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一人で出来るから
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瞼が重い。朝だって分かってるのに…起きなきゃって思っているのに起きれない。体が怠いし頭も痛い。此の症状は…あぁ、きっと来夢のが移ったんだ。
「先輩おはようございます。朝ですよ?俺はすっかり元気になりました」
「ん……」
声を出したいのに声が出せない。苦しい。
「先輩…?」
来夢のひんやりとした手が俺の額に触れる。冷たくて気持ちが良い。
「先輩!凄い熱じゃないですか!俺のが移ったんですね…ごめんなさい」
そう言って来夢は何処かに行ってしまった。暫くして戻って来ると冷えピタと氷枕を用意して戻ってきた。
「わ、38.5度もある。今日学校が休みで良かった…」
目を開けると来夢の顔がぼんやりと見える。熱を出すのは久し振りだ。こんなに辛いものだったっけか。
「ご飯の支度してきますね」
そう言って来夢は部屋から出て行った。声も出せない程に苦しい熱なんて今迄あっただろうか。きっとない。いつもなら半日寝てれば治る。でも今回は長引きそう。
「ご飯食べれそうですか?」
食欲は全くない。折角作ってくれたのは悪いけど食べれそうにない。俺は力なく首を振った。
「そうですか…俺さっきバイト先から電話があって急にバイトに出る事になってしまったんです…どうしても断れなくて…だからちゃんと食べて薬飲んで寝ててもらわないと俺心配で仕事どころじゃなくなります」
「大丈夫…だから……1人で出来るから」
なんとか言葉を繋げる。迷惑なんて掛けられない。
「でも…」
「だから行けよ…お前の力を必要としてるんだろ?」
「はい…ちゃんとご飯食べて薬も飲んでくださいね?此処に置いておきますから。後ちゃんと水分もしっかり摂ってください。脱水症状になりかねませんから。ゆっくり休んでてください。なるべく早く戻ってきますから」
来夢は俺の頬に口付けると支度をして部屋から出て行った。其の後ろ姿を俺はただ見送る事しか出来なかった。
本当は傍に居てもらいたかった。でも彼奴は俺だけのモノじゃない。俺の所為で彼奴にも彼奴のバイト先にも迷惑は掛けられない。我侭なんて言えない。
ガチャンと音がして俺は目を覚ました。来夢がバイトに行ってから俺はあれから直ぐに寝てしまった。少し熱は下がったのだろうか。朝よりは楽な気がする。さっきの音は玄関の開く音だ。来夢が帰ってきたのか?
時計を見ると12時を指していた。五時間くらいは寝てしまったのか…傍にある机には来夢が作ってくれたお粥がある。折角作ってくれたんだ…食べなきゃ。薬飲んで早く治さなければ…
起き上がろうとするも起き上がる力がない。こんなにも弱ってしまうなんて….
すると部屋のドアが開いてびくりとする。其処に居たのは来夢ではなく轟だ。何で此処に此奴が?
「愛空先輩どうしたんですか!?」
轟は俺の様子を見ておかしいと思ったのだろう。直ぐに駆け寄ってきて心配そうな目で見つめてくる。
「38.3度…熱が高いですね。こんな時に来夢先輩は何やってるんだか…待っててください。色々と支度をしてきますから」
轟は直ぐに部屋を出て行ってしまった。
てか何で彼奴が此処にいるんだよ。まさか来夢が彼奴を呼んだのか?
「先輩おはようございます。朝ですよ?俺はすっかり元気になりました」
「ん……」
声を出したいのに声が出せない。苦しい。
「先輩…?」
来夢のひんやりとした手が俺の額に触れる。冷たくて気持ちが良い。
「先輩!凄い熱じゃないですか!俺のが移ったんですね…ごめんなさい」
そう言って来夢は何処かに行ってしまった。暫くして戻って来ると冷えピタと氷枕を用意して戻ってきた。
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目を開けると来夢の顔がぼんやりと見える。熱を出すのは久し振りだ。こんなに辛いものだったっけか。
「ご飯の支度してきますね」
そう言って来夢は部屋から出て行った。声も出せない程に苦しい熱なんて今迄あっただろうか。きっとない。いつもなら半日寝てれば治る。でも今回は長引きそう。
「ご飯食べれそうですか?」
食欲は全くない。折角作ってくれたのは悪いけど食べれそうにない。俺は力なく首を振った。
「そうですか…俺さっきバイト先から電話があって急にバイトに出る事になってしまったんです…どうしても断れなくて…だからちゃんと食べて薬飲んで寝ててもらわないと俺心配で仕事どころじゃなくなります」
「大丈夫…だから……1人で出来るから」
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「でも…」
「だから行けよ…お前の力を必要としてるんだろ?」
「はい…ちゃんとご飯食べて薬も飲んでくださいね?此処に置いておきますから。後ちゃんと水分もしっかり摂ってください。脱水症状になりかねませんから。ゆっくり休んでてください。なるべく早く戻ってきますから」
来夢は俺の頬に口付けると支度をして部屋から出て行った。其の後ろ姿を俺はただ見送る事しか出来なかった。
本当は傍に居てもらいたかった。でも彼奴は俺だけのモノじゃない。俺の所為で彼奴にも彼奴のバイト先にも迷惑は掛けられない。我侭なんて言えない。
ガチャンと音がして俺は目を覚ました。来夢がバイトに行ってから俺はあれから直ぐに寝てしまった。少し熱は下がったのだろうか。朝よりは楽な気がする。さっきの音は玄関の開く音だ。来夢が帰ってきたのか?
時計を見ると12時を指していた。五時間くらいは寝てしまったのか…傍にある机には来夢が作ってくれたお粥がある。折角作ってくれたんだ…食べなきゃ。薬飲んで早く治さなければ…
起き上がろうとするも起き上がる力がない。こんなにも弱ってしまうなんて….
すると部屋のドアが開いてびくりとする。其処に居たのは来夢ではなく轟だ。何で此処に此奴が?
「愛空先輩どうしたんですか!?」
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「38.3度…熱が高いですね。こんな時に来夢先輩は何やってるんだか…待っててください。色々と支度をしてきますから」
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