異世界ワープしたら王様に求婚されました。

17.頼りにしています

「皆の者、遙を宜しく頼む。遙、まずは光属性のシャインからある程度の知識を教わりなさい。今から頼めるか、シャイン」王がシャインさんに訊ねる。シャインさんはにこりと笑って頷いた。

「えぇ、勿論です王様。遙様、では私のお部屋へいらしてください。流石に少しお疲れでしょうから、1時間後にしましょうか」シャインさんが俺に近付くと、優しい手つきで頭を撫でてくる。何だろうこの人、やたらとスキンシップ多いな。

「噫、シャインの言う通り少し休憩を挟むべきだな。其れに遙には未だ部屋も見せていないしな。では遙、1時間後にシャインの部屋に行くように。カレン、遥を頼むぞ」王は俺を見ると微かに微笑む。王の一声にカレンさんもシャインさんも深々と一礼した。

「では遙様、また1時間後に」そう言うとシャインさんは俺の頬をするりと撫でてから部屋を後にした。其れに続くように他の人たちも部屋を後にする。

「遙様、大丈夫ですか？ああいうのは慣れていないのではないかと思いまして」全員が部屋を出た後でカレンさんが心配そうに見つめてくる。カレンさん凄いな、俺の事見抜いてる。

「遙、此処だけの話だが…シャインには気を付けるように。彼奴は良い噂がなくてな。夜な夜な男を部屋に連れ込んでは喰ってるとの噂だ。しかし光属性である以上追い出す事も出来なくてな。証拠も上がっておらず皆頭を抱えている。本当は私もついて行けたら良いのだが…」心配そうに見つめる王に俺はふるりと首を横に振った。

「大丈夫です。光魔法について学ぶにはあの人からしか学べないでしょうし、ある程度の距離を置きますのでご安心ください」王様を安心させようと精一杯微笑んで見せた。本当は不安でいっぱいだ。変な噂のある人と一緒の部屋で過ごすとか、絶対嫌だ。でもそんな事は言っていられない。自分の属性を知るにはあの人に教わるしかない。

「恐らく私は中に入れませんが、ずっとお外におります故何かあれば直ぐにお知らせください」カレンさんが真っ直ぐ俺を見つめてきた。噫、なんて頼もしいんだろう。少し勇気が出てきた。

「ありがとうカレンさん、頼りにしています」カレンさんに伝えるとカレンさんは嬉しそうに笑みを浮かべた。本当に此の人の笑顔は見ていて心が温かくなる。

「もし万が一何かあった際には必ず私に言うように。分かったな？遙、カレン」王様の声かけに俺とカレンさんは力強く頷いた。