのカレンにでも聞け。じゃあな。待ってる」其れだけ告げると、彼も部屋を退室する。
「話が出来そうで良かったですね。部屋については私がご案内致しますのでご安心ください。ですが遙様、誤解を解くにしてもどの様に話されるおつもりですか?まさかシャイン様が原因だとは言わないでしょう?」心配そうにカレンが見つめてくる。確かにシャインに付けられた痕だとは言えない。
「はい、良かったです。お手数ですが案内お願いしますね。えっと…実は未だ如何説明するか決められなくて。唯、王様からでは無いって事はしっかり伝えたいなって思いまして。もし誰って聞かれても其れは言えないって言おうかなとは思います。でもそう言ったらまた怒らせちゃいますかね…」煮え切らない返事をすると、彼は何か考え込んでいる様子を見せた。
「王様からでは無いという事実を伝える事は良い判断かと思います。あの方はあまり他人に興味を示すタイプでは無いので、そこまで誰からされたか、という事は気にしないのでは無いかと考えます。誰からというよりかは貴方が痕を付けられた、という事の方が気に食わないのだと。なので誰にされたか万が一聞かれても互いの為に濁しておくのが最善策かと思います」真剣な表情で告げる彼に頼もしさを覚える。此の人は本当に何に対しても冷静に捉えられていて凄いな。
「はい。では先ずは王様にされた訳ではない事、誤解を解きたい事を伝えます。そしてもし万が一誰からされたか問われた場合は答えられないと伝えるようにします。カレンさん、相談に乗ってくださって有難う御座います」彼に軽く頭を下げると、彼は俺の頭を優しく撫でてくれた。
「とんでも御座いません。遙様の従者として遙様のお役に立てる様に務めるのが私の仕事で御座います。其れに、貴方様が私を頼ってくださるのはとても身に余る光栄で御座います」頭から頬へと流れる様に彼の手が触れ、其の心地良さに俺は頬を緩ませる。
「カレンさんは本当に優しいですよね。本当にカレンさんみたいな方が傍に居てくれて良かったって心から思います」俺が真っ直ぐ見つめると、彼は少し困った様な表情ではにかんだ。
「遙様、其の様に言われると期待してしまうと申し上げたでしょう?本当に貴方ってお方は…いえ、すみません。何でも無いです。さぁ、兎に角お部屋に戻りましょう。30分後には王子様にお会いするのですから」彼は何かを言い掛け、そして小さく首を横に振ると、話を急に替えた。何を言おうとしていたのだろうか。
でも確かにフレイアに会う時間が迫っている。先ずは部屋に戻って少しシュミレーションもしたい。
俺たちは少し早歩きで俺の私室へと向かった。
俺たちは会話に夢中で、俺とカレンとのやり取りを一通り聞いていたある存在に気づく事は出来なかった。
そして、食事を終え其々が部屋へ戻ろうと立ち上がる。
「遙、後で部屋へ。其方が来るのを楽しみに待っている」王は俺に告げると、そっと俺の頬を撫でてから部屋を後にした。
そして、次にフレイアが出て行こうとする。俺は慌てて彼を引き留めた。
「フレイアさん!待ってください!大事なお話が有りまして、其の、フレイアさんのご都合が良い時にお時間を頂けないでしょうか」フレイアに告げると、彼は振り返り考える素振りを見せる。
「大事な話?別に俺は何時でも空いてるが…兄貴の所に行く前にでも来りゃ良い」彼はぶっきらぼうに告げると、俺をちらりと見遣る。良かった、話してくれるみたい。
「有難う御座います!では30分後とかでも大丈夫ですか?」俺の問い掛けに彼が小さく頷く。
「噫、別に問題無い。部屋の場所はお前にべったりのカレンにでも聞け。じゃあな。待ってる」其れだけ告げると、彼も部屋を退室する。
「話が出来そうで良かったですね。部屋については私がご案内致しますのでご安心ください。ですが遙様、誤解を解くにしてもどの様に話されるおつもりですか?まさかシャイン様が原因だとは言わないでしょう?」心配そうにカレンが見つめてくる。確かにシャインに付けられた痕だとは言えない。
「はい、良かったです。お手数ですが案内お願いしますね。えっと…実は未だ如何説明するか決められなくて。唯、王様からでは無いって事はしっかり伝えたいなって思いまして。もし誰って聞かれても其れは言えないって言おうかなとは思います。でもそう言ったらまた怒らせちゃいますかね…」煮え切らない返事をすると、彼は何か考え込んでいる様子を見せた。
「王様からでは無いという事実を伝える事は良い判断かと思います。あの方はあまり他人に興味を示すタイプでは無いので、そこまで誰からされたか、という事は気にしないのでは無いかと考えます。誰からというよりかは貴方が痕を付けられた、という事の方が気に食わないのだと。なので誰にされたか万が一聞かれても互いの為に濁しておくのが最善策かと思います」真剣な表情で告げる彼に頼もしさを覚える。此の人は本当に何に対しても冷静に捉えられていて凄いな。
「はい。では先ずは王様にされた訳ではない事、誤解を解きたい事を伝えます。そしてもし万が一誰からされたか問われた場合は答えられないと伝えるようにします。カレンさん、相談に乗ってくださって有難う御座います」彼に軽く頭を下げると、彼は俺の頭を優しく撫でてくれた。
「とんでも御座いません。遙様の従者として遙様のお役に立てる様に務めるのが私の仕事で御座います。其れに、貴方様が私を頼ってくださるのはとても身に余る光栄で御座います」頭から頬へと流れる様に彼の手が触れ、其の心地良さに俺は頬を緩ませる。
「カレンさんは本当に優しいですよね。本当にカレンさんみたいな方が傍に居てくれて良かったって心から思います」俺が真っ直ぐ見つめると、彼は少し困った様な表情ではにかんだ。
「遙様、其の様に言われると期待してしまうと申し上げたでしょう?本当に貴方ってお方は…いえ、すみません。何でも無いです。さぁ、兎に角お部屋に戻りましょう。30分後には王子様にお会いするのですから」彼は何かを言い掛け、そして小さく首を横に振ると、話を急に替えた。何を言おうとしていたのだろうか。
でも確かにフレイアに会う時間が迫っている。先ずは部屋に戻って少しシュミレーションもしたい。
俺たちは少し早歩きで俺の私室へと向かった。
俺たちは会話に夢中で、俺とカレンとのやり取りを一通り聞いていたある存在に気づく事は出来なかった。
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